第6話 砂漠の蟻と女王
いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!
最初は砂の波乗りにハニーアント達も驚いていたけど。
「「「アリ~♪ アリ~♪」」」
どうやら乗っているうちに楽しくなってきたみたいで、今はどことなくウキウキした鳴き声を上げていた。
折角だからビッグウェーブを演出してその中を移動してみたら、それもまた驚き喜んでくれたよ。
「凄い――本当にホルスの魔法には驚きです」
「う~ん、でも砂がないと使えない魔法だからね」
「だとしても、逆に言えば砂があればその効果は絶大です! 凄いと思う!」
イシスに褒められた。それは嬉しいけど、僕からするとイシスの生命魔法の方が凄いとは思うんだけどね。
だって植物をあんなにも早く成長させたんだもの。砂魔法だと根ごと移動してくるのが精一杯だったもんね。
「アリリ~♪」
ハニーアントの一匹が器用に指で僕たちに行き先を教えてくれた。指の先にはまるで城のような巨大な蟻塚が築かれていた。
す、すごいな。砂漠にこんな大きな建造物があったなんて今まで気づかなかったよ。距離的に砂の城から感知できる範囲でもなかったしね。
「アリッ!」
波を止めると、蟻達が入るように僕たちを促してきた。入り口は僕たちが通っても余裕があるぐらい広い。門番っぽい蟻もいたけど僕たちが通る時に挨拶してくれた。
蟻塚の内部も歩くのに十分余裕がある構造だ。だけど部屋はかなり多くて、忙しそうに蟻が行ったり来たりしている。
そして更に奥へ進むとこれまでの部屋より遥かに大きな広間のような場所に出た。そこには玉座のような物があって、一人、いや一匹? とにかくそこに座っている蟻がいた。
ただ他の蟻とは様子が違う。この蟻ははっきりと手足に見えるものが備わっていて、座り方も人と同じだ。
「ようこそいらっしゃいました」
「「しゃべったーーーー!」」
「ンゴォォオオオオオx!」
お、驚いた。玉座に座っていた蟻が立ち上がりしかもしゃべった! 流暢に! 思わず僕もイシスもラクさえも叫んでしまったよ。
「驚かせてしまいましたね。私はこの蟻塚の長。ハニーアントの群れを率いる女王です」
あ、蟻って人の言語も介すんだ。初めて知ったなぁ。頭がいいんだね。
「あ、僕はホルスといいます」
「私はイシスです。そしてこの子がラク」
「これはこれは、どうぞ宜しくお願い致します。それにしてもみつ瘤のラクダとは珍しいですね」
女王がラクに顔を向けた。興味津々といった様子も感じられる。
「それにしても言葉が通じるとは驚きですね」
「私達のような王種は他の蟻とは体の作りも若干異なり、そのためか人の言語も理解し発することが出来るのです」
確かに女王は体の作りは人に近そうだもんね。
「さて、この度はわざわざお呼びたてしてしまいもうしわけありません。実は働き蟻達から危ないところを助けて頂いたとお聞きし、是非ともお礼を言わなければならないと思いまして」
女王蟻が話を切り出す。あの鉄みたいな蟻から助けたことだね。それでお礼をだなんて律儀な蟻さんだなぁ。
「それなら蟻達に蜜を貰ったので。それにその蜜のおかげでこの子、イシスも助かったんですよ」
「はい。私が衰弱していた時にホルスが蜜を食べさせてくれたおかげで元気になれたんです。その蜜を蟻達がわけてくれたというならお礼を言いたいのはむしろ私の方です」
イシスが敬意を表する。女王蟻はどことなく優しい表情を見せた。
「私どものお渡しした蜜が役立ったなら何よりです。それにしてもあのアイアンアントを退けるとは。ホルス様はお強いのですね」
アイアンアント、それがハニーアントを襲っていた蟻の名称のようだね。
「いえ、砂の魔法がちょっと得意なぐらいですから」
「まぁ、砂の魔法ですか。それは凄い」
蟻の女王様が随分と感心してくれた。何だか照れる。でも、僕の国では全く評価されなかった属性だけど、こうやって認められるのは嬉しいものだな。
「でも、同じ蟻同士でも争いになるんだね」
