22 いつか帰ってくると、鍬を担いで旅立つ
村の領主である神官を耕し。
領主の館である教会を聖職者ごと土に埋めて。
更にコウサクに害を為す村の者達も畑の肥やしにして。
従うわずかな農民を農作業に従事させる。
これらを行った翌日。
コウサクは一人旅だった。
鍬を肩に担ぎ。
おにぎりを弁当として抱えて。
「次に戻ってくるのはいつかなあ……」
住み慣れたボロ屋をあとにしながら呟く。
二度と戻らないという決意と、過去への決別。
その為に家に火を放ち…………などとはしなかったが。
それでも、これから長い長い旅が始まる。
そう思うと色々と思う事もある。
もっとも、家に火を放つのも悪くはないとは思っていた。
特に良い思い出があるわけではない。
むしろ、最悪の親と兄弟に囲まれていたのだ。 思い出ごと燃やしてしまえば、こんなに気持ちの良い事は無い。
それに住みやすいというわけでもない。
親兄弟、合わせて8人で暮らしていたのだ。
10畳程度の広さに。
祖父母が寿命を迎えるまでは、更に過密だった。
しかも改築も修繕もしないで。
雨漏りと隙間風は当たり前。
快適さなどかけらもない。
こんな建物に思い出など抱けるわけがなかった。
家そのものにケチをつけないにしてもだ。
この家での生活はコウサクにとって最悪の思い出である
好んで思い出したいものではない。
家ですらこうだ。
村全体となると更に嫌気が募る。
しかも、これが村だけの話ではない。
国全体、どころか国をまたいだ世界全体がこうなのだ。
教会の影響力のある所は。
「嫌になるな」
あらためて考えると陰鬱となる。
なのだが、それでも長く住んできた家である。
長くすごしてきた村である。
それなりの思い入れもある……と思っていた。
だが、実際に村を出て行くというこの時、そんな思いは一切なく。
むしろ、清々するというのが本音だった。
「次に帰ってくる時は、いっぱい土産をもってくるぞ」
何も故郷に錦を飾るためではない。
ボロ屋を潰して快適な住処を作るため。
その為の用地としてこの村を使おうというだけである。
惨めな今までの人生を消すために。
新たに自分の成果を形としてあらわすために。
その為の土産だ。
自分が手に入れたもので村を作り替える。
今までの痕跡など一切残さない。
新たに全てを切り替えて、これまでなど無くしてしまう。
コウサクはこのつもりでいた。
次に村に帰ってくるときは。
必ずこの村を破壊し尽くしてやる。
そんな希望と野望を大志として。
コウサクは村から歩き出した。
晴れ渡る心と共に。
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