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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第三章 砂漠の交流編

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第50話 砂漠の脅威

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

これからも感想やレビューをどしどしお待ちしてます!

「いやぁあああ!」

「フンッ!」

 

 悲鳴が上がり奴隷少女が砂大蛇に食べられそうになったその時、少女の前にジャックが躍り出て砂大蛇の頭を受け止めた。


「ぐ、ぐぬぬぬぅ」

「おお! いいぞ! そのまま捻り潰してしまえ!」


 砂大蛇を受け止め少女を助けようとしているジャック。その様子にトヌーラは椅子の上に立ち、興奮気味にジャックを煽った。半巨人のジャックの怪力は凄まじい。


 確かにこのまま力を込めれば砂大蛇だろうと倒せるだろうが。


「フンッ!」


 だが、ジャックは掴んでいた砂大蛇を放り投げるに留めた。砂の上に落ちた砂大蛇だが、大したダメージにつながらなかったのか、今度はジャックを避けるようにしながらターゲットを変え車体の横からトヌーラに迫る。


「な、ば、馬鹿こっちにくるな!」


 慌てるトヌーラを振り返り、しまったという顔を見せるジャックだが、砂大蛇へとオルトロスが飛びかかり噛み付いて抑え込んだ。


 暴れまわる砂大蛇だが、オルトロスの顎の力は強い。間もなくしてぐったりとなって動かなくなった。


「やっつけたぞ」


 オルトロスをけしかけたビストルがトヌーラに向けて、倒したことをアピールした。


 トヌーラは顔を明るくさせ声を弾けさせる。


「おお! よくやったぞビストル!」


 かと思えば今度はその矛先がジャックに向けられた。


「それに引き換えお前は何だ! 何で殺さなかった!」

「お、おら、殺しとか、嫌だ」


 責め立てるトヌーラに首をすくめるジャック。しかしその答えではトヌーラの怒りを買うだけだ。


「何だと? 貴様、私の奴隷だということを忘れたわけじゃないだろうな! 高い金だして飼ってやってるんだぞこっちは!」

「そ、それは……」


 トヌーラが指を突きつけ怒りの言葉を浴びせるとジャックが口ごもる。本人だって別に奴隷になりたくてなったわけではない。ただ元々の優しさが仇となった。半巨人の彼は巨人族にも受け入れられず、人里でも化け物扱いされていた。


 行く宛もなく途方に暮れていたところで奴隷商に騙されて捕まってしまった。


「どうやら躾が必要なようだな。サディス」

「は!」


 トヌーラが命じるとサディスがシュルルと棘付きの鞭を取り出した。特殊な金属を加えて作成された鞭であり、鋼の強度を誇りそれでいて鞭の靭やかさを併せ持つ。


「おら! このグズが!」

 

 そしてサディスの鞭が無情にもジャックの全身を打つ。ジャックは頭を抱えながらその場に蹲った。


「ふん。私の命令を聞かないからこうなるのだ。何が花だ! 主人も守れないような木偶の坊が!」


 蹲るジャックの頭をトヌーラがグリグリと踏み、がしがしと蹴り続けた。


「や、止めて下さい! ジャックは私を守ろうとしてくれたんですよ!」

「黙れ! 私の身代わりも果たせないような塵が!」

「キャッ!」


 トヌーラが少女の頬を叩く、奴隷の少女が砂の上に転がった。


「お前も同罪だ! ふたりとも奴隷の分際でこの私に逆らいおって! おいサディスこいつにもその鞭を浴びせてやれ!」

「ま、待つだ! その子は悪くないだ! やるならおらだけにしてくんろ!」


 少女に鞭が向けられると考えたジャックが、トヌーラに縋った。あんな鞭を受けてはか弱い少女では耐えられない。


「あん? 何だジャック。お前、亜人のグズの分際でまさかこいつに惚れたのか? 家畜以下の劣等種が何を生意気な! おいサディス!」

「ハッ!」


 そしてサディスが更に激しくジャックを鞭打ちした。


 そして蹲るジャックに近づいたトヌーラが足で頭を踏みつける。


「ふん。人間と巨人の雑種が。どうせ貴様を産んだ女など巨人に平気で腰をふるようなズベタなんだろう。だから貴様のようなロクでなしががうまれたのだ。この塵が! でかいだけのタダ飯ぐらいの屑が!」