「醜態をお見せしお恥ずかしい限りです。ただ、以前はこんなことはなかったのですよ。アイアンアントは好戦的な蟻ですが、話がわからないわけではありません。アイアンアントの王とも一度話をし互いの縄張りを荒らさないという条件でそれぞれの蟻に手は出さないと約束していたのですが……」
女王様が悲しそうに俯いた。約束は守られなかったということなようだね。
「相手側が縄張りに侵入してきたのですか?」
「はい。仲間に問答無用で攻撃を仕掛けて来たのです」
つまりアイアンアントが一方的に約束を破ったということか。
「そんなことはよくあるの?」
「我々は余程のことがない限り約束は守ります。それにアイアンアントの王は厳格な御方です。自分の言葉に責任を持てる蟻なので、約束を違えることなどありえないと思っていたのですが」
話を聞いていると、色々と不可解な点が多いようだ。
「ンゴッ! ンゴッ!」
「はい。アイアンアントは女王ではなく、雄が王となるのです」
するとラクが鳴き女王蟻が答えた。
「ラクの言いたいことがわかるの?」
「明確な意志が乗っていれば、それとなくわかるのです」
それは凄いや。女王様は優秀だね。
「アリ~アリ~!」
僕たちが女王様と話していると、一匹の蟻が大慌てて駆け込んできた。女王様に何か訴えていて緊迫したものを感じる。
「そんな! アイアンアントの群れがこの近くに!」
女王様が立ち上がる。明らかに動揺していた。
「ホルス……」
「うん。そうだね。女王様。アイアンアントを迎え撃つの、よければお手伝いしますよ」
「え? ですが、これ以上ご迷惑を掛けるわけには……」
「気にしないでください。乗りかかった船だし、蟻達がくれた蜜でイシスも命を救われています。僕からしたらそっちの方が大きい」
お礼を伝えるために律儀に女王様は僕たちを呼んだ。だけど僕たちからしてみればお礼を言いたいのはこっちの方だったしね。
だからこそここでお返しさせてもらう。
「……情けないお話ですがハニーアントの戦闘力はアイアンアントに比べるとかなり落ちます。手を貸して頂けるならこんなにありがたいことはありません」
「うん! 決まりだね!」
「私も行きます! 生命魔法が何か役に立つかもしれません!」
「ンゴォ!」
「ラクはここで待っていて。女王様の事を見守っていて欲しい」
「ンゴ? ンゴッ!」
ラクが鼻息を荒くさせて張り切った。まぁ建前ではあるんだけどね。アイアンアントの戦闘力が高いならラクは待っていた方がいい。女王様もそれを察したのかラクが残ることには何もいわなかった。
「……一つお願いが。甘いと思われるかもしれませんが、相手を殺さないであげて欲しいのです。私にはどうしてもあの王が理由もなしにこんなことをするとは思えなくて……」
女王様が頭を下げる。彼女としては理由がはっきりするまでは出来るだけ手荒な真似は控えたいようだ。
「うん。わかったよ。出来るだけ死なないようにするけど、ただ、どうしようもない時は遠慮はしていられないから」
「はい。それは勿論わかっております」
そして僕たちはハニーアントについていってアイアンアントの群れがやってきてる場所に向かった。
「あれか! 既に戦闘が始まってる!」
「怪我してる蟻があんなに……私、治療してきます!」
「え? そんなことも出来るの?」
「寧ろ生命魔法は治療で真価を発揮するんです」
なるほど。確かに言われてみればそうかもしれない。
イシスは傷ついたハニーアントの治療に専念している。なら僕はアイアンアントを追い払うことを考えなきゃ!
日間ランキング入りしました!皆様の応援に感謝!
本日は感謝の気持ちを込めて夕方頃もう1話更新しようと思います。
ランキングはファンタジーで現在11位総合でも50位以内に食い込んできました。
このまま出来れば表紙入りしたいところ……ですので少しでも、先が気になる、ラクダやハニーアントが可愛いもっと見たい! 更新がんばれ!と思って頂けたならブックマークやこの下の★で評価を頂けると嬉しいです。
内容が良い!と思ったなら★★★★★!つまらないと思ったら★はなしということもあるでしょうがでもこの先に少しでも期待して頂けるなら★一つでも★★でもつけて頂けると非常に嬉しく励みになります!
読者の皆様どうぞ宜しくお願い致します!
そして感想やレビューもお待ちしてます!




