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海と触手

※このお話は同人誌的な内容を含んでいません。

旅行2日目。

昨晩の夕食会だが、相変わらず突っかかってくるアレイドル以外とは楽しく過ごした。

食事もドラゴイド家でも中々食べれないようなものが多く、つい食べすぎてしまった。


そんなこんなで充実しているこの旅行だが、アリアちゃんが早朝から私の部屋に突入してくるのをどうにかして欲しい。

―目覚まし時計よりも効果あるから平日にやって欲しいんだけど。


「せっかく港町に来たんですから、海行きましょうよ海!! 」


漁村に生まれた私だが、前世では実は泳げなかった。

たとえ転生したとしてもそれは変わらない気がする。


「おことわ………」


言い終わる前に、ドアがノックされた。


「ファルラ、入ってもいいか? 」


この声はディルケンだ。


入ってきたディルケンは昨日に増してバケーション感溢れ出す格好だった。


……昨日のこともありまともに顔を合わせられない。


「ん? なんで顔を逸らすんだ? 」


やめろ。覗き込んでくるな。


「あ、そういえばディルケンさんも海行きませんか!? 」


「海か。いいな。俺もちょうど何処か行こうと誘おうとしてたんだ」


え、ディルケンも来るの?

いや、でも泳げないし……まてよ。


今の自分のステータスを考えれば、泳ぐぐらいゴリ押しできるんじゃない?


「じゃ、じゃあ、私も行きます」


かくしてご都合主義を願って海へと行くことになった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「うわぁー、綺麗ですね」


馬車で20分ほどのところに海はあった。

これだけ離れているのなら街からじゃ海の気配がないわけだ。


「俺は去年にも来たことがあるんだが、いつにも増して絶景だな」


彼らの言う通り、海は透き通っていて綺麗だった。

綺麗さ的には前世のそれより綺麗だった。


「泳ぎますよ!! 」


アリアちゃんが海に向かって走り出した。

それに続いてディルケンも走り出した。


泳げるよね……多分。

自分のステータスを信じて私も続いた。


結果は……。

……普通に泳げた。


前世までのトンカチぶりはどこへやら、ステータスのお陰かとんでもない速度で泳げる。

透き通った海にはカラフルな魚が泳いでいて、この街ではじめてワクワクした。


つい楽しくなってかなり沖の方まで泳いできてしまった。


急いでアリアちゃんたちの元へ戻った私が目にしたのは―


「ふ、ファルラさん!! 」


―超巨大なタコに捕まっているアリアちゃんとディルケンだった。


「た、助けて…じゃなくて逃げてください……やっぱり助けてください〜 」


聖女としての善意と人間としての本能が戦っているようだ。


とはいえそんな呑気なことを言ってられない。

この触手と水着が合わさってしまったらR対象になりかねない。早く助けないと。


だからといって変に魔法を使ったら彼女らごと消し炭にしてしまう。


「<掴心臓(クライフ)>」


結果的に、相手の命に直接干渉できる魔法を思い出した。

この魔法、自分の魔法値よりも相手の防御が高かったら成功しないのだけど、私はカンストしているので問題はなかった。


結果的に海のヌシの触手から抜け落ちた2人は海に落ちた。


「ありがとうございます……」


ちょっとアリアちゃんのR制限姿も見て見たかったが、この物語はカジュアルなものなので我慢する。


……というか、さっきからあまりにもディルケンが静かすぎる。

見渡すと、彼の姿が見当たらない。


「ファルラさん! あれ! 」


アリアちゃんが指す場所には、ディルケンがいつも付けていた腕輪が浮いていた。

嫌な予感が横切った私は無我夢中で潜って彼を探した。


いた。

幸い、流血などはしていないようだが、気を失っているらしくどんどん沈んでいく。


急いで追いかけて腕を掴み、そのまま浮上した。


「ディルケン!! 起きて! 」


「ディルケンさん! 」


声をかけても目を覚ます気配は無い。


回復魔法を使っても効果がない。残念ながら状態異常には効かないらしい。


こういう時は心臓マッサージなのだろうが、やり方がわからない。

手段を考える暇のなかった私はとっさに人工呼吸をしていた。


「キ……キスッ!? 」


となりでアリアちゃんがなんか喚いているが気にする間もなく人工呼吸を繰り返した。


「ん……げほっ…」


「ディルケン!! 」


「ファル……ラか…っっ!? 」


息を吹き返したはずなのに、また人工呼吸…唇をくっつけてしまった。

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