クマの襲来?
「マイカお姉ちゃん、そう言えばセルアルのお兄ちゃんは?」
「追いかけて行ったけど、会わなかった?」
「え?いや、それが…」
「マイカ団長!大変申し訳御座いませんでした」
団員達の土下座が、マイカの言葉を遮った。
「どの様な処罰も、受ける所存でございます」
「ちょ、皆さんなにを言ってるの?」「顔を上げて下さい」
慌てて駆け寄るマイカの言葉に、団員達は顔を上げると
気不味そうな表情を浮かべた。
「命令と言えど、ゴブリンの群れに団長お一人残して
避難するなど、あってはならない事かと思います」
「あの状況では、あれが最善の策だと思ったから
私の判断で下したのですから、貴方達に責はありませんよ」
「寛大なお心遣い感謝致します」「それにしても、あの状況の中
よくぞご無事で!」
「ゴブリンの群れは、団長がお一人で倒されたのですか?」
「いや、それが…」
「え?群れって、なに?沢山居たの?」
「ええ、まだ三十匹は、居ましたよ」
「すご〜い」「マイカお姉ちゃんが、全部やっつけたの?」
再びマイカに向けられた、無垢で純粋な笑顔に戸惑った時
『ズズ〜ン』講堂の入り口付近から音が響いて 振動が床から伝わってきた。
「なに?」
マイカが、立ち上がると子供達がしがみ付いて震えていた。
「マイカお姉ちゃん、怖いよ〜」
小刻みに震える、子供達の頭を撫でながら
「大丈夫」「なにがあっても私が、いや私達が守ってあげる」
「そうよね?」
「ええ、その通りです!」
そして、マイカ達がこうの入り口に近づいた時
『ドン、ドン』
激しく扉を叩く音に混じり、呼んでる様な、叫んでる様な
妙な声を耳にして、ひょっとしてセルアさんかしら?
マイカが、剣を構えてジリジリと近付いて、扉を開くと
二メートル近いクマが、扉の前で仁王立ちになっていた…
セルアルさんじゃなかった!ゴブリンの次はクマ!?
しかも、こんな巨体に講堂の中で暴れられたら、
被害が出る前に、早目にやらないと、マズイ。
その時クマが、太い両腕をマイカ目がけて振り下ろしてきた
・・・と思ったらそのまま床に倒れて、その倒れた上に
もう一頭、そしてもう一頭、合計三頭のクマが
山積みにされた…
「え?」
マイカに団員達、そして講堂に避難している町民達が、
唖然となって倒れたクマを見ていると、その背後から
セルアルが姿を現した。
「食料獲ってきたクマ〜なんつって」
『シ〜〜ン』
静けさが、講堂内を包み込んだ…
「あ、あれ?皆んなどうしたの?」
「い、いや」「こっちが聞きたいですよ!」
「このクマはセルアルさんが一人で?」
「一頭でもいいかなと思ったら、三頭居たので
多い方がいいだろうと思って」
クマを見た子供達が、歓声を上げながら駆け寄ろうとするのを
マイカが、引き止めた。
「そのクマ、もう近付いても大丈夫ですか?」
「ええ」「大丈夫です」「死んでますよ」
「凄い!」
「セルアルのお兄ちゃんが、全部やっつけたの?」
「凄いだろ〜」
子供達は、胸張ったセルアルを目を細めてジッと見ると
「って言うか、お姉ちゃん達を助けに行ったんじゃ無かったの?」
「いや〜それが俺が行ったら、終わってたから
それなら食料でも、と思ってさ〜」
「もう〜セルアルお兄ちゃんってば、頼りにならないわね!」
「でも、こんな大きな熊三匹も凄いじゃね〜か!」
「そうだよ!」「食べ物全然、なかったし!」
「そうね〜仕方ないから、許してあげるわ」
え〜なんで、上から目線…
セルアルはあえて沈黙を保った。
その日、講堂に次々と住民が押し寄せて、クマ鍋の食事会が開かれた。
魔物に田畑は荒らされ、家畜も食い荒らされて、ろくな食事も出来ずに
震えながらの毎日だった町民にとって、久しぶりの真面な食事に
襲ってきた魔物の群れの討伐という、明るい知らせに
皆んな浮かれて、夜遅くまで宴会が続いたのだった。
更新遅れてすいません。
懲りずに見に来て頂ける事を祈ります。
オラに力を〜(失礼しました)




