第49話 砂漠の一団
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「全く暑くてたまらん! 何なのだこの暑さは!」
砂漠を進む一団がいた。一人は多数のラクダが引く車に乗って文句を言っている太めの男だ。
砂漠用に改良を加えられた車であり、それを引くのがラクダである以上、馬車ならぬラクダ車と言うべきか。
屋根は幌を豪華にしたような作りであり色は白。これは少しでも熱を遮断できるようにとの配慮だ。
車内はゆったりとした作りであり、そしてこのラクダ車に乗っているのはこの男一人のみ。
それ以外の面々はラクダ車から少し距離を取り陣形を保ちながら随行している。
だが、ただ一人奴隷の首輪を嵌めた少女だけはトヌーラの車体と並行して歩き、扇で仰ぎ続けていた。
「トヌーラ様。ここは砂漠ですから、多少の暑さはしかたありません」
一人の男が彼の横につき、恐れ多そうにしつつも納得してもらうよう伝えた。相手はトヌーラ商会の商会長であった。
彼らは始末した裏ギルドの男から聞いていた情報を頼りに宝石の砂が眠っているという岩山の洞窟を目指していた。
南のエルドラド共和国を出て三日目、延々と続く砂だらけの光景に既にトヌーラは不満たらたらである。
「くそ! おいお前! もっと強く仰がんか! 全く涼しくないぞ!」
「も、もうしわけありません」
少女が頭を下げ、扇を上下させる。だが灼熱の太陽が照り続ける砂漠ではあまり意味をなさない。
「あぁもう我慢できん! お前ら水の準備をしろ!」
「おいおいまたかよ」
叫びラクダを引く御者が動きを止めた。随行している面々の内、巨大な獣の背中に乗っかった小柄な男が頭を掻いた。
獣使いのビストルであった。元傭兵で今は裏家業を営む男だ。乗っているのはB級魔獣のオルトロスである。もっとも普段は裏の仕事をしていることを明かしてはいない。
「ほれほらもっと水を掛けんか」
そして車体から降りたトヌーラにローブを纏った魔法使い達が魔法で水をかけている。しかし、その顔には疲労が見られた。
「トヌーラ様、その辺でそろそろ……」
「何故だ! まだまだ足りんぞサディス!」
サディス――常にトヌーラの側に仕える付き人。今回の遠征についてもトヌーラに言われ人員を手配したのは彼だ。普段は黒服を着てトヌーラの横についているが、砂漠では流石にそれにそった格好である。
「トヌーラ様。いくら魔法使いと言えど無尽蔵に水は出せません。今回は砂漠の遠征ということもあり、水の腕輪を着けさせていますが、それでも限度がありますから」
水の魔法使いの中から蒼いローブを纏った壮年の男が前に出て説明した。水の腕輪は水属性の魔石を利用して作られた腕輪だ。これを装備していると水の魔法を使う時に水のない場所でも水の力が増加するが、使えば使うだけ当然魔力は減る。この遠征でトヌーラはまるで物のように魔法使いを酷使していた。
いくら腕輪をしているといってもこれでは限界もくる。
「チッ、使えん奴らだ」
その言葉に魔法使い達の表情が曇った。彼らは冒険者ギルドから雇われた魔法使いだった。報酬の良さから請け負ったようだが、トヌーラの傲慢ぶりには辟易していた。
「お前たち辛抱しろ」
「しかしスイム様……」
「少しの間の我慢だ。その分依頼料は弾んでもらっているからな」
不満を顕にしている魔法使いを宥めているのは、今トヌーラに水魔法について説明していた魔法使いである。他の魔法使いを纏めているのはどうやら彼のようだ。
「おい! ジャック着替えを出せ!」
「は、はい。おら、今出します」
ジャックと呼ばれた男がリュックを砂の上に下ろした。ズシンっと砂に沈み込む。かなりの大きさのリュックで必要なものが大量に詰め込まれている。
それを背負っていたジャックという名の彼は、優に五メートルはあるであろう巨体を誇る男だった。
「早くしろ! このグズが!」
「は、はいぃいい!」
「ふん、半巨人が。ガタイはでかいが動きもトロいな。それなりに値が張ったんだからしっかり働けよ」
ジャック、彼は人と巨人の間に生まれた。故に半巨人。獣人などと同じく亜人と呼ばれることもある。
彼の首には金属製の奴隷の首輪が嵌っていた。トヌーラが珍しい奴隷がいると勧められて購入した奴隷であった。
「ど、どうぞ」
「ぶっ!」
ジャックがリュックから取り出した着替えを投げるとトヌーラの顔面に当たり砂の上にひっくり返った。彼は軽くやったつもりだが半巨人といっても巨人の力が宿っているわけでそのパワーは凄まじい。
「この馬鹿力が!」
「ご、ごめんなさいだ」
「ふん!」
そしてトヌーラが着替えを始める。その間、サディスは他の冒険者にも指示を出していた。魔法使いだけでなく如何にも戦士と言った風貌の者や弓使いなども同行していて総勢五十名で移動を続けていた。
「何を見ているのですか?」
奴隷の少女がジャックに近づき問いかける。
「は、花が咲いていただ」
問われたジャックはというと、砂漠に咲いた黄色い花を見つけて表情を綻ばせていた。
「こんな砂の上でも頑張って咲く花もあるんだなぁ」
「本当に、逞しいね」
少女が微笑み、ジャックが花に顔を近づける。だが、それは無情にも落とされた足によって踏み潰された。
「あぁああ! は、花がぁ!」
「何が花だこの馬鹿が!」
ぐりぐりと花を踏み潰しているのは着替え終わったトヌーラであった。イライラとした表情でジャックに怒鳴り散らす。
「こんな金にもならない花を見ている暇があったら水源の一つでも見つけてこい! それが無理なら金だ宝石だ! 砂漠にはうなるほどのお宝が眠ってるそうだからな!」
「そ、そんな……」
ジャックの顔が悲しみに包まれた。その目は無情にも踏み潰された花に向けられていた。
「ふん。もう出るぞ! 女! お前は私を仰ぐ仕事があるだろうが! こんなグズにかまってる暇があるならとっとと準備しろ」
「……申し訳ありません」
少女が駆けていくと、ふん、とトヌーラが鼻を鳴らしジャックに目を向けた。
「ジャック! 貴様は私の後ろにさっさとつけ! 貴様の巨体なんぞ日除けぐらいにしか使えないんだからな!」
「は、はい――」
そしてジャックはトヌーラの乗る車体の後ろにつく。リュックを背負うとトヌーラが影に包まれた。これで多少は涼しくなると考えていたようだ。
そして一団は再び移動を開始。暫く進んだその時だった。車体を引くラクダの横の砂が盛り上がり、姿を見せた大蛇がラクダを引く御者ごとラクダをいっぺんに呑み込んだ。
「な、ななな、何だと!」
当然車はもう動かない。そして砂漠の大蛇、砂大蛇が残されたトヌーラを見下ろす。
トヌーラのピンチに身構える一行だったが、そこでトヌーラが横で固まっていた奴隷少女を見た。
「く、くそ! おい! お前が身代わりになれ!」
「え? キャッ!」
トヌーラは奴隷少女を掴み、前に突き飛ばした。奴隷少女は大蛇の前に出ることとなり膝を付き顔を上げた。
「キシャァアァアアァア!」
「き、キャァアアァアア!」
そして大蛇が大口を開けて奴隷少女に迫る――
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