秩序と管理
「プログラム#17<時間停止>」
背後から突如声が聞こえたと思うと時間が止まった。
正確には私以外の時間が止まった。
身の危険を感じた私は体を反転させてそのまま魔法陣を構えた。
「はぁ……なんでかプログラム干渉ができないんだよなぁ」
声の主は幼い男の子だった。
ただし見た目はそうでも得体の知れない雰囲気を放っていた。
「……誰ですか? 」
「簡単に言えばこの世界の管理者みたいなものだよ。管理者αって呼ばれてる。アルファとでもよんでよ」
管理者……そんな中二病の話にしか出てこなさそうな存在が目の前にいるらしい。
いや、この世界はそもそもファンタジー乙女ゲームの世界なのだから管理をする人がいても変じゃないのか。
アルファはアリアちゃんの方を向いた。
「聖女アリアが魔王を倒すという秩序が崩れている。それは君の影響が最も大きいんだ。困るんだよ。彼女が魔王を倒さないと平行世界からどんどん魔王を連れてこないといけなくなる」
「……すみません。もう少し分かりやすく言ってくれません? 」
初耳の言葉が多すぎて何を言っているのか分からない。
「まぁ、教えてあげるよ」
アルファはそう言って地面におりてきた。
面と向かってみると身長が本当に低い。
「まずこの世は数多くの平行世界……同じ時間を流れ、始まりも終わりも同じの世界で成り立っている。一つ一つの世界に管理者が付いていて、僕はそのうちの一人ってわけ」
なるほど、ゲームサーバーの管理みたいなものか。と勝手に解釈する。
「でも私が元いた世界はこことは全然違いましたよ? 」
「君が元いた世界? なるほど……でも有り得るのか? いや、道理でプログラム干渉出来ないわけだ」
彼は少し天を仰いでから言った。
「君がいた世界は異世界はまた別の世界群から来たんだ。ただ僕達管理者は別世界群は認識できない。
転生だって平行世界間の転生はたまにあっても異世界間の転生なんて普通はありえない」
「ということは別世界群を認識できる人はいるんですか? 」
つまりは元いた世界に戻ることが出来る可能性もある。
正直、ホームシックなど今となっては感じないが、前世に戻れるものなら戻ってみたい。
「別世界群を認識できるのは僕たちの上位種だよ。だけどその上位種すら僕たちは認識できない。もちろん君も認識できない。無駄だよ」
それを聞いてうなだれる。
ちょっと期待した分、残念だ。
「さて、話を逸らしすぎたね。君が異常なせいでこの世界の秩序が乱れている。最悪、世界を消さないといけなくなるんだ。
この世界の物語には君の存在も必要だけど、君は元々殺されるという運命だったよね」
悪役令嬢として生きる。そして殺されない。
「プログラム#34 <武器召喚>」
そう最初に願ったのに
彼はまたしても謎の魔法のようなものを唱えた。
気付くと、彼の手には大剣が握られていた。
「悪役令嬢ファルラ。君の存在を消させてもらうよ」
なんでこんなに上手くいかないのだろうか




