平行世界へ
「……ということでわしは聖女さんやら国王さんに何度も伝えたのじゃが、全然受け入れてくれなかったのじゃよ」
「そんなことが……ごめんなさい。もう少し真面目に向き合っておけば……」
アリアちゃんが謝る。
少し疑問に思っていたが、彼女が無視することなんてそうそうない気もする。ここもなんかしら管理者が細工をしている可能性もある。
「今の話を聞いた感じだと、その裂け目とやらに向かえば管理者や平行世界の情報が掴めるやもしれぬわけか」
「おぉ、聞いた話によるとおぬしは平行世界から来た魔王じゃったな。裂け目の先は上位の世界じゃ、お主の世界につながっているかもしれぬぞ」
「ただ、別世界には別世界の管理者がいるんですよね? 」
アルファ―この世界の管理者はここまで姿を現さないことから私の存在などを危惧してしばらく行動しないだろうけど……
「うむ、確かに別世界にも別の管理者がおる。じゃが管理者同士で情報共有はしておるはずじゃし、なによりおぬしのその力は上位世界でも通用するレベルのはずじゃ。現にそこの魔王にも勝てるのじゃろう? 」
目の前の魔王は強いことは確かなんだけど、上位魔法を使う羽目になっても勝つことはできると思う。
全員を守れるかは分からないけどここで行動をしないとどうにもならない。
「なら決まりだな。安心しろ、自分の身は自分で守る」
ディルケンも行くことには賛成のようだ。
「わしは見ての通り老体じゃし中身は子供なせいで魔力も全然ないんじゃ。わしはこっちの世界で異変がないか見守っておこう」
「わかりました。よろしくお願いします」
「少々長い道のりになるが、裂け目までは案内しよう」
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無論飛んで行ったので長い道のりにはならなかった。
「お、おぬしさすがじゃの……あ! あれじゃあれ!! 」
ローじいさんの指さす方向からはかすかに光が漏れていた。
地面に降り立つと、その異様な光の元に青白く広がる、人一人分ほどの大きさの裂け目が浮かんでいた。
「なんか綺麗ですね〜……」
アリアちゃんの言う通り、裂け目は宝石に光を当てたように光り輝いていた。
「わしもこの先は見たことがない。気になるのは山々なんじゃが……朗報をまっておるぞ」
そうして1人ずつ裂け目に入っていった。
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「こ、これは……」
入った先に待っていたのは―
「ひどいな。これは」
「なんでこんな事になって……」
「…………」
―燃え盛る森、そこら中に穴の空いている地面。
―そして、明るいのに真っ暗な空が広がっていた。
「ファルラさん、見てくださいあれ……」
アリアちゃんが指さす方向に目をやると……
「うわぁぁぁぁぁん!! 」
泣き叫ぶ男の子がいた。
ただし空中に浮かびながら。




