24 どこに行けばいいのか分からないから、見つけた全てを耕していく
最初の村は、旅だったその日のうちに到着した。
領主をつとめる神官のところに出向き、すぐに教会ごと耕した。
「よっこらしょ!」
かけ声と共に振り下ろした鍬で、神官と教会は土の中に埋まっていった。
村の者達も同じように処分する。
自分に従う者だけ残して、他の者は田畑の肥やしにしていった。
そして残った者達を指導下に入れて、田畑を耕させていく。
自動的に入る経験値が更に増えていった。
これを行く先々で繰り返した。
道が延びていく方向に進み、そこにあった村や町を耕す。
教会が、村が開墾された田畑の中に沈んでいく。
そして全てが土の中で分解されていく。
あとには、栄養をたたえた田畑が残る。
耕作という破壊活動が続く。
これがコウサクの考えた事だ。
どこに何があるのか分からない。
効率的で効果的な戦略や作戦は立てられない。
ならば、全てを手当たり次第に破壊する。
何も知らない分からないなら、適当にいい加減に行動する。
手当たり次第に破壊する。
無茶苦茶である。
だからこそ予想が出来ない。
そして、予想が出来ないから対策もたてられない。
多くの村や町は、コウサクによる開墾作業で壊滅する。
何が起こったのか分からないほど一瞬で。
外に伝達する事もなく。
通信手段の基本は手紙か伝令くらい。
魔術による伝達手段もあるが、使える者は限られる。
こんな世界なので、コウサクが行った事がよそに伝わる事はない。
ある日突然通信途絶が起こるだけ。
それに気づくにも時間がかかる。
定期的な連絡や報告。
教会間で行われるこれが無くなった事で、異常の発生を察する程度だ。
これとても、「今回は報告が遅れてるな」と解釈される。
天気や災害、様々な事故によって通信が遅れる事は珍しくない。
さすがに3日や4日遅れれば何かあったのかと危惧するが。
確認のために人を派遣するまで数日程の時間差が出る事になる。
そうして様子を見に出た者達によって、ようやく何が起こったのかが分かる。
今まであった村や町が消えて、新たに田畑が出来上がってる。
そこで働く数少ない生き残りの姿を目撃する。
あわてて事態を報告する。
しかし村や町が消えた理由は分からない。
教会は途方にくれるしかない。
「どうなってる?」
報告を受けた教会は途方にくれる。
村や町が消えて、残っていたわずかな人間が田畑を耕してる。
いったいどうしてこうなったのか?
その理由に至る事は出来なかった。
そうしてる間にコウサクは、指導下においた農民を使って農作業をさせていく。
経験値を稼いでくれる人々を増やしていく。
耕地面積の拡大は、コウサクの能力上昇に大きく寄与してくれる。
なにせ、村から村へ、町から町へと移動してる間も経験値が入ってくるのだ。
こんなにありがたい事はない。
教会は反乱を防ぐために地図などの情報を隠した。
しかし、それが裏目に出た。
確かに一般的なレベルの人間が相手ならば、これは効果的だろう。
だが、これを覆すコウサクという実例が出てきてしまった。
前例でもある。
この前例は無差別耕作を招き、各地を田畑に変えていった。
おかげで教会はその支配範囲を失っていく事になった。
対策をしようにも行動に一貫性がなく、何を目的にしてるのか分からない。
当然だ、目的もなく当てずっぽうに動いてるのだから。
もし、地図があればもう少し計画的にコウサクは動いたかもしれない。
だが、基準や基盤がないから、何も考えずに動いていくしかない。
これが予想不可能な行動となって教会を襲っていく。
「いったいどうなってる?」
損害報告を受け取る教会は、頭を抱える事になった。
こんな調子で、行く先々で村や町を開墾していくコウサク。
その足は、いつしか辺境の山地へと至った。
「あれ?」
さすがにこれは予想外だった。




