第61話 砂漠で暴れる亜人
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トヌーラが倒れた。怒りに任せて放った砂巨烈拳で壁に叩きつけたからだ。
他の連中も皆の協力もあって倒された。ジャックとラビアも無事だし、スイムさんを含めた水使いが僕たちを助けてくれた。
僕は、本当に仲間に恵まれたなと思う。最初はたった一人でこの砂漠に追放されたのに、いつのまにか僕の周りに色々種族が集まってくれた。
とにかく、皆のおかげでこれで全て解決だよ! 後はトヌーラを動けないようにして今後のことを皆で考えないとね。
「バーサク!」
「え?」
その時、聞き覚えのある声。そうさっきまで耳が汚れそうなセリフを吐き続けていた醜悪な商人、トヌーラの声が僕の耳に届いた。
「お前、どうして?」
弾かれたように首を巡らせて確認すると、立ち上がったトヌーラが勝ち誇ったように口元を歪めていた。
「はは、こんなこともあろうかと。ポーションドロップを持ってきておいて正解だったわ!」
ポーションドロップだって? 聞いたことがない。思わずペルシアを見た。
「にゃん。ポーションを固形化してドロップにした物にゃん。最近になって出来たばかりの品にゃん。ポーションより手軽な分効果は若干落ちる物の、まだまだ市場に多くは出回ってないからかなり高いはずにゃん」
そんなのが開発されていたのか。だけどドロップぐらいの大きさなら隠し持っておくことも容易だ。
「だったらもう一度」
トヌーラ目掛けて魔法を試みる。だけど、そんな僕の耳にペルシアの緊迫した声が突き刺さった。
「待つにゃん! もし今のバーサクがアレなら――」
「う、ウグウォオォオォオォオォオオオオォオオォオ」
ペルシアが何かをいいかけたところで、突如ジャックが腕を振り上げ雄叫びを上げた。
何か様子がおかしい。一体これって?
「じゃ、ジャックさんどうしたんですか?」
「いけないにゃん! 首輪に狂化の術式が仕込まれていたんだにゃん! 早く逃げるにゃん!」
「え?」
「ウォオオォォオォオ!」
ペルシアが声を張り上げたけど、咄嗟に理解できなかったのか、ラビアはキョトンとして動きが止まってしまっていた。そこへ無造作に振られたジャックの腕が迫る!
「砂魔法・砂壁!」
咄嗟にラビアを庇うように壁を作成した。だけど、パワーが凄まじい。壁は破壊されてしまった。
「キャッ!」
それでも壁のおかげか腕の軌道が逸れて直撃は免れたよ。でも、驚いたラビアはその場で転んでしまった。
「グゥゥウ」
ジャックの目がラビアを捉える。あの優しいジャックと今の姿はまるで違う。ペルシアの言っていたとおりなら、すっかり豹変してしまっているんだ。
「空間転移ですの!」
その時、モルジアがラビアの側に現れ、彼女を掴んで再び転移。間一髪、ジャックの腕が二人の消えた後の地面に叩きつけられた。
腕が地面に埋まり大きく凹んだ。その余波で洞窟全体が激しく揺れる。
「トヌーラ! 貴様どこに行く気だ!」
その時、スイムさんの声がしてトヌーラを見ると足元に魔法陣が浮かび上がっていた。
魔法陣の上ではトヌーラが底意地の悪そうなにやけた笑みを浮かべている。
「あれは、さては帰還の玉を使ったにゃん!」
帰還の玉?
「かかっ、あんな狂った亜人の近くにおっては巻き込まれかねんからな。さっさとトンズラさせて貰うぞ。そして喜べ! 私が解除しなければ奴は暴れっぱなしで止まることはない。どうしても止めたきゃ命を奪うことだ。できるものならな!」
そう言い残してトヌーラの体がふっと消え去った。
「ペルシア、あれは?」
「帰還の玉――今いる場所から瞬時に登録した場所に帰還できる魔導具にゃん」
「つまり奴は国に帰ったということかのう?」
フィーが眉をひそめて聞いた。こんな好き勝手な真似して帰るなんて!
「にゃん、だけどそれは無理にゃん。いくら帰還の玉でもここから国まで戻るほど範囲は広くないにゃん。その場合ランダムで適当な場所まで使用者を転移させるにゃん」
ペルシアがそう説明してくれた。国までは戻っていない……だけどどこに飛んでいったかまではわからないってことか。
「ふむ、ならば砂漠にはいるのであるな?」
「それは間違いないにゃん」
「ふむ、それなら良かったであるぞ」
え? 良かった? そして何かフィーが冷たい笑みを浮かべたようだ……
「グオオオォォオォオオオォオオ!」
「お、お兄様! あれはもう暴れて手がつけられないですの!」
そうだった! とにかくトヌーラのことは後回しだ! 先ずはジャックをなんとかしないと!
「くっ、トヌーラが言っていたジャックの使い方というのはこのことだったか! 仕方ない! 水魔法・螺水丸!」
するとスイムさんの手から螺旋回転する大きな水球が投げつけられた。向かってきたそれをジャックがうけ止める。
「グォォオオォオォオオオ!」
そして雄叫びを上げジャックがスイムさんの魔法を握りつぶしてしまった。やっぱり狂化によって十全にパワーが発揮されているよ!
「これを潰すか。やはり水のない場所では限界がある。お前たちも何をしている! こうなってはもう倒す他無いぞ!」
「ウォオオォォォオオォォオオォオオ!」
スイムさんが僕たちに呼びかけ、ジャックがまた大きな雄叫びを上げた。洞窟が揺れてその余波で天井が崩れて何箇所かに落ちてきた。
僕たちやスイムさん達のいる場所は無事だけど、このまま暴れられたら洞窟は持たないかもしれない。
トヌーラは言っていた。自分が消えたらもうジャックは戻らないって。
やるしかない? でも――
「お、お兄様……こうなったら仕方ありませんですの。私が一か八かあの首輪を収納しますの!」
「え? それでジャックさんは大丈夫なの?」
モルジアの発言にラビアが心配そうに聞き返した。モルジアが眉を顰め答える。
「わかりませんの……でも何もしないよりは……」
「そ、そんなの嫌よ! もし失敗したら、ジャックさんはいい人なのよ!」
そしてラビアが僕の側へやってきて縋り付いてきた。
「お願い! ジャックさんを助けてあげて! 心優しい人なの! 首輪で我を忘れているだけで! あの首輪さえ何とかなれば、貴方の魔法でなんとかして! お願い!」
ラビアが懇願してきたよ。でも、僕の魔法でジャックの首輪を? そんなこと、果たして僕に出来るのだろうか――
逃げたトヌーラにもしっかり制裁するひつようがあるでしょう。
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