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2021年 大学祭企画

架空遺言②

作者: 街日碧



拝啓、愛おしいあなたへ。


柔らかく暖かな日差しが降り注ぎ、木々や花々を照らすいい季節となりました。あなたはお元気でしょうか。


この遺言をあなたが読むのは、私の命が朽ち果てきる前であることを願います。とは言っても、死んでしまう前に読まれてしまっては、遺言ではなくなりますかね。


さて、突然にして音信不通になったこと、大変申し訳なく思っています。あなたは私のことを沢山心配してくれたでしょう。ですが、どうしても私にはあなたに病にかかり弱った姿を見せたくなかったのです。私の小さなプライド、というものです。あなたには万全の準備を施こされた舞台の照明に包まれた、最高に輝く私だけを見て欲しかったのです。


ですが、さすがにそうは言ってられなくなりました。私の身体を蝕む病魔はいよいよ、生命にまで到達してきたようです。


ですが、このまま生の幕を終えるのは味気ないと思ってしまったのです。あなたの顔をもう一度、この目に焼き付けたいと。願いを抱いてしまったのです。


そこで、あなたを舞台へと招待したいと思います。チケットを同封させて頂きましたので、後でご確認して頂けると幸いです。


身を燃やし尽くし、骨すらも残らない。

そんな姿をあなたにご覧入れましょう。決してあなたの記憶から消え去らぬように。

これは私の最期の舞台となりましょう。

どうか、愛するあなたが私の終焉を飾ってくださることを祈ります。


明るい人、温かい人、優しい人、愛するあなた。

どうか、あなたの人生に多くの幸が訪れんことを祈り。


敬具

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