第 I 楽章【オカリナ王国〜自由と優しさ〜】プロローグ
これは、ある世界の物語。
その世界では、音楽こそがすべての物事を左右する力であった。
そしてその世界に、『オカリナ王国』という小さな小さな国があった。
朝、日が昇ると共に、城の高台から響き渡る国王のオカリナの音色。
その澄んだ音は、国中に一日の始まりを告げ、農民たちを畑へ、職人たちを作場へと導く。
それは単なる音楽ではなく、人々に活力を与え、平和を保つ力そのものであった。
オカリナ王国を統べるのは、我らが国王、サタン・クレイモア。
彼の奏でる音色は、大地に花を咲かせ、時に嵐をも鎮めると言われるほどに美しく、力強い。
先代の王、そしてそのまた先代と、クレイモア家の者たちは代々この王座に君臨し続け、オカリナに愛されし者として国を導いてきた。
そして国王には二人の息子がいた。
一番目の王子の名はクロウリー。
二番目をミケルといった。
クロウリーは偉大なオカリナ吹きとして知られ、次の王となる者として期待されていた。
しかし、ある罪を犯し、その末事故で亡くなったとされていた…。
だが、人々の間ではこう囁かれている。
___クロウリーのオカリナの音が、今も国のどこかで響いていると。
オカリナ王国の運命を揺るがす物語は、ここから始まる。
オカリナ王国
第 I 楽章
【オカリナ王国】
〜自由と優しさ〜