第3話 砂漠で行き倒れ?
砂漠で行き倒れになっていた子を、砂漠のゴブリンらしき魔物が狙っている。
ラクダも怯えているし助けてあげないと!
「砂槍!」
飛んでいった砂槍がゴブリンを貫く。よし! と思ったけど、砂の中から更にゴブリンが姿を見せた。
こいつら砂に身を潜めるのか! 帝国のゴブリンには見られなかった行動だ。
しかも僕の周りからも姿を見せた。僕がこっちのゴブリンに気を取られている間にあの子を連れさるつもりなのかもしれない。
でも、そんなことはさせない。
「砂魔法・砂嵐!」
魔法を行使すると砂が螺旋状に巻き上がる。その勢いで風も生まれ周囲のゴブリンが巻き上げられた。
よし! これでこっちのゴブリンは片付いた! 後は向こうのゴブリンだ。
「砂魔法・円砂輪!」
回転する砂の刃を作り、ゴブリンへと飛ばした。この魔法は動きの幅が広い。弧を描くように飛んでいった砂の刃がゴブリン共を切り裂いた。
よし、もう砂から出てこないな。これで全部倒したようだ。ゴブリンからは基本手に入るものはない。食べることも出来ないし食べたいとも思えないからね。
さて、倒れている人に駆け寄る。フードを少しずらして見たら、この子、女の子だ。しかも凄い綺麗――
思わず見惚れそうになる。だけどいけないいけないそれどころじゃなかった。
「ンゴォ」
ラクダが心配そうな顔をしている。この子を運んで来たのはこのラクダなんだろうね。
「安心して僕が助けるから。君も一緒に来なよ」
「ンゴ? ンゴンゴッ!」
ラクダが喜んでいるのがわかる。よし、僕は女の子をラクダに乗せて、砂の波で移動を開始した。
「ンゴッ!? ンゴォオオォオオオオ!」
「大丈夫。こういう魔法だから」
波に乗って移動するとラクダが慌てだした。だけど僕が説明すると理解してくれたようで。
「ンゴ♪ ンゴ♪」
どうやら楽しくなってきたのか浮かれ始めた。さて見えてきたぞ。
「城についたよここに運ぼう」
「ンゴォォォオオオオ!」
ラクダに話しかけると、目玉が飛び出んばかりに驚いていた。砂の城にびっくりしたみたいだ。
「ンゴッ!」
「そんなにビクビクしなくても大丈夫だよ。この辺りを守ってくれてるゴーレムだから」
城の周りを警備しているゴーレムにもラクダは驚いていた。だけど何もしてこないとわかるとペロペロしたりしていた。砂だからすぐにぺっぺとしていたけど。
「ンゴゥ……」
「お腹が減ってるのかい? だったら後で餌を上げるよ」
「ンゴ! ンゴ♪」
ラクダが頭ですりすりしてきた。僕の言ってることがわかるのかな? 賢いラクダだね。
さて、比較的風通りが良くて涼しい部屋に美少女を寝かせて上げた。砂でベッドも作成してある。
砂なら質もいじれるから、このベッドもふかふかだ。
「ペッ! ペッ!」
「いや、それでも砂だから食べられないよ」
「ンゴゥ……」
ラクダがベッドを舐めてまた唾を飛ばしていた。賢いのかそうじゃないのか良くわかんなくなってきた。可愛いけど。
さて、かなり衰弱してるし先ずは水だ。後はラクダ用に餌か。何を食べるんだろう? やっぱり草かな?
「餌だけど肉は食べる?」
ブンブンと首を横に振った。やっぱり食べないか。
「草は?」
頭をブンブンっと上下させた。やっぱり草か。水の確保もあったし一緒に水場に向かう。ごくごくと美味しそうに水を飲んでた。結構な量を飲むね。
「この辺りの草を食べていいからね」
「ンゴ♪」
喜んでいた。ゴーレムにラクダを守るように伝えた後、水を持って部屋に戻る。
「水、飲める?」
砂で作った瓶を口に当てて傾けると喉が鳴った。良かった飲むことは出来るみたいだ。ゆっくりと飲ませていく。
顔色は少し良くなったかな? でもまだ喋れるほどじゃなさそうだ。やっぱり栄養が足りない。
食事を摂ってもらおうか? でも今貯蔵しているのは肉だけだ。植物もまだ育ちきってないし。
何か栄養があって口にしやすい物が必要だ。折角だから元気になってもらいたい。
僕は城の外に出て砂感知の範囲を広げた。どこかにこの条件にあった食べ物はないか――
気になる反応があった。多数の生物の反応。だけどそれだけじゃない。何かわからないけど、もしかしたら彼女を助けることにも繋がるかも。
ただの予感だけど、僕は砂座波で移動した。徒歩だと半日以上は掛かりそうな距離も波乗りで進めばそこまで掛からない。
見えてきた。あれは、蟻?
そうだ蟻だ。体が金色に光っている蟻と黒光りする頑丈そうな蟻が争っている。
見る限り黒い蟻に黄金色の蟻が襲われているようだ。そして僕が目をつけたのは黄金色の蟻のお尻の辺りが異様に膨らんで丸くなってることだ。
あれが気になるな。状況は黄金色の蟻が劣勢だ。黒い蟻は驚いたことに手に槍を持って戦っている。
魔物なのかな? とにかく、僕は金色の蟻を助けることにする。
「砂欠泉!」
砂魔法を行使。黒い蟻たちの真下から激しく砂が噴出し黒蟻が吹き飛ばされた。
「アギッ!」
「アギ~!」
蟻は体を砂に打ち付け、起き上がり逃げていった。
「ア、アリ?」
「アリィ」
「アリ! アリィ!」
さてと、黄金色のアリは助けたけど、何か僕に群がってきた。何かと思ったけど、雰囲気的にお礼を言われてるようだ。
う~ん、球体みたいに膨らんでるのが気になって助けたけど、ここまで喜ばれると、流石にここから狩るわけにもいかないよね。
「アリ~♪」
だけどそんな僕になんと蟻達が膨らんだ部分から何かを取り出して差し出してくれた。
渡されたのは黄金色の玉。何か膜に包まれてるみたいだけど、甘い匂いが漂ってきてる。
この匂いって――
「お礼にくれるってこと?」
「「「「「アリ~アリ~♪」」」」」
やった! やっぱり困ってる人、ではないけど蟻でも困っていたら助けるものだね。
「ありがとうね蟻達!」
「「「「「アリ~」」」」」
僕はその玉を受け取り、お礼を言って帰路についた。
そして城に戻ると満足そうなラクダの姿。僕を見つけると足早に駆け寄ってきた。ラクダは前足と後ろ足が片側ずつ同時に出るんだね。
「ンゴォ?」
「うん。いいものを見つけてきたよ。これなら体力も回復できると思う」
「ンゴ! ンゴォ♪」
ラクダが頭を擦り付けてきた。嬉しそうだね。そしてよっぽど心配だったんだろうね。
さて、それじゃあ早速食べさせてあげようかなっと。
ラクダ「ンゴッ!」
主人公「うん。そうだね読んでくれた皆にはただただ感謝だよね」
ラクダ「ンゴッ!ンゴッ!」
主人公「うん、気に入ってくれたらブックマークしてもらえたら嬉しいよね」
ラクダ「ンゴッ~ンゴッ♪」
主人公「そうだね評価もしてもらえたら作者のモチベーションもきっと上がるよね」
ラクダ「ンゴ~」
主人公「うん! そうだね感想やレビューもお待ちしてます!」