第89話 砂漠のダンジョンマスター?
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「そ、その申し訳ありませんですの」
「いや、別に大丈夫だよ。それに元に戻ってよかったよ」
アイが仲間に加わってから、暫くこの場で休憩をとることにした。密かにここには紅茶を淹れる設備が整っていたようで、アイがその場所を教えてくれたのもあって、紅茶を飲んだりして休むことにしたんだ。
そうこうしている内にモルジアの魔力酔いも覚めて、謝ってきたわけだね。
確かに凄く僕に甘えてきて戸惑いはしたけど、魔力酔いなら仕方ないしね。だから気にしなくていいよと伝えたら、心が広いとか流石お兄様とか感謝されてそっちの方が戸惑ったけどね。
「ですが、この小さな女の子があのモ愛、えっと今はアイですの?」
「そうかしら。愛よね愛!」
アイは、小鳥が囀るように答えた。この状態だと凄くいい声してるんだよね。
「ふぅ、しかしよぉ。この上が最後なんだろう?」
「そうかしら。この先にはかつての私の王がいるかしら。それも愛!」
「ボス戦って奴だね。でも、ボスはあんたより強いんだろ?」
アローネがアイに問いかけつつ眉を顰めた。アイはボスの下へいかせない守護神と言っていたけど、ボスはやっぱりそれよりも強いものなのかな。
「それは当然かしら。私は王より生まれた存在、王の愛で! その王が私より弱いわけがないかしら」
「てかよ。なにか普通に喋ってるけど、まさかその王ってのも喋るのか?」
アイの説明を聞きつつ、ライゴウが首を傾げる。僕はダンジョンに詳しくないけど、普通は魔物が喋ったりはしないらしいね。
「当然かしら。愛があれば言葉を介すぐらいむしろ当然かしら!」
「それは全然普通じゃないと思うんだがなぁ」
サーチが頭に手をやり、やれやれとため息を吐いてるよ。
「まぁ仕方あるまい。お前たちはボスと言うが、ここに存在するのはダンジョンマスターであるからな」
「「「ダンジョンマスターーーー!?」」」
フィーの話を聞いて、冒険者の三人が一様に驚いた。ダンジョンマスターというのはそこまでのものなのかな?
「ダンジョンマスターというのは危険なの?」
「いやいやボス。危険なんてもんじゃねーよ。そもそも会ったことないけど」
「ダンジョンマスターはダンジョンの核が意思を持って肉体を得た状態の物を指すわ。だけど普通はそこまで成長する前にタイミングを見計らって核を壊すものよ」
「それぐらいダンジョンマスターってのは驚異的なんだぜ。かつては魔王と呼ばれていたこともあるとか聞くしな」
そ、そうなんだ。そんな凄い存在がここのボスだなんて、大丈夫かな?
「全く今更何を言っておる。そもそも砂漠に存在するダンジョンの核は全てダンジョンマスター化しておるのだぞ。この程度で驚いていては身が持たんのう」
「「「全てがダンジョンマスターーーー!?」」」
また冒険者の三人が驚いた。それぐらいとんでもないことなんだと思う。
「ちょ、ちょっと待ちなよ。その他はともかく、この後そのマスターに挑むのかい? 流石に無謀じゃないのかい?」
アローネが顔を強張らせた。声からも不安の感情が現れている。
「やれやれ忘れたのかえ? そこの小娘壱号の肩に乗ってる小娘モアイ号は」
「小娘モアイ号って何かしら!?」
「うるさいのう。とにかく、そやつを妾や王の力無しでお前たちだけで倒せたのだぞ? 確かにダンジョンマスターはこやつよりも強いのであろうが、それでも妾と王がいる以上負けはない」
フィーが自信を覗かせる。でもフィーは頼りになるしわからなくもないけど、僕は砂魔法が使えるだけだし、決して油断は出来ないね。
勿論戦いとなれば全力で戦おうと思うけどね!
