第36話 砂漠で探索を続けよう
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僕が助けた皆に城に来るかどうか聞いてみたら、助けた皆が集まって相談を始めたんだ。
「お、おい。ここって死の砂漠じゃなかったっけ?」
「私、絶対に人は住めない魔境だって聞いてたんだけど?」
「でも住んでるって言っていたよな?」
「しかも城を持ってるって言ってましたわ」
「本当に一体何者なのかしら?」
「う~ん、でも僕たちを助けてくれたのは確かだし悪い人ではないと思うよ」
「……私もそう思う。それにこのままじゃ私達は野垂れ死ぬだけだし」
「うん、それなら厚意に甘えさせてもらって」
「私は、でも、やっぱりそう簡単には信用できない……」
何か皆でひそひそと話し合っていたようだけど、猫耳のグレテルは、納得のいっていない表情だ。
「貴方の気持ちは嬉しい。でも……私達は獣人。人は私達を亜人と蔑んで受け入れてくれなかった! だから、私は人の言うことなんて……」
「ふふ、随分と面白いことを言う女ではないか。主がそのようなことを本気で気にすると思うておるのか?」
「な、何よ。貴方にはわからないわよ! 私達の気持ちなんて! 人間は自分たち以外の種族なんて受け入れてくれないんだから!」
頑なに拒否反応を示すグレテルを認めた後、のう主よ、とフィーが僕を振り返った。
「少し離れてもらえるか。他のお前たちもじゃ」
「え? あ……うんわかったよ」
そしてフィーの言う通り僕たちは彼女から距離を置いた。捕まっていた子たちが怪訝そうにフィーを見ているが――その目の前で人化を解きフィーが元の姿に戻った。
「「「「「「「「「「――ッ!?」」」」」」」」」」
見ていた全員は声がでないほどに驚いていた。僕は見て知っているけど、スフィンクスだって知っていた筈の皆も本来の姿を見たのは初めてだからかやっぱり驚いていたね。
「な、なな、何なのこれ!」
「これが妾の本来の姿であるぞ。スフィンクス――それが種としての名だ。もっとも今は主の眷属でありフィーという名を授けてもらったがのう」
そしてまたフィーは元の褐色美女の姿に変化した。
「ま、こういうことじゃ。主は妾のような人ではないものでも受け入れてくれたのだぞ? 他の人間と同じにするでない」
「で、でも、それは貴方が眷属だから、それって奴隷と同じってことでしょ?」
「猫の小娘。一度だけは許してやろう。だが主を侮蔑するような発言二度目はないと思え!」
「ヒッ――」
「ちょ、フィー怖がらせちゃ駄目だよ!」
「むっ、つい威圧が強まってしまったか」
グレテルは尻もちをついた状態でガタガタと震えていた。ちょっと涙も出ている。いやグレテルだけじゃなくて皆すごく怖がってるよ!
「フィーは怖い神獣じゃないよ! 僕たちのことも助けてくれる頼りがいの有る仲間なんだ」
「え? な、仲間?」
僕が説明するとグレテルが瞳をパチクリさせた。
「ふふ、少しはわかったか? それにであるぞ。アイン、メル」
「はい」
「なんですかぁ?」
フィーが呼ぶと、アインとメルが前に出てきたよ。
「この者たちを見よ。同じ人に見えるか?」
「え? どうみても人、でも、あれ?」
「そういえば触角があるような?」
「うん! 頭に触角があるよ!」
フィーに言われ、皆が二人の頭から生えている触角に気づきはじめたよ。
「そうであるぞ。この二人は元はアイアンアントとハニーアント。つまり蟻なのだ。しかし主に名付けられ今は人の姿をしている」
「はい。我は偉大なる王に助けられ、名を与えられたのだ! 今は我も主殿をとても尊敬しておる!」
「主様はね。私達にも平等に接してくれるんだよ。私にも気軽に接してと言ってくれるしね」
アインとメルが僕について語ってくれた。うぅ、何か背中がむず痒くなる気持ちだよ。
