魔王がいっぱい
邪神ファルラ。悪魔とは呼ばれたことがある私も邪神と呼ばれた記憶は無い。
かと言ってゲームにそんなキャラが存在したかと言われるとそんなことは無い。
「なんだったんでしょうか……」
アリアちゃんも困惑した顔をしている。
謎が残りすぎだ。
何故魔王は塔ごと復活したのか。何故アリアちゃんが死んだことになっていたのか。そして邪神がなんなのか。
目の前に横たわる魔王の姿を見て、蘇生の魔法が使えたらと強く思う。
「それに邪神ファルラさんって……」
「アリアさんもそう思いま―」
「すごくかっこいいじゃないですか!! 」
「え? 」
いや、まぁかっこいいと言えばかっこいいのだが……
この子、厨二病までこじらせてるの?
いや、ファンタジー世界なんだから厨二病じゃないのか。
「もう1人のファルラさん……いや、別世界のファルラさんは神様になっているってことだったり! 」
「と、とりあえずこの一連のことは国王陛下に相談した方がいいですよね」
人の話を聞かなくなる前に話を進めておく。
「あ、そうですよね。確かにこれは報告しないと」
というわけで王都に空を飛んで戻ることになった。
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「ふむ……報告ご苦労。魔王は倒され、塔は残ったままなのだな? 」
一通り国王に報告を終えた。
「はい」
塔の最上階にそれなりの大きさの穴を空けた以外は、塔は綺麗に残っている。
「では、このことは国家機密とし、重臣会議で話し合うことにしよう。ご苦労であった」
国王との面会を済ませた私たちは、ディルケンに会った。
旅行の時の事件以来ちょっと気まずかったのだが、お互いにいつも通りの対応だった。
彼になら話してもいいだろうと思い経緯を話した。
そしたら呆れた顔をされた。なんで?
「はぁ……ファルラ、あとアリアもだが。何故俺にも言わずに2人だけで行った? 」
あれ、もしかして仲間はずれにされたと思ってる?
「ごめんね、これからは誘うようにするから」
「違う! 危険だから言っているんだ。自分を大事にしろと言ったのを忘れたのか? 」
危険……確かに、詳細の分からない敵に対して無策で挑んだことは危険だったかもしれないけど。
「とにかく、もう次からは相談無しに危険な行動をしないでくれ。お前の実力を疑っている訳では無いが、こっちの身にもなってくれ」
といった感じに親っぽいことを言われて少し反省した。
「まぁ……今回は何事も無かったんだ。しっかり休め」
お言葉に甘えてしっかり休もう。そう思ったのだが―
「魔王討伐隊及びファルラ・ドラゴイド。再び魔王の出現が確認された。魔王討伐に向かうように」
―1週間も経たないまま、魔王が再出現したのだ。
しかも今回はご丁寧に街への襲撃付き。
魔王幹部が襲撃し、魔王の幻影が王都への襲撃を宣言した。
一刻も早く魔王を討伐するようにとの事だ。
「ファルラ・ドラゴイド……貴様何故ここにいる? 」
「国王陛下までこいつに惑わされているんだ。あぁ…今すぐにでも討伐してやりたいよ」
魔王討伐隊ということで嫌な予感がしていたが、レードルとシュベルトもいる。魔王より面倒だ。
「2人ともまだそんなこと言ってるんですか!? 王国の危機なのに、いい加減にしてください!! 」
アリアちゃんの正論とディルケンの静かな怒りと私の呆れ顔(多分関係ない)で静かになった。
そんなことがありながらも、今回も変わらず空を飛んで魔王塔へと向かうことになった。
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案の定、幹部はいた。
全員かなり強く、<闇極砲>を数発撃つ羽目になった。
連発したところで魔力には全然余裕があるのだが、それよりも魔法の流れ弾で魔王討伐隊一行を殺さないように気を使う必要がある。
正直、全員置いて行きたかったのだが……
ということで、魔王の間に着いた。3回目だ。
「ふはははは、我の下僕たちを倒し、よく来た。褒美に我が直々に貴様らを葬ってやろう」
台詞も全く同じ。
前回の魔王と同じ質問をしたところで、アリアちゃんが死んだという認識、私に倒された記憶が無いこと、一致していた。
ただし、邪神という存在を知っているか聞いたが、
「邪神? なんだそれは。闇の存在で最も強いのは我であろう」
と一蹴された。
「最後にひとつ聞きたいのですが、この世界、本当にあなたが元々いた場所ですか? 」
どうせ倒さなければいけない相手。
今まで魔王を2度討伐したこと、アリアちゃんが今もここにいること。全てを話して質問した。
「なるほど……確かに我も奇妙に思っていた。我は既に人間の街をかなりの数破壊したはずだった。
しかし昨日目覚めてみれば、壊したはずの街が復活しているではないか。復興の兆しはなかったのに。薄々疑問に思っていたのだ」
不意に、彼が立ち上がった。
「ファルラ・ドラゴイドといったな。どうだ、我と共にこの謎を解かぬか」
そう魔王が言った途端。
「プログラム#17<時間停止>」
この世界全ての時間が止まった。




