第27話 砂漠で妹を救出したい!
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「ここでモルジアが……」
蟻達の案内で、モルジアが攫われたという場所につく。
「でも、本当に妹さんだったのかなぁ?」
その時、ふとメルが呟いた。違う可能性、確かに特徴は似ていたけどツインテールそのものは珍しくはない。思い違いの可能