第43話 砂漠で出会ったケットシー
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「ひ、人にゃ、人がいたにゃ!」
人のように歩いて喋る猫が目の前にいた。リュックを背負った猫で何か慌てているよ。
「あ、あの僕たちは」
「待つにゃ!」
僕が話しかけようとすると、猫の子が僕に肉球を向けて、待ったを掛けてきた。そして――
「これでもないにゃ、それでもないにゃ」
リュックの中からいろいろな物を出しては投げてを繰り返し始めた。え、えっと?
「何か、奇妙な子を見つけてしまった気がしますの」
「変わってるよね~」
モルジアが黄金のような瞳を細め、メルは微笑ましそうに見ているね。
「あったにゃ!」
僕たちが見守っている中、猫の子が何か瓶を取り出した。ピンク色の液体が入った瓶だった。
そして栓を外して一気に中身を飲み干した。
「ふぅ、これで――ニャッ!」
しゃっくりをしたように飛び上がり、かと思えば光に包まれその子の体が変化していく。
「にゃにゃ~ん!」
そして、踊るように回転した後その子が声を上げたけど、なんと姿が人間の女の子のようになってしまった。あ、でも猫耳と尻尾は残ってるね。獣人みたい? いや、よく見たら手も猫だ。
「にゃにゃ! 見ての通りうちは普通の人間の商人のペルシアにゃん!」
「えっと、人間の、商人?」
「そうにゃ!」
ペルシアを名乗るその子が胸を張った。結構ある……いや、そうじゃなくて!
う~ん、ど、どうしよう。突っ込みどころが多いのだけど、何か触れては行けない気が……
「てか貴方どうみてもケットシーですの」
「にゃにゃにゃにゃにゃんですとぉぉおお!」
モルジアが腕を組んで指摘すると、ペルシアが度肝を抜かれたように驚いた。
でも、そうかケットシーか! 確かにケットシーは見た目は猫だけど人のように歩き人語を介す種族だって昔城の本で見た記憶がある。
「な、何故わかったにゃー! こんなに完璧に薬で人の姿になったのににゃん!」
「いや、それを僕たちが見ているし……」
「にゃんと!」
「それに、そもそも人にはなりきれてないですの」
「にゃっ!?」
「耳と尻尾とあと肉球が猫のままだね~」
「しまったにゃ!」
そしてペルシアはがっくりと砂の上で項垂れた。
「やってしまったですにゃ……」
「あ、あの? 大丈夫?」
「お、お願いですにゃ! 後生ですから見逃して欲しいにゃん! うちを捕まえてもいいことないにゃん! それにお兄たまが黙ってないにゃ!」
「お、にいたま? えっと、とりあえず捕まえたりなんてしないよ?」
するとペルシアが僕の膝に縋るようにして懇願してきたよ。でも、何か誤解されているようだからそこははっきりと危害をくわえない旨を伝えておいた。
「え? 本当にゃん?」
「当たり前ですの。貴方一体お兄様のことを何だと思ってますの」
「鬼畜な人間にゃん」
「お兄様。こんな失礼な猫はここに放っておいてもどりますですの」
「えっと……」
モルジアが僕の腕を引いた。するとペルシアの耳としっぽがピンっと立ち頭を下げてきた。
「ま、待って欲しいにゃ! ごめんにゃ! でも人は強欲だから絶対にうちが一人の時は会ってはいけない言われていたにゃん! だからこんな薬まで持ち出して慎重になったにゃん」
「あはは~全然慎重じゃなかったよ」
「そんなにゃ?!」
メルがおかしそうに笑った。最近というかちょっと前からメルも口調が大分砕けてきて、可愛いけど遠慮もなくなってきたよねぇ。
「でも、主様の心配なら不要だよ。私のような蟻でも平等に接してくれるからね」
「にゃ? 蟻、あ、触角があるにゃ!」
『やれやれ、何だかさっきからやかましい奴だなぁ』
「にゃ、なんにゃそれーーーーー枷が喋ったにゃーーーーーー!」
今度は砂の上にすっ転んだよ。何かリアクションの大きな子だね。
「これは私の枷のカセですのよ」
「うち喋る枷なんて初めてみたにゃ」
『ケッ、ておい気安く俺にさわるな』
ペルシアが肉球で枷に触れ、枷は嫌がっているけどモルジアは何か口元がうずうずしている。
「それにしてもこれは僥倖だったにゃ! 何もない砂漠で途方にくれていたら、人に会えたにゃん!」
「そ、それは良かった。ところでこれからどうするの?」
「にゃん。えっとにゃ~」
僕を見ながらペルシアが言葉をつまらせた。ああそう言えば。
「自己紹介がまだだったね。僕はホルス。こっちは妹のモルジアでこっちはハニーアントのメル」
「これはこれはご親切ににゃ。うちはペルシアにゃ」
うん、既に聞いてはいたけど、これでお互いの名前はわかったね。
「ところでホルス達はどこからきたにゃん?」
「僕たちは向こうから。この砂漠で暮らしているんだ」
「にゃん! やっぱりにゃん! 砂漠で暮らす人はいたにゃん! お兄たま、うちはやったにゃん!」
何か明後日の方向をむいて叫びだしたよ。本当にリアクションが大きいね。
「ところでうちもそこまでお付き合いしてもいいにゃん?」
「え? うん。それは構わないけど」
「お、お兄様本当にいいですの?」
ペルシアが聞いてきたので快諾すると、モルジアが訝しげな顔で聞いてきた。う~ん、でも。
「砂漠で迷って困ってたみたいだし」
「そうにゃん。とっても困ってるにゃん」
「いや、そもそも貴方何をしにこの砂漠に来てましたの?」
モルジアが聞く。確かにそこはちょっと気になるかも。
「にゃん。砂漠に商売の手を広めようと来たにゃん」
「商売? もしかして君、商売人なの?」
「にゃん! かの有名なアリババ商会の新規開拓係筆頭にゃん!」
「えっと、ごめんね。そのアリババというのはわからないんだけど」
「にゃんと!?」
また凄い驚かれた。でも砂漠に追放されちゃったしね。砂漠の外側のことについてはちょっと疎い。
「とにかく商売しに来たということでいいですの?」
「そうにゃ。そしてうちはまさしくいま何も知らないチョロそうなカモを見つけて幸せな気分にゃん」
「お兄様、さっさと帰りましょう」
「うん、そうだね」
「蛇を持って帰らないとねぇ」
「ま、待つにゃん! 置いていこうとしないでにゃん! 今のはつい本音がぽろりと出てしまったにゃん!」
ほ、本音って……でも商人かぁ。だとしたら確かに上手くやればいい話に繋がるかもね――
変わった商人と出会いました。
ケットシー「砂漠で商売するのに評価が必要にゃん!」
ケットシー「商売を応援したいと思ってくれたらどうか助けて欲しいにゃん!下の★を増やすと評価が増えるにゃん!最大で★★★★★まで増やせるにゃん!」
ケットシー「ブックマークをつけてくれるとおにいたまも喜ぶにゃん!お願いしますにゃん!」




