第30話 砂漠で妹を助けよう
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ゴブリンジャイアントが僕に気が付き、手に持った骨製の斧みたいなのを振り下ろしてきた。
「砂魔法・砂鉄盾!」
だけど僕はそれを砂鉄の盾でガード。巨大なゴブリンは攻撃が受け止められ怪訝な顔を見せた。
「砂魔法・砂鉄槍!」
相手は巨大だ。妹のこともある。こっちも手加減なしで行くべきだろう。
「グギャッ!」
ゴブリンシャーマンの叫び声が聞こえた。シャーマンを相手しているわけじゃないのに何だろう?
「ふむ、シャーマンも思わず驚くほどか。大したものよのう」
何かフィーが言っているね。とにかく、僕は作成した四十八本の砂鉄の槍をジャイアントに向けて発射した。
だけどこれでも牽制程度にしかならないだろう。モルジアを砂に乗せて波に乗って一旦退く。
「ゴガァアアアアアァアアアア!」
ゴブリンジャイアントの怒りの咆哮が聞こえてきた。やっぱり四十八本の砂鉄の槍程度じゃ逆に怒らせてしまっただろうか。
「ごめん、相手に見つかってただ怒らせただけかも!」
「やれやれ、妾の事を言ってられんよのう主も」
「え?」
「凄いです流石主殿!」
な、なんだろう? やけに持ち上げられているけど……僕は怒り狂っているであろうゴブリンジャイアントを振り返る。するとゴブリンジャイアントが地面に倒れ込み派手な轟音が鳴り響き洞窟が揺れた。
「あれ?」
僕の中ではてっきりゴブリンジャイアントが怒って荒れ狂っているかと思ったのだけど、どうやらもう倒れて動かないらしい。
「あ、フィーが援護してくれたんだね! ありがとうフィー!」
「ふ、あははははは。全く面白い冗談をいいよるのう」
フィーが笑ってくれた。やっぱり援護してくれたのかもしれない。
さて、とにかく今はモルジアだ!
「イシス、妹を見てもらっても?」
「あ、はい! えっと、これ、もしかして毒?」
「え? 毒!?」
毒と聞いて僕は正直焦った。まさかあのゴブリンが? もし妹のモルジアに何かあったら絶対に許せない!
「あ、でも強い毒ではないよ。意識は薄いけど、毒に抵抗するため自然と意識を途絶えさせているだけだし、生命魔法で抵抗力を上げてあげれば治る筈だよ!」
イシスが僕を安心させるように力強い目で教えてくれた。そしてイシスの言う事なら僕は信じられる!
「なら、モルジアはイシスに任せるね。後は、残りのゴブリンだよ皆」
僕が皆にそう言った直後、ゴブリンシャーマンが杖を振り上げ、魔力の粒子が洞窟内に広がっていく。
「なにかしたようですな」
「うん。この感じ、おそらくは強化魔法だ」
しかも残ったゴブリンサンドやホブゴブリンサンド全員に掛けているっぽいよ。
そして強化されたゴブリンサンドやホブゴブリンサンドがゴーレム達を押し始めた。
「むぅ、これは気合を入れねばなりませんな!」
「私、頑張ります!」
アインとメルもやる気になってくれているよ。うん、皆で頑張って協力してここは乗り切らないとね。
「……待つがよい」
だけど、そこでフィーの待ったの声が掛かった。ふふ、と何か企んでそうな笑みをその顔に浮かべていた。
「どうしたのフィー?」
「主よ。ここは一つ思い切りやってみたらどうだ?」
フィーが不思議なことを言ってきた。思い切りって?
「主はおそらくこれまで自然と魔法を制御してきて思い切りやったことがないのであろう? だがのう、折角妹が助かり気兼ねなく魔法が使える状況であるのだし、ここは一つあのゴブリンサンド共を全て殲滅するぐらいの気構えでやってみたらどうか?」
僕が制御? 確かに魔法には集中と制御が必要だ。だけど、このゴブリンを全滅するほどの力は難しいような? それに……
「フィーそれには砂が足りないよ。僕の持ちこんだ砂だけじゃ足りないと思う」
「心配は無用であるぞ。よく考えてみよ。ここは広大な砂漠。その砂漠に出来た岩山とて、元を辿れば砂。つまり、この洞窟全体は主の魔法の及ぶ範囲となるはずであろう?」
え? ここの全てが砂?
そう、なのかな?
「えっと……」
ちょっと試しに魔法で干渉してみる。岩場と思っていた洞窟が波を打つように動いた。本当だ、魔法の効果が及ぶよ!
「わかったであろう? だから遠慮はいらん。何討ち漏らしたら皆が助けてくれようぞ」
「うむ! 主殿の為に死力を尽くしましょう!」
「私も魔法で援護する!」
アイン、それにメルも……うん! なら試してみるよ!
「「「「「「「「「ギャオオォオオオォォオォオォオオオオ」」」」」」」」」」
いよいよゴブリンサンドの群れが鬨の声を上げてこっちに向かってきた。
だから僕も意識を集中させて、全てのゴブリンを殲滅する気持ちで――
「砂魔法・砂瀑布!」
魔法を発動! すると天井の岩が砂となり滝のように全てのゴブリンサンドに向けて降り注いだ。
大量の砂の滝――それに押しつぶされ、魔法を行使し終えた後は、その場に立っているゴブリンはいなかった。ゴブリンシャーマンすらも息絶えている。
「ふふ、やはりのう。主がちょっと本気出せばこの程度造作も無いということだ」
「す、凄いよホルス! ゴブリンサンドを全部倒しちゃった!」
フィーがさも当然みたいに僕の魔法を褒めてくれた。イシスも倒れるゴブリンの群れに目を丸くさせている。
「流石は主殿です! これだけのゴブリンサンドやホブゴブリンサンドをたったの一撃で!」
「ゴブリンシャーマンも一発だったね! 凄いです主様!」
アインとメルからも褒めちぎられて何か凄く心が擽ったい思いだよ!
でも、確かにここまで威力が出るとは思わなかった。これもフィーのおかげかな。フィーの助言がなかったらこの岩山も砂の一部だとは気づけなかったもの。
勿論他の皆の助けもあってこそだけどね。イシスがいなかったら妹の毒も治せなかったし――
「う、うぅううん」
その時、妹のモルジアがうめき声を上げた。良かった、目が覚めそうだよ!
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