 罵倒し侮辱し暴力を振るう。奴隷の少女も泪を流して震えており、その姿にスイムが眉を顰め意見する。


「何もそこまでしなくてもいいのではないか?」

「何だと? こいつは奴隷だ! 私の持ち物だ! それを好きにして何が悪い! 何だ貴様は? ただ雇われただけの冒険者風情がこの私に意見か? 私を誰だと思っているのだ! トヌーラ商会の商会長トヌーラ様だぞ! 本来貴様らのような日雇いの派遣冒険者が声を掛けられる存在ではないのだ! 我らのような成功者から施しを受けなければ生活もままならないようなドブネズミ同然の冒険者が偉そうに私に意見するな!」


 トヌーラは随行した冒険者にも罵詈雑言を浴びせた。砂漠の移動で苛立ったのもあるのかもしれないが、あまりに相手の尊厳を顧みない発言であった。


 スイムを含む冒険者は明らかに不満げだったがここまで来て依頼を投げ出すわけにも行かない。トヌーラもそれをよくわかっているのだろう。


「ふん、ここまでにしておいてやるか。おいラビア! 私を見捨てようとした罰だ! ジャックも纏めて飯抜きだ! さぁ、わかったらさっさと準備しろ! 出発するぞ!」


 トヌーラが声を張り上げ、そのまま移動は再開となったわけだが。


「おいジャック! ラクダが無くなった以上お前がこれを引け!」

「は、はい!」


 結局トヌーラは歩くのを嫌がりラクダの代わりにジャックに車を引かせた。


「だけどよぉ。なんであんなトロくさい亜人を連れてきたんだ? 荷物運びにはまぁそこそこかもだが、金はあるんだから魔法の袋でも持ってくればいいだろう?」

 

 移動が再開され、ジャックを指差しながらビストルがサディスに疑問をぶつけた。


「あれはあれで使いみちがあるんだよ。それと魔法の袋関係は帝国からくる素材の減少でかなり手に入りにくくなってるうえ、そういった魔導具関係はアリババ商会が強い。トヌーラ様はアリババ商会は勿論その関係の店からも絶対に物を買おうとしないからな」

「あぁ、なるほどな」


 サディスの説明を受け納得するビストルだ。トヌーラとアリババはお互いを警戒し合っている。もっともより意識しているのはトヌーラの方であり元老院の議員としてアリババがマグレフ帝国と距離を置く案を出しても同じく議員であるトヌーラが真逆の意見で押し通そうとしている程である。


 そしてそれからも移動を続ける一団であったが段々と危険も増えていった。巨大な蟻地獄に飲み込まれる冒険者や、怪鳥に連れ去られる冒険者。


 巨大ミミズやサソリの化け物など、砂漠に現れる魔物や魔獣は凶悪な奴ら物ばかりなのである。


 結局五十名いた筈の一団もその半数以上が犠牲となった。


「くそ! なんなのだここは!」

「死の砂漠と呼ばれる所以ですよ。ですが、残ったメンバーはそれだけ優秀ってことでもあります」

「なるほど、そうとも言えるのか」


 トヌーラがニヤリと口角を吊り上げる。そして長く危険な道程を終えてようやく彼らは目的地である岩山にたどり着いた。


「ここだな! 例の宝石の砂が眠っているのは!」

「情報通りならまさに」

「これで間違ってたら情報をよこした奴をぶっ殺してやる!」

「既に殺してますよ」


 物騒なことを口にするトヌーラに冷静にサディスが突っ込んだ。

 

 そして彼らが岩山に近づく。するとせっせと何かを運び出している蟻を見つけた。


「何だあの蟻は?」

「わかりませんが、魔物なようですね」

「なにか行ったり来たりしてるな」

「働きもんだなぁ」

「お前は黙ってろジャック」


 何をしているかはよくわからないが、気になったので冒険者から斥候として優秀なのを一人動かし、蟻の動向を探らせた。


「わかったぞ。あの蟻は洞窟を出たり入ったりしてる」

「洞窟? まさか!?」

「はい。情報にあった宝石の砂が眠っている洞窟の可能性もあります」


 サディスが答え、トヌーラがほくそ笑む。


「遂に見つけたか。ならば早速行くぞ!」

「ですが、蟻がウロウロしてますが?」

「そんなもの全て排除すれば良い! 大体蟻風情が生意気な! この私が来た以上、この辺り一体の資源は全て私の物だ!」


 トヌーラが鼻息を荒くさせた。そして残った面子で洞窟を目指す。


「蟻共を排除しろ!」

「「「「「「「おう!」」」」」」


 トヌーラ命令で冒険者達が動き出す。

【あともう少し!】

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それではここまでお読み頂きありがとうございます!本日は夕方頃もう1話更新予定です!

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