「おう! 言われてみればそのとおりだ。王だろうとダンジョンマスターだろうと、このメンバーで負ける気がしないぜ! なぁアイン!」
「うむ! 我は王の矛としてそして盾として死力を尽くすのみ!」
「気合を入れるのはいいけど、アインはともかくライゴウ、あんた剣がないじゃないか。私も矢がないしさ」
「は、しまったぁあああああ!」
ライゴウが頭を抱えた。そういえばさっきの戦いで折れたんだったね。
「そんなこと悩む必要あるかしら?」
「いや、あるだろう! 武器をなくしたんだぞ!」
「それなら丁度いい剣がそこに転がってるかしら。それを使えばいいかしら。愛を持って! 愛よね愛!」
そう言ってアイが指差した先に確かに剣が転がっていた。あれは、さっきまでアイが使っていた剣だね。
「いや、たしかに転がってるが流石にこれはでかすぎだぞ」
腕を組んでライゴウが、う~ん、と唸ってるね。確かに大きな時のアイが使っただけあって剣だけでもライゴウが三人並んだぐらいに大きいよ。
「それなら問題ないかしら」
アイが指を剣に向けると、剣がみるみるうちに縮んでいったよ。あっというまにライゴウがこれまで使っていた大剣と同程度のサイズになった。
「お、おお! すげーーーー! やったぜ! これ、使っていいのか?」
「別に構わないかしら。そもそも私、別に剣や盾を使いたいわけじゃないし」
「え? そうなの?」
「おいおい、でも愛の斬撃とかいう凄い技つかってただろう?」
「これのことかしら?」
僕も驚いたけど、怪訝そうなライゴウをよそにアイが手刀を振ると愛の斬撃が出ていた。
「こんなの剣がなくても出来るかしら」
「マジかよ!?」
あ、うんそれなら問題ないよね。
「それならこの盾もいらない?」
「いらないかしら。必要ならそれも縮めることも出来るかしら。私の愛で! 愛よね愛!」
「うん。でもこれはこの大きさのままでいいんだ。モルジア回収できるかな?」
「お任せですの!」
そしてモルジアが巨大な盾を空間収納で回収してくれた。
「でも王様。こんな盾どうするつもり?」
「うん。ちょっとしたお土産としてね」
「お土産?」
アローネもサーチも疑問顔だけど、ぴったりな相手がいると思ってね。
「ふむ、なるほど流石は王であるな。良く考えておるのう」
「ンゴ?」
「ス~ナ~?」
流石にフィーは僕の意図に気がついたみたいだね。ラクとスーは不思議そうにしているけどね。
「後は私の矢だね」
「それはね、モルジアお願いしても?」
「はいですの!」
そしてモルジアが出してくれた砂を利用して僕は矢を作ってみせた。
「即席だけどこれでどうかな?」
「王様、本当凄いね。でも、この輝きって……」
「うん。ダイヤモンドの矢だね」
「ダイヤモンドの矢ーーーーーー!?」
アローネが目を見開いて驚いていた。
「そ、そんな高価なものいいのかい!?」
「砂は一杯あるからね。気に入らなかったなら変えるけど」
「いやいや、それはないけど、でもこれ、軽いわね」
「うん。それ外側はダイヤだけど中は砂なんだ。軽量化の為にね」
「流石お兄様ですの! 使い手の事を考えた最高の仕掛けですの!」
「ダイヤの矢……ちょっと勿体ない気もするけど威力は高そうだね」
「ンゴッ!」
ダイヤモンドの矢は概ね好評だったね。アローネもやる気が出てきたって張り切ってくれているし。
「ところでアイはダンジョンマスターを相手にしてもいいですの?」
「問題ないかしら。今の私にとってマスターはイシス様なのかしら! 愛よね愛!」
「ありがとうアイちゃん」
「その呼び方にきゅんきゅんくるかしら♪ 愛よね愛!」
アイとイシスはすっかり打ち解けているね。
そして一休みを終えて僕たちはいよいよ最後の階層に向かった。
「カセ、頼りにしてますの」
『ケケッ、勘違いするなよ。俺は自分のためにやってるだけだからな』
モルジアのカセを見る目には変化が見られるね。カセもいつもどおりに見えるけど、でも関係は良くなってるきがするね。
そして僕たちは最後の第八階層に足を踏み入れた。上った直後目の前に聳え立っていたのは巨大な扉だった。
この層はこの扉を抜ければすぐにボス戦となる。
「よし! 行こう!」
そしてみんなで気合を入れて扉を抜けたのだけど――
「挑戦者よ待っていたぞ! さぁ言ってみろ、俺の筋肉を言ってみろ!」
「いきなり変な質問してきたーー! というかこいつもマッソーかよーーーー!」
目玉が飛び出でんばかりにサーチが驚いていたよ! でも、それもわからなくない!
僕たちを出迎えたのは、王冠を被った上半身裸でマントを羽織ったムキムキのモアイだったからね!
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また別作品ではありますがこの下にある表紙は現在コミカライズ連載中の『300年引きこもり、作り続けてしまった骨董品《魔導具》が、軒並みチート級の魔導具だった件』となります!本日第7話がBookLiveにて先行配信されましたので宜しければ是非!
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