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「はっ、これだから凡人は……」
やれやれ、と軽く首を振って大げさにため息をつく牧義。
ちらりと竜香を見ると、今度は得意げに笑みを浮かべて見せる。
「何よその表情妙に腹が立つんだけど」
「ふん、そこのはずれとはまた違った角度から、俺は俺による俺独自の俺ならではの癒しを与えることができるんだ」
「なんか格好つけて言ってるけど、要はいつもの妄想でしょ?」
「なんてことを言うんだ!」
「じゃあなんなの。今聞いた感じだとせいぜい気のせい程度の何かがあればいいなーってレベルだと思うんだけど?」
「俺が言っている看病とは、俺による俺が生み出した俺ゆえの看病で心の安らぎを与え、気持ちも落ち着けると同時に快適な眠りと明日への活力をもたらそうという話だ!」
そう言い放つと、何やら意味ありげにポーズをつけながら指先を器用に動かしてみせる。
その動きは確かに、見ようによっては特別なマッサージなり何なりの効果が期待できそうにも見えなくはない。
「え、牧義ってばそんなワザ持ってたの?」
純粋に気になるらしく、遊希が尋ねる。
「勿論!」
いい助け舟だ! とばかりに髪をかき上げ笑みを浮かべ遊希に向けてパチン、と指をならす牧義。
「ほほう、どんなワザだ?」
意外だとばかりに持山も彼に問いかける。
そういった特別な技があるのならばぜひとも活用してもらいたい、と聞く姿勢を取る。
「フッ……それはもちろんこの俺の美の輝くオーラと共に!」
「オーラと共に?」
「天使も恥らう眼差しを受け!」
「受け?」
「耳元で愛の言葉をささやけば全ての女たるもの幸福絶頂の極み間違いなし!」
「……」
「高まる情熱に体温上昇はもちろんのこと欲情発じょ──ガッ!」
「はい残念」
危険な言葉を連発しかける牧義を自分のローブの裾でくるんで竜香が黙らせる。
「聞くだけ無駄なことくらいわかるでしょ。全くもう、余計な情報頭に入れて夢見が悪くなったらどうするのよ」