第1章 内田花乃の日常 06
北海道最終日の今日、五稜郭を見学し、赤レンガ倉庫にやってきた。
グループ4人で、ワイワイしながらお店を見つつ、何かお揃いのものを買おうという事で、色違いのガラスの付いたペンダントを買った。
仲良しの証拠みたいで嬉しい!!!
今度遊びに行く時、みんなで付けようねって約束したのだ。
楽しみすぎる。
それから私たちは飛行機に乗って地元に戻ってきた。
高校に着く頃、丁度沖縄組も戻ってきた。
全員が集合しそのままグラウンドで解散になった後、北海道組と沖縄組が、あれしたこれしたって話をあちこちでしていて、みんな楽しい時間を過ごしたことが伝わってきた。
日焼けした一ノ瀬君のいつもの仲間達は、すぐに一ノ瀬君の周りに集まり、早速お土産を渡してる。
大きな袋2つ分のお土産を受け取った一ノ瀬君は、それからすぐに自転車に乗って帰ってしまった。
私は、学校から2駅先にあるおばあちゃんの家によって、お土産を渡してから帰ろうと、いつもとは反対方向の電車に乗った。
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「おかえり。
どうだった?修学旅行。」
「うん、楽しかったよ。
美味しいもの、いっぱい食べちゃった!」
おばあちゃんに、おみやげの定番クッキーと修道院のキャンディ、そして一ノ瀬君に選んでもらったサシェを渡しながら答える。
あら、これ好きなのよ、と言いながら、おばあちゃんは紅茶を淹れてくれた。
早速いただくわね、とクッキーを開けて、私にもくれて、一緒にお茶を飲む。
「このラベンダーの、良い香りねぇ」
「それね、石鹸と迷ってそっちにしたの。」
「ありがとうね。
石鹸でも、こっちのでも、おばあちゃんにって想って選んでくれたことが、本当に嬉しい。」
「そう言ってもらえて、私も嬉しい!」
それからおばあちゃんに携帯で撮った写真を見せながら、この場所は意外と小さかったとか、ラーメンが美味しかったとか、沢山のことを話した。
携帯をスクロールする手が、バドミントンラケットを持った4人の写真で止まる。
「みんな良い笑顔ね。」
おばあちゃんに頷いて、また次の写真にスクロールしていく。
日が暮れる頃、おばあちゃんが夕飯を一緒にって誘ってくれた。
お母さんには、学校からおばあちゃん家に行く事は伝えてあったから、夕飯をおばあちゃんと食べることだけメールすると、すぐ了解の返事が来た。
あばあちゃんは、去年おじいちゃんを亡くして、寂しい思いをしている。
だから、これまでも学校帰りに寄って、一緒に晩御飯を食べたりしてたから、今日も多分そうなるだろうなぁとは思っていたのだ。
「今日はおばあちゃん、久しぶりにのどか屋さんのお好み焼きが食べたいんだけど、どうかしら?」
のどか屋とは、おばあちゃん家から歩いて10分ほどの商店街に入っている、昔ながらのお好み焼き屋さんである。
私も小さい頃から何度か連れて行ってもらっていたので、大好きなお店だ。
「わ〜い!
食べたい、食べたい!」
おばあちゃんはうふふと笑って、じゃあ行きましょって準備を始めた。
いらっしゃいませ!
こちらにどうぞ〜
元気な声を聞きながら、奥のテーブルに座る。
小ぢんまりしたお店なので、混む時間帯だと座れないことが多いのだ。
空きテーブルが残り1席だったので、座れてよかったね、と話しながらメニューを開く。
「ご注文、お決まりでしょうか」
注文をとりに来てくれた同じ年くらいの女性は、なぜだかチラチラと私の方を見てる。
私、ではなくて制服?
注文をとり終えた後も、なんだか複雑そうな顔をしてる気がする。
なんだろう。
制服だから、匂いついちゃうの気にしてくれてるのかな?
今日は待っているお客さんがいなかったから、お好み焼きを食べ終わった後にデザートまで注文して、おばあちゃんとのんびり話をした。
この後、お店で別れて私は電車に乗り、おばあちゃんはお家に帰る。
おばあちゃん、一人で帰るのがやっぱり寂しいみたいだから、わたしもついつい遅くまで付き合っちゃう。
でも、もうこれ以上はお母さんも心配するから、そろそろ帰ろうかって席を立ったとき、丁度注文を取ってくれた子のシフトが終わったようで、エプロンを外して出てきた。
その子は、私たちが立っているのに気づいて、少しギョッとした顔をした後、慌てて店長に挨拶して外に出て行った。
変なの。
お会計が終わり、私たちも外に出たとき、なんであの女の子が慌てていたのか分かった。
一ノ瀬君が自転車を押しながらあの子と歩いていたから。
後ろ姿だったけど、あれは絶対に一ノ瀬君だ。
あの子、私の制服が一ノ瀬君の学校と同じって気付いたんだ。
だから、迎えにきた一ノ瀬君と会わないように、急いでお店を出たのかな。
他校に同じ中学出身の彼女がいるって。
あの子が噂の彼女なんだ。
おばあちゃんと別れて電車に乗り、車窓から外を見てると、先程の二人の後ろ姿が浮かんできてしまい、慌てて携帯画面に目を向ける。
北海道で一ノ瀬君と話が出来て、メッセージまでするようになっちゃって、バカみたいに浮かれてた自分を殴りたい。
知ってたじゃん、彼女いるの。
落ち込むなんて、ほんとバカ。
ちょっと優しくされたからってすぐ好きになっちゃってさ。
私のばか
ばか
ばか
ばか




