創造者の回想
「ち、父上!? 一体何を……」
言葉を1番に発したのはディルケンだった。
「うむ。私も乱暴なことはしたくないのだが、この世界はあまりにも混沌としすぎているから動くしかないのだよ」
「何をしようというのですか! それに、時間は止まっているはずじゃ……」
時間が止まっているのは管理者の仕業。
管理者の影響を受けないのは私のような部外者か。それか―
「なるほど、あなたが私たちの上位種ってわけですか」
ブイが言うように管理者の上位種なのだろう。
「上位種? 私は君たちと同種なんかじゃないぞ。君たちと私たちにの間には種族以上の差がある。現に君たちは私たちの―創造者の存在を認識できていないだろう」
「父上が……? 何を言って……」
管理者の上位互換が創造者っていうのは分かりやすい。
けど、そもそも管理者も創造者もよく分からないって言うのに父親がそれだった時の困惑というのは計り知れないだろう。
現に私もよく分かっていないんだから。
「この世界が崩壊しかけている理由、それはファルラ嬢、君にあるのは確かだ。
しかし本来は異世界からの侵入者など許すはずがないのに君の存在を許してしまったのにも経緯がある」
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そもそも平行世界というのはコピーによって創られるというのは聞いたことがあるだろう。
この世界はコピーにコピーを重ねた27番目の世界、最新の世界だ。
この世界を創る時、5人中3人の創造者で話し合っていたのだが―他の2人はどこ行ったか? あいつらは協調性がなくてな。いるだろう? エリートにも扱いにくいやつが。
「26番世界の進行、そろそろ軌道に乗りそうっすよね」
「新しい世界を創る分の魔力は溜まっているのか? 」
世界を創る時、それ相応の魔力が必要になるのだが魔力は有限でな。使い回さないとやっていけんのだよ。
「ええ、前潰した19番世界の分も合わせて十分のはずよ」
「そうか。19番世界も消す羽目になったとは随分と落ちぶれたものよのう」
「所詮10番世界以降は混沌とした世界ばかりっすからね。こればっかりは創造者じゃあどうしようも……」
「仕方がない。我々は世界を創造することが役目。早速取り掛かろうぞ」
「「はーい」」
といった感じに、この世界を創る工程に入り、最初は順調に構築されていったのだが―
「まずいっすよ。どうするんすかこれ」
「思った以上に魔力の老化が進んでいたようね……」
魔力を使い回していたせいで老化が進み、使い物になる魔力だけでは世界が中途半端になってしまっていた。
「こ、これ潰しますかね? 」
正直そこで潰しておけば無駄な労力を避けることが出来たのだが……
「いや、これはこのまま創ろう。私の魔力も使う」
何故かこの世界に愛着が湧いてしまっていた。今までそんなことは無かったというのに、この世界は創らなければならないという使命感が私をつき動かしていた。
「正気? まだ世界は半分近く未完成なのよ? これを創造者1人の魔力で補ったらどうなるかわかっているの? 」
「問題ない。これ一つ創ればしばらく創る必要は無いだろう? 」
「……まあ、あなたがそれでいいならいいけど。分かってるのよね? ひとつの世界につき直接干渉できるのは創造者も管理者も1人まで。見守ることしか出来ないんだからね」
「あぁ、わかってるよ」
ということで、この世界は半分私の魔力で創ることになったのだ。
しかし、それでも足りなかった。王宮内部の人間が少し足りないのだ。 王子と王妃を創ったところで魔力は底をついてしまった。
多少の使用人や兵隊などはどうにかなるにしても、世界の進行に欠かせない国王がいなかった。
「あちゃー、こりゃ参りましたね。どうします? 」
「どうするかって? これは混沌とした世界を是正する術を探る良い機会じゃないか」
「まさか、あなた自身がこの世界のキャラクターの1人になるって言うわけじゃないよね」
「無論、そういうわけだ」
「ばっかじゃないの?! 一創造者がキャラクターに成り下がるなんて信じらんない! 」
「そうっすよ。あなたは割と俺たちのリーダー的存在でもあるんすから」
「割と、は余計だ。なに、私が特別な力を持っている訳でもない。問題なかろう」
「……じゃあ、この世界を消す羽目になんかさせないでよ? 」
「当たり前だろう。お前たちに迷惑はかけんさ―さて、新しい物語を始めようではないか」
こうしてこの世界は創られ、されどこうして異常は発生した。




