管理者その2
「えっと……大丈夫ですか? 」
泣き叫ぶ男の子に声をかけてみる。
「ぐすっ……君たちは? 」
「そこの裂け目から―って、あれ? 」
通ってきたはずの裂け目がどこにも見当たらない。
「あぁ、時空の裂け目を通ってきちゃったんだね」
裂け目のことを知っているらしい。
「ということはあなたはこの世界の管理者なんですか? 」
まぁ浮いて泣いてる時点で普通の人では無いだろうけど。
「うん。君たちはもう帰れないからこの世界に住むしかない……でももうこの世界は終わりなんだ。僕も君たちも終わりだ」
帰れないってまずいのでは?
「ふむ。この世界はなぜ崩壊している? 」
魔王が気になっていたことを聞いた。
「管理者αのやつ……あいつの世界に勝手に魔王とかキャラクターをどんどん持っていかれたんだ。そのせいでこの世界はもう進行不可って判断されて……」
「魔王? それは我のことではないのか? 」
「……あれ? 本当だ。君のデータ値、この世界のと同じだ」
「ファルラさん、管理者αってもしかして私たちの世界の人じゃ? 」
あ、そういえばアルファって管理者αだからアルファって呼んでたんだった。
「実は私たちの世界も崩壊寸前で、管理者への対抗策を考えていたところなんです」
ついでに経緯も話しておいた。
「ふぅーん……なるほどねぇ」
彼はにやにやしながら続けた。
「僕は管理者V。僕、管理者αよりも格上の存在なのに管理者同士の争い禁止されてるから手出せなかったんだよね」
管理者Vことブイは私に耳打ちしてきた。
(お姉さん、異世界から来たんでしょ? なら僕たち管理者相手に戦えるんだよね)
「そこで、僕は君たちと手を組んで君たちの世界を守ってあげるよ。僕はαに一矢報えるし君たちは世界を守れる。いいでしょ? 」
「でも管理者同士の争いは禁止されてるんだろ? 」
ディルケンがもっともなことを言う。
「いいんだよ。どうせ僕はこの世界とともに消える存在だから。最後の舞台にすっきりできるなら最高だもん」
そう言ってくれるなら協力してもらって損はないと思う。
「我の世界をめちゃくちゃにした輩に我も腹が立ってきたな。我はこやつと協力することに賛成だ 」
「本当にこんな子供が管理者なのか心配なんだが……俺もこいつとは協力すべきだと思う」
「私も賛成です」
「なら決まりだね。元の世界に戻れないって言ったけど、管理者なら世界を行き来できるから、すぐ戻れるよ」
やっぱり管理者のちからって便利だなぁ。
魔力じゃどうしようもないのが惜しい。
「じゃあ行くよ。プログラム#2<平行移動>」
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戻ってきた瞬間、静寂が身を包んだ。
「あー、これは酷いね。誰も動いてないよ」
管理者は他の世界でも能力を使えるらしい。
「ん? いや、これは……誰か来るよ」
「あ、多分ローさんです」
ローじいさんを待たせていたのだった。
「ロー? その人は2人いるの? 2人近づいてきてるよ」
「え? 」
「はっはっは!! ディルケン、聖女アリア、ファルラ嬢、上位世界の魔王に管理者、か。これはこれは随分と強そうな集団なものよ」
「 !? 」
振り向くとそこには―
「に、逃げるんじゃ……こいつは……」
ボロボロのローじいさんを掴んだ国王が立っていた。




