23 地図知らない当てのない旅、だからアタルを幸いにぶつかっていく
「とはいえ」
旅立ったは良いものの。
問題がすぐに出て来る。
「どこに行けばいいんだ?」
この世界、地図などという便利なものはない。
隣近所の村の位置くらいならどうにかなるが。
国全体となると、どこに何があるか分からない。
地理や地域の情報は最高の軍事機密だからだ。
下手に漏洩したら、いつ、どこから攻め込まれるか分からない。
だから地図などは一般に出回らない。
邪神の教会に統一されてるので、対外的な軍事行動などまず発生しないのだが。
つまりは、一般人の反乱対策である。
たとえ反乱を起こしても、どこに何があるのか分からなければ目的をもって行動出来ない。
主要施設や都市、重要拠点の場所が分からなければ戦略をたてようもない。
宗教という洗脳支配から外れた者が出ても、効果のある行動を妨げる事が出来る。
教会の支配とて完璧ではない。
これまでにも宗教による洗脳支配から抜け出した者はいた。
しかし、それらが大きな勢力になる事はなかった。
どこに行けば良いのかも分からないからだ。
村や町を飛び出しても、大半が野垂れ死に。
少し暴れる者がいても、二つ三つの村や町を攻め落として終わり。
生き延びてる者もいるが、数人程度の小さな強盗団を続けるのがせいぜいだ。
コウサクもこれで迷った。
何をすれば良いのかも分からないというのもある。
たとえ効果的な作戦を思いついてもだ。
要所がどこにあるのか分からないからどうにもならない。
コウサクも今までのその他大勢と共に、そこそこに暴れて終わる。
そうなっていく……はずだった。
「まあ、しょうがない」
コウサクは普通ではない。
即座に開き直っていく。
「なら、回りの全部を耕せばいい」
一般人には思いもつかない事を実行していく。
コウサクはこの世界の知識や情報に疎い。
せいぜい村の中くらいの事しか分からない。
情報伝達手段がほとんどないから仕方ない。
インターネットという便利なものは存在しないのだ。
だが、前世がある。
そこで培った人生がある。
この世界の情報はなくても、様々な知識や経験をつんできた。
それらのほとんどは雑学だ。
広く浅いものだ。
しかし、この世界では十分知識人や文化人になれる。
そんなコウサクは、今できる事を即座に見つけた。
右も左も分からなくても出来る事を。
「回りの全部を耕せばいい」
豪快で大雑把な。
しかし十分な力があれば出来る事。
それをコウサクが実行していく。
それから数日。
適当に出歩くコウサクは、見つけた村や町を徹底的に耕していった。
神官と教会は特に念入りに。
その無秩序で無軌道な行動は、予測不能な脅威となって教会を襲っていく事になる。




