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第1章 内田花乃の日常 06


北海道最終日の今日、五稜郭を見学し、赤レンガ倉庫にやってきた。

グループ4人で、ワイワイしながらお店を見つつ、何かお揃いのものを買おうという事で、色違いのガラスの付いたペンダントを買った。


仲良しの証拠みたいで嬉しい!!!

今度遊びに行く時、みんなで付けようねって約束したのだ。

楽しみすぎる。


それから私たちは飛行機に乗って地元に戻ってきた。


高校に着く頃、丁度沖縄組も戻ってきた。

全員が集合しそのままグラウンドで解散になった後、北海道組と沖縄組が、あれしたこれしたって話をあちこちでしていて、みんな楽しい時間を過ごしたことが伝わってきた。


日焼けした一ノ瀬君のいつもの仲間達は、すぐに一ノ瀬君の周りに集まり、早速お土産を渡してる。

大きな袋2つ分のお土産を受け取った一ノ瀬君は、それからすぐに自転車に乗って帰ってしまった。


私は、学校から2駅先にあるおばあちゃんの家によって、お土産を渡してから帰ろうと、いつもとは反対方向の電車に乗った。



**********


「おかえり。

どうだった?修学旅行。」


「うん、楽しかったよ。

美味しいもの、いっぱい食べちゃった!」


おばあちゃんに、おみやげの定番クッキーと修道院のキャンディ、そして一ノ瀬君に選んでもらったサシェを渡しながら答える。


あら、これ好きなのよ、と言いながら、おばあちゃんは紅茶を淹れてくれた。

早速いただくわね、とクッキーを開けて、私にもくれて、一緒にお茶を飲む。


「このラベンダーの、良い香りねぇ」


「それね、石鹸と迷ってそっちにしたの。」


「ありがとうね。

石鹸でも、こっちのでも、おばあちゃんにって想って選んでくれたことが、本当に嬉しい。」


「そう言ってもらえて、私も嬉しい!」


それからおばあちゃんに携帯で撮った写真を見せながら、この場所は意外と小さかったとか、ラーメンが美味しかったとか、沢山のことを話した。

携帯をスクロールする手が、バドミントンラケットを持った4人の写真で止まる。


「みんな良い笑顔ね。」


おばあちゃんに頷いて、また次の写真にスクロールしていく。


日が暮れる頃、おばあちゃんが夕飯を一緒にって誘ってくれた。

お母さんには、学校からおばあちゃん家に行く事は伝えてあったから、夕飯をおばあちゃんと食べることだけメールすると、すぐ了解の返事が来た。


あばあちゃんは、去年おじいちゃんを亡くして、寂しい思いをしている。

だから、これまでも学校帰りに寄って、一緒に晩御飯を食べたりしてたから、今日も多分そうなるだろうなぁとは思っていたのだ。


「今日はおばあちゃん、久しぶりにのどか屋さんのお好み焼きが食べたいんだけど、どうかしら?」


のどか屋とは、おばあちゃん家から歩いて10分ほどの商店街に入っている、昔ながらのお好み焼き屋さんである。

私も小さい頃から何度か連れて行ってもらっていたので、大好きなお店だ。


「わ〜い!

食べたい、食べたい!」


おばあちゃんはうふふと笑って、じゃあ行きましょって準備を始めた。




いらっしゃいませ!

こちらにどうぞ〜


元気な声を聞きながら、奥のテーブルに座る。

小ぢんまりしたお店なので、混む時間帯だと座れないことが多いのだ。

空きテーブルが残り1席だったので、座れてよかったね、と話しながらメニューを開く。


「ご注文、お決まりでしょうか」


注文をとりに来てくれた同じ年くらいの女性は、なぜだかチラチラと私の方を見てる。

私、ではなくて制服?


注文をとり終えた後も、なんだか複雑そうな顔をしてる気がする。

なんだろう。

制服だから、匂いついちゃうの気にしてくれてるのかな?


今日は待っているお客さんがいなかったから、お好み焼きを食べ終わった後にデザートまで注文して、おばあちゃんとのんびり話をした。

この後、お店で別れて私は電車に乗り、おばあちゃんはお家に帰る。

おばあちゃん、一人で帰るのがやっぱり寂しいみたいだから、わたしもついつい遅くまで付き合っちゃう。


でも、もうこれ以上はお母さんも心配するから、そろそろ帰ろうかって席を立ったとき、丁度注文を取ってくれた子のシフトが終わったようで、エプロンを外して出てきた。


その子は、私たちが立っているのに気づいて、少しギョッとした顔をした後、慌てて店長に挨拶して外に出て行った。


変なの。


お会計が終わり、私たちも外に出たとき、なんであの女の子が慌てていたのか分かった。


一ノ瀬君が自転車を押しながらあの子と歩いていたから。

後ろ姿だったけど、あれは絶対に一ノ瀬君だ。


あの子、私の制服が一ノ瀬君の学校と同じって気付いたんだ。

だから、迎えにきた一ノ瀬君と会わないように、急いでお店を出たのかな。


他校に同じ中学出身の彼女がいるって。

あの子が噂の彼女なんだ。





おばあちゃんと別れて電車に乗り、車窓から外を見てると、先程の二人の後ろ姿が浮かんできてしまい、慌てて携帯画面に目を向ける。


北海道で一ノ瀬君と話が出来て、メッセージまでするようになっちゃって、バカみたいに浮かれてた自分を殴りたい。


知ってたじゃん、彼女いるの。

落ち込むなんて、ほんとバカ。

ちょっと優しくされたからってすぐ好きになっちゃってさ。


私のばか

ばか

ばか

ばか





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