30 知らぬうちに驚異を排除して
「よっこいしょ」
鍬を振る。
土につきささる。
辺り一面が耕されていく。
道をたどって進みながら、ついでに土地を耕していく。
コウサクが再び侵攻を開始して三日。
進んだ先にある教会が再び土の中に混ぜ込まれていく。
人間離れした能力は、人が一日かける距離を数分で進むことが出来る。
おかげで既に多くの教会が消えていった。
その周囲にあった村や町も。
そうしているうちに気づいたのだが。
村や町だけを耕してるのももったいない。
間にある土地が手つかずになってしまう。
農に携わるものとして、これは見過ごす事は出来なかった。
なので、耕す事にした。
田畑にして、牧草地にして、果樹園にして、材木の生い茂る林にして。
また、自然な状態の草原や森も、より最適化した土地へと変えていく。
今までよりも様々な動植物がよりよく生きていけるように。
急ぐ旅ではない。
今まで見逃していて教会と教会の間。
これに手を加える余裕もある。
こうして最適化された農地や平原が増えていく。
植物が生い茂り、それを食べる動物も肥え太る。
そんな場所が拡大していく。
そして。
「どっこいしょ」
かけ声と共に鍬を振り。
周囲数キロの範囲を耕し。
その中にいた敵もついでに土の中にすき込んでいく。
「ぎゃああああああ!」
そこに足を踏み込んだ教会の者達。
布教伝道会に所属する特殊工作員達。
隠密やスパイである彼らは、コウサクの耕す土地の中にいた。
効果範囲にいる彼らは、容赦なく畑作りに巻きこまれ、肉片となって肥料になっていった。
普通ならありえない。
効果範囲に人や動物がいても、開墾に巻きこまれる事はない。
コウサクが定めた例外以外は。
害になるものだけは容赦なく耕されていく。
これは、害虫や害獣を対象としたものだ。
田畑に危害を加えるもの、コウサクの指導下にいる者の危険となるもの。
これらは畑作りのついでに土の中にすき込まれていく。
死んで腐敗して分解されて土に還り、豊かな土壌にするために。
こうして害虫や害獣は消え去り、適切な農地になっていく。
当然ながら、教会の手の者は巻きこまれていく。
コウサクに危害を加えようとしてるのだから。
害虫や害獣と判定され、容赦なく土の中に消えていく。
表面的な偽装は意味がない。
旅をしててもおかしくない行商人や吟遊詩人。
これらに扮装していても、農師の能力からは逃れられない。
農師に匹敵する職業ならば対抗も出来たかもしれない。
しかし、そんな高レベルの職に就いてるものはいない。
やってきた布教伝道会の工作員は、例外なく土と混ぜ合わさっていった。
そんな事、コウサクが気づくわけもなく。
自動的に行われる敵の撃退をしながらあちこちへと向かっていった。
教会を潰すために。
「よいしょ!」
鍬を振って土地を耕しながら。
なお、ついでに道路もしきなおし。
荷物をのせた馬車が走っても轍が刻み込めないほど頑丈に。
雨が降ってもぬかるまない程水はけがよく。
人や物の行き来が楽になるようにしていく。
更に、水路も作り、水をあちこちに行き渡らせていく。
これは田畑を作るついでに出来上がっていく。
農業に水は必要不可欠。
引き込み行き渡らせるための整備も同時に行われていく。
田畑ではない平原や森の中にもだ。
こうして土地の改善や改良も行いつつ。
コウサクの教会潰しは進められていった。




