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異常者

アルファの動きが速すぎる。

いや、速いと言うよりも、常にワープしているような動き。


かろうじて目で捉えられてはいるが、全くもって規則性がない動き。


「< 闇雷獄破砲(ドルク・グドロネア)>」


最速の魔法を使っても当たらない。

いや、当たっているんだけど、貫通してる気がする。


対してアルファの攻撃はというと―


「っ―」


剣の腕前はシュベルトとかよりも全然低いので間合いに詰められた後でも避けれる。


「君のステータスすら確認できないんだけど。まぁ少なくとも全ステータスキャラクターの上限には達しているね」


「……999には到達してるはずですけど」


「999? あぁ、それは数値上の上限であって実際の上限はもう少しあるよ。ここまで動けるんだったら実際のステータスはもう少しあるね」


初耳だ。

というかそもそも魔法値以外はステータスを測ったことがないので他ステータスもカンストしているのは知らなかった。


「ところで、僕に魔法は当たらないよ。

どんなに上位の魔法でも所詮この世のプログラムなんだから」


なるほど。この魔法もプログラムなのか。


ん? でも私の存在ってそもそも……


「おりゃっ」


間合いを詰められて剣を躱したところで試しに殴ってみた。


すぐに移動されたが掠った感覚に手応えがあった。


「なっ……」


アルファが驚きの表情になる。

頬には傷……正しくはデジタルっぽい粒子が剥き出しになっていた。

やっぱり。私はこの世のプログラム外の存在らしいから、私の直接攻撃は無効にできないらしい。


「プログラム#10 <自己再生(ヒール)>」


アルファは回復らしきプログラムを唱えた。


「なっ……こ、こんなことが……」


しかし、何も起こらなかった。


「なるほど……ファルラ、いや異常者。君は思っていたよりも深刻な存在らしいね」


悪魔、魔王の次は異常者。

なんとも酷いキメラになってしまった。


「君の存在の対処はいつか必ず行われるよ。それまでこの世界の進行は止めておくから。可哀想だけどこの世界のためなんだ」


「ちょっ…待っ……」


「プログラム#3 <転移(ワープ)>」


私の意義を聞かずに消えてしまった。


残ったのは、世界中の音が消えた静寂な世界。

周りを見渡しても動かない魔王討伐隊一行と魔王しかいない。


アリアちゃんやディルケン、その他大勢がこんな事になってしまったのはアルファのせいだが……ほんの少し、本当に少しだけは私のせいでもあるような気がしなくもない。


悪役令嬢……というよりもそれこそ魔王に近いような気もするが、どちらにせよ善ではない。

悪いのは私では無いはずなのに、なぜか胸が苦しい。


気づけば、目の前の動かないアリアちゃんに抱きついていた。悪役令嬢と聖女と言われても信じられないような光景。


「ファルラさん? 」


あぁ、幻聴が聞こえる。


「えっと……その……」


とっても聞き馴染みのある声だ。


「ど、どうしちゃったんですか? 」


何かおかしい。アリアちゃんが動いてる気がする。

ふと顔を上げると―


「…………」


顔を赤くしたいつものアリアちゃんがいた

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