「そこにいる小娘は人だが、今はいないがラクというラクダが本来一緒であるぞ。しかし、主はそのラクダも友達だという。そしてそのような主だからこそ我も眷属となることを決めたのだ。それがもしお前たちのいうような愚かな人間であったなら今頃この世にはいないであろうな」
何気にフィーが怖いことを言っている気がしないでもないけど……でも、皆の不安を払拭するために説得してくれているのはわかるよ。
「フィーの言ってることは本当です。ホルスはラクにも優しくしてくれているし私が砂漠で倒れているところも助けて貴重な水も分けてくれた。だから、信じて欲しい!」
「そうですわ! 何よりお兄様は誰よりも優しい私の愛しのお兄様ですの! 他の愚兄とは違うのですのよ愚兄とは!」
イシスやモルジアも一緒になって皆を安心させようとしてくれた。僕はそんなに大したことをしたつもりはないんだけどね。
「……あの、信じていいの? 本当に私達が一緒についていっても?」
「う、うん! 勿論さ! 一緒においでよ!」
「そうだよいいところだよ砂の王国は」
「そう! 砂の王国……はい?」
思わず僕はメルを見た。今王国と言ったのはメルだった。で、でもそんなの聞いてないよ~。
「王国だって」
「王国……」
「つまり王様?」
「優しい王様だ」
「本当にいたんだ優しい王様は……」
「いやいや! 待って待って! 今のは違うから! 王国とかではないからね!」
「良いではないか。これだけ住む者が増えるのだから主が王で王国であろう」
「私に異論はないですの!」
いやいや、皆に異論はなくても僕にはあるからね!
とにかく、王国とか国とかの話は一旦置いておいて、皆で戻ろうという話にはなった。
「その前にもう少し調べてみてもいいかも知れぬぞ主よ」
うん、生き残っている皆は助けたけど、まだこの塒は全て見ていない。モルジアの枷を外す道具があればいいんだけどね。
とにかく助けた皆と一緒に更に探索を続けた。その途中で全員から名前を聞いたりして会話した。
「う~ん、見たところめぼしいものはなさそうだね」
「うむ。壊れた装備やガラクタが多いようじゃのう。これは当てが外れたか?」
「砂漠ですし、そこまで貴重なものはないのかもしれませんわ」
確かに今の所目ぼしいものはない。ただこの塒は意外と中は広いからまだ見切れていないところも結構ある。僕もちょっとした探索気分でいたけど時間も時間だしここはそうだね効率を上げる為にも。
「砂魔法・砂感知!」
この洞窟全体がそもそも元が砂なら、これで内部もよく分かるはずだよ。それで何か目ぼしいものがないか探ってみる。
すると、見つけた。いや、お宝かはわからないけど、こっちに何か気になる反応が。
「少し気になるのがあるんだけどこっちを見てみていいかな?」
「勿論であろう。妾は主と常に一緒であるぞ」
フィーがぴったりとくっついて胸までムニッと押し付けてきた。うぅ、またからかわれてる。
「貴方! 何してますの! お兄様に気安くくっつかないですの!」
「そ、そうよフィー! もう離れなさい!」
「お兄様は私と常に一緒ですの!」
「む、小娘弐号こそどさくさまぎれに何をやっておる」
「私は妹だから当然の権利ですの!」
『何やってんだこいつら』
な、何かモルジアまでぴったりとくっついてきちゃったよ~。カセが呆れ口調だし。
「凄いなあの人……」
「もてもてだやっぱり王様なんだ」
「お兄ちゃん、本当に信じて大丈夫だと思う?」
「は、はは、でもそれだけ魅力があるってことなんじゃないかな?」
な、何か後ろからついてきている皆の視線も感じるよ~はぁ、もう。
「皆ここは洞窟だし一旦離れて、ソーシャルなディスタンスだよ!」
「むぅ、やれやれ仕方ないのう」
「うぅ、お兄様」
「ほら、モルジアもフィーもそんな顔しないの」
僕は二人を戒めた。でも、ふぅ、やっと落ち着いたよ。さてとこっちに何があるかな……
本日可能なら後2話更新し第二章を終了して、明日の更新から第三章砂漠の交流編に移ろうかなと思ってはいます。
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