第291話 砂漠で水の取り引きついて考える
「とにかく貴様も王を名乗るならそのお人好しを先ず何とかしろ! もっと全体を見ろ。ほどこしてばかりが王ではないぞ」
うぅ、なにかアングルに怒られてしまった。でも、言ってることには理解出来る部分もある。そういえば以前ロベリアにも似たような事言われたよね。
そう考えたらやっぱり兄妹なんだね。
「……何を笑っている?」
つい笑みがこぼれてしまったようでアングルに気づかれてしまったね。
「あ、いやちょっとロベリアの事を思い出してしまって。やっぱり兄妹だから性格も似てるのかなって」
「どこがだ! 私は妹より優秀だ!」
何かムキになって否定されてしまったよ。
「上って今の立場はロベリアの方が上の筈にゃ~」
「ぐッ! それは、い、今だけは仕方ないから譲ってやっているのだ!」
ペルシアに指摘されてアングルが喉を詰まらせたよ。話を聞くに兄妹でも色々事情がありそうだね。
「でも言ってることには一理あるにゃ~。うちも商人のはしくれにゃ。ライバル商会の肩を持つのも癪だけどにゃ。安易にただでやるのはどうかと思うにゃ」
「……フンッ。アリババの妹にしてはわかってるじゃないか」
ペルシアに擁護されアングルもまんざらではなさそうだね。
「その、なんだ。私も流石にただで貰おうなんて虫のいいことを言うつもりはないのだぞ」
僕たちが話しているとビローが申し訳無さそうに言葉を挟んできた。
「なるほど。つまり水と引き換えに取り引きできる品があるのだな? 聞こうではないか」
「どうして貴方が仕切ってますですの?」
『ケケッ、調子のいい奴だぜ』
モルジアが目を細めカセも呆れたように言っていた。
でも、取り引きが絡むなら僕よりは詳しそうだし頼りになるかも……。
「この国の役に立てるかはわからないが、しかし水を分けてもらえるなら希望に添えるよう何でもする所存だ!」
「話は聞かせてもらったぞ!」
必死にビローが訴えかけてきたその時、盛大な声が響き渡った。見ると戦車の上に乗ったロキが仁王立ちでこちらに迫ってきていた。
「ロキがなんでここに?」
「ス~……」
イシスが不思議そうにつぶやき、スーもどこか不安そうな反応を見せていた。それは僕も一緒です。
「ビローと言ったな! 貴様今何でもすると言ったな?」
ロキがそんなことを聞いた。だとしてなぜロキがそこに食いつくのかなって気もしないでもないよ。
「あ、あぁ。そうだ私に出来ることなら何でもしようではないか!」
「そうかなららばそのおっぱ、グボォオォォオオ!」
おそらくとんでもないことをロキが口走ろうとしたその時、横から飛んできたルガールの蹴りが脇腹にめり込んだ。
ロキの体が折れ曲がった状態で真横にすっ飛んでいく。既に戦車には誰もいない。
「あの馬鹿の事は気にしなくていい。話を進めてくれ陛下」
「あ、はい」
ルガールが近づいてきて僕に言った。すごく過激です。
「むぅ、これがヤキモチという奴だな! だがそれならルガールもまた変身してあのエロい姿で迫ってくればよかろう!」
いやロキ、タフだね……そしてまたルガールにボコボコにされていたけどこれは仕方ないね。
「一体あれはなんなのだ?」
「えっと今うちで鍛冶を受け持ってくれているドワーフのロキです」
「むっ、ドワーフか」
聞かれたので答えるとビローが眉を顰めた。ドワーフが苦手なのかな?
「そういえばエルフとドワーフは仲が悪いと聞いたことあるにゃ」
ペルシアが思い出したように言った。そういえばそんな話が僕も聞いたことがあったような――




