ウサギが指輪をくれたから
武頼庵様主催「恋の詩企画」参加作品となります。
身長の高さは男子のアドバンテージ
でも女子は違う
何かのスポーツに特化した才能がなければ
ただの「デカい女」
庇護欲なんて、注がれないよね
高身長の男子ほど、ちんまりとした女のコを選ぶもの
シンデレラが落とした、ガラスの靴が大きかったら
王子様は彼女を探したのかな
7センチヒール履いた自分より、背の高い男性を求めるのは
我がままなんでしょうか、神様
鬱々と、バスケボールを追った十代
初恋は、アニメ声の華奢な女子に取られた
せめて最後の大会は、華麗なプレーを見せつけたいと思った
そんな心の醜さを、神様はやんわりと窘めた
杖を抱えて一人で泣いた
そんな時
ウサギが来た
黙って傍にいてくれた
ウサギは同い年の男子
部活も同じ。
笑うと前歯が真っ白
小柄だけどジャンプ力はスゴイ
パフォーマンスだけなら部内、ううん、校内一だ
ウサギは鼻先でツンツンしてくる
でも、ごめん
タイプじゃない
いや違う
それは
嘘
ウサギがいつか、別の可愛い子に走っていったら、きっともっと傷つく
つかず離れずの、友だちがいい
それも
嘘
好きです
なんて、今更だよね
ある日ウサギ君、指輪をくれた
誕生月の石付の
まるでウサギの目のようだ
陽ざしを受けて、キラキラしてる
「私でいいの?」
「君がいい」
ウエディングの日、私は7センチのヒールを履く
男性に「ウサギみたい」と言うのは、いろいろな意味で推奨しません。