老人ロー
3年前のわしは、2人の友と共に様々な場所を探検しておった。
「ロー、今日はお前が行く場所決めたんだよな」
「あぁ! 安心してくれ。とびきりワクワクする場所の目処をつけといたから」
「おお!! じゃあ早速行こうぜ! で、それはどこなんだ? 」
「それはな……魔王の塔があるという森だ」
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「魔王の塔!? あの森に行ったんですか!? 」
アリアちゃんが声を上げる。
いや、まぁそこも気になるんだけど
「お話の中のローさんってあなたですよね? なんか若くないですか? 」
「あぁ……魔王の塔が恐ろしいのは知っておったのじゃが、その森というのはさらに恐ろしいものじゃった……」
このじいさん、私の質問には答えずに話を再開しやがった。
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「あ、あの森か……!? 1度入ったら迷い続けて出られなくなるという……聖女様でもないと死ぬのが最後という……」
「そんなの……」
「わくわくするじゃん!! 」
「早く行こうぜ! 」
というわけで、そのまま行くことになったんじゃ。
森に入ること自体は警備は薄々じゃし魔物もそこまでいなかった当時は簡単じゃった。
じゃか―
「な、なぁ、さすがに暗くなってきちゃったぞ……」
入ってから半日がたっても、森から脱出できなかった。
「はぁ……はぁ……諦めんなよ……」
「も……もうだめ……」
「ソウ!! まだ歩けるだろ! 一緒に帰ろう! 」
そしてそれは満身創痍だったわしらの前に突然現れたんじゃ。
「あれ〜? 子供がこんなところで何をしているの? 」
幼い男児の容姿にも関わらず只者では無い雰囲気を醸し出す輩。今思えばあやつが管理者だったんじゃ。
「だ、だれ? 」
「君たちはまだ子供だし、今日は街に返してあげるけど。この先には絶対近付いてはいけないよ。」
「ちょっと待っ……」
「プログラム#3<転移>」
気付くと、わしら3人は街のど真ん中にいて、無事家に帰ることが出来た。
そして翌日、また森に向かうことにしたのじゃ
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「ちょ、何してるんですか! そんな危機一髪の所で助かったっていうのに! 」
「だって絶対にだめって言われたらやりたくなるじゃろ……」
この人、やっぱり見た目は老人中身は子供でしょ。
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「大丈夫だって! 今回はちゃんと行く場所が決まってるんだから」
「いや、でももう来ちゃダメだって言ってたし……」
「何言ってるんだよ。そう2回も同じ人に会わないって」
「ねぇ、本当にこっちであってるの? 」
「あぁもう、心配なら帰れば?……なんでそんな顔してるんだよ。ごめんって」
「あ、あれ……」
「ん? あれってなんだ? 」
振り返ると、布の裂け目のような形。されど青く光り輝く、異様な穴が空中にあったのじゃ。
「こ……これって……」
友の1人がその裂け目に向かって歩いて行ってしまった。
「あ、待てって」
もう1人の友も裂け目に歩いていってしまった。
わしは動かなかった。いや、今思うと止められていたのかもしれぬな。
途端―
目の前で血しぶきが上がった。
「は〜……だから言ったのに。この世界の進行に必要ない君たちをわざわざ生かせておいてあげたってのに」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえたんじゃ。
「お、お前……」
前日に助けてくれた少年がいたのじゃ。
「安心して。君もすぐに……いや、やっぱりやーめた」
その少年はこっちを見ながらにやけておった。
「君はさ、この裂け目が何かわかる? 」
「……わからない」
「うん。素直でいいねぇ。これはね、時空の裂け目。平行世界同士を繋ぐ……いわばワープホールだね。この先にはここよりも上位世界があるから気をつけてね」
「平行世界……? わーぷほーる……?」
「わからないか〜。平行世界っていうのはここと同じ出来事の起こっている世界、複製された世界だよ。もっとも、この世界は複製された側だけどね。複製された世界は複製された時期が遅いほど色々と弱いから。
ワープホールは……まぁ、その世界間を繋ぐ道だよ」
「……」
「少しは理解出来たようだね。そこでなんだけど、この世界はこの裂け目を見ればわかるように故障しかけてるんだ。
上手く回ってないんだよ。僕はこの世界の管理を任されているんだけど、最悪ここを消す必要があるんだ」
「そこで賭けだ。3年後、メンテナンスをする。その時までに僕の存在を聖女に信用させることが出来たらこの世界は助かる。逆に信用させられなかったら……」
「プログラム#20<肉体操作>」
「なっ……!!」
わしの姿は少年から老人へと変化していた。
「君の寿命は3年後。そして君が死ぬと同時に世界削除が行われるように設定したよ」
「な、何故そんなことを……」
「よく分からない存在がこの世界に混入しているんだ。そいつの場所も誰かも特定できない。この先そいつのせいで聖女が上手く機能しない可能性が高い。言えるのはそれだけだよ」
それだけを言い残して
「じゃあ、頑張ってね。期待してるよ。プログラム#3<転移>」
わしはまたしても街の真ん中に立っておった。




