11 ついに来た、転職の時
毎日、毎日鍬を振り下ろす。
耕すべき田畑で。
耕さなくてもいい野原で。
ただひたすらに鍬を振る。
全ては経験値のため。
農作業として見た場合、無駄でしかない。
だが、経験値稼ぎと考えた場合、理にかなった行動だ。
職業にちなんだ行動をとれば経験値が得られる。
だからコウサクは無駄な農作業をひたすら繰り返した。
田畑ではない野原すらも耕した。
あぜ道を作り、畝を立てた。
雑草や藪を根こそぎ掘り起こし、堆肥の材料にしていった。
経験値になる事ならなんでもやった。
おかげで11歳になる頃には農民レベル40になっていた。
農民の最大レベルに到達した。
転職の機会を得た。
職業には最大レベルが設定されている。
そこに到達すると、別の職業か上位職業になる事が出来る。
農民から変わりたいと思っていたコウサクは、この機会を逃す事無く転職を行った。
農民の上位職業に。
上位職業はやれる事の範囲が広がる。
それに、同じ作業を行っても効率も成果も桁違いに上がる。
農民を続けるつもりはなかったコウサクだが、この利点を振り切る事は出来なかった。
それに、怪物はいるけど、基本的には平穏な世界である。
怪物の領域との境目ならともかく、コウサクの住む地域はそこまで危険ではない。
戦闘に適した職になる利点はない。
それならば、農民の上位職業になった方が良いと思えた。
これならば、今まで通りの生活をしながら経験値を稼げる。
戦闘系の職業になって怪物と戦うのもいいだろう。
しかし、安全確実にレベルをあげるのは難しい。
ならば、農民として農業を極めてみようと思った。
それでもレベルが上がれば能力は上がる。
能力が高くなれば、それだけで強くなれるのだから。
また、転職そのものはいつでも出来る。
上位職業にはなれないが、戦闘系の基本職ならばいつでも転職可能だ。
無理してでも今すぐ戦闘系の職業になる必要はなかった。
コウサクはこうして農民の上位職業になった。
農家である。
【能力値】
農民 → 農家
レベル 1
体力 51 + 132 = 183
器用 48 + 104 = 152
知恵 42 + 101 = 143
意思 46 + 117 = 163
【能力値】