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異世界転生した農民、邪神も世界も耕す  作者: よぎそーと


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32/38

32 誰にも知られる事のない英雄達、こういえば格好いいのだろうか、でも無駄死にだよね

 その日、派遣された聖堂騎士団は緊張しながらも問題の場所へと向かっていった。

 諜報部門である布教伝道会が消えた事は既に伝えられている。

「おそらくは、脅威となる何かがいるだろう」

 指示を出した司祭はそう告げてきた。



「だからこそ、そなたらに頼まねばならぬ。

 女神の剣であり、教会の刃であるそちらに」

 芝居がかった厳かな台詞に、部隊を預かる聖堂騎士は、「はっ!」と厳めしく受け取った。

「では行け。

 危険は避けられぬだろうが、だからこそそなた達に頼むしかない」

「おまかせください」

 聖堂騎士の指揮官は恭しく頷いた。



 こうして先遣隊として1個中隊100人の聖堂騎士団が出動した。

 偵察を主任務としたこの中隊は、敵との遭遇時には戦闘も辞さない精鋭でもある。

 今回のような得体の知れな事態にうってつけ。

 だからこそ他の部隊に先駆けて投入された。




「しかし、何があるのでしょうか?」

「分からん」

 問いかけに答える中隊長の声は硬い。

「なにせ何も分からんからな。

 こんな事は初めてだ」

 通常は布教伝道会が集めた情報をもとに作戦が作られる。

 中隊長もそれらを手にして行動する事が出来た。

 それが今回は全くない。

 それだけに不安もある。

 だが、怖じ気づく事もない。



「だから確かめねばならん。

 おまえ達には危険を押しつける事になるが」

 危険は承知の聖堂騎士団である。

 命がけの戦闘を担う事は当たり前。

 その覚悟は既に出来ている。

 死ぬのが怖くて務まる仕事ではない。

 ただ、率いる部下にそれを強いるのは気が引けた。

 自分以外の誰かに危険を強いる事にはどうsてもためらいがある。

 だが、部下もそこは理解している。



「なんの、これが我らの使命」

 中隊長がそうであるように、他の者も危険を承知で聖堂騎士となった者達だ。

 死ぬ可能性がある戦場への突入をためらう事は無い。

「頼もしいな」

 そんな部下の言葉に、中隊長はありがたさを感じる。

 そんな部下を無駄死にさせまいという決意と共に。



 そんな決意は呆気なく崩壊する。

 彼らが踏み込んだ地域。

 そこはコウサクがまだ耕してない場所だった。

 当然、鍬を突き立てて、一気に開墾していく。

 そこに聖堂騎士団1個中隊100人は巻きこまれた。



「ん?」

 唐突に感じる異変。

 魔術など職業ごとの特殊能力が使われる時の気配。

 それを中隊長は察知した。

 中隊に所属する聖堂騎士達も。

 彼らも精鋭部隊。

 しかも強行偵察を任される猛者。

 探知や察知の能力に秀でた者が多い。



 そんな彼らだからこそ、何かが起こる事を感じ取り。

 それが広大な範囲攻撃であるとすぐに察した。

 逃げる事など出来ないという事実と共に。

「なるほど────」

 これが布教伝道会が連絡を絶った理由か。

 そう理解した次の瞬間。

 聖堂騎士達は足下の土の中に取り込まれていった。

 その土の中で粉砕され、肉体も霊魂も土と一体となっていった。



 なお、この事実が発覚するのにしばし時間がかかる。

 その場を目撃していた者がいなかったのが大きい。

 また、最も近くの教会が、

「よいしょ!」

というかけ声と共にコウサクによる開墾で壊滅したのもある。

 これにより連絡を取れる最も近くにある拠点が消滅。

 事態を確認出来た可能性のある者すら消えてしまった。



 おかげで後続の聖堂騎士団の行動に大きな制限がかかってしまった。

 先遣隊からの連絡が途絶え、情報が一切入らなくなったのだ。

 追加で部隊を出すか、ここは下手に打って出ずに守りを固めるか。

 はたまた後退して戦力の温存をはかるか。

 どうするかで聖堂騎士団の意見が割れてしまったためだ。



 そんな事態を引き起こしたコウサクは、当然このようになってる事など知るわけもない。

 ただ、自分が耕した土地の出来映えに満足する。

 そこに、出動してきた聖堂騎士団1個中隊100人がいるなどとも知らずに。

 なにせコウサクが知る前に壊滅したのだ。

 知りようがない。



 そんなコウサクは、見えてきた教会を開墾の範囲に入れて。

「それ!」

 勢いよく土を耕した。

 教会と町が土の中に沈んでいく。

 コウサクに従う一部の者達以外の人間も土の中にとりこまれていく。

 周辺一帯が一気に田畑となり、土に沈んだ人間も肥料となった。



「よしよし」

 新たに増えた田畑と農民に満足し、コウサクは次へと向かった。

 道が延びてる方向へと向かい、その先にある教会を破壊するために。



 そんなコウサクの頭の中に、布教伝道会も聖堂騎士団の姿もない。

 あるのは、自分が破壊した教会の姿だけ。

 それだけコウサクが見ている教会の全てなのだから仕方ない。

 だからこんな事も口にしてしまう。



「でも、あいつら何でやられっぱなしなんだ?」

 調査にしろ抵抗にしろ、何らかの動きがあってしかるべき。

 コウサクとてこれくらいは考えている。

 そのような動きが見えない事が不思議だった。

 自分がその全てを見えないところで粉砕してるなどとは思いもしなかった。



 こうして味方の教会にも、敵のコウサクにも知られる事もないままに。

 布教伝道会も聖堂騎士団も消滅していった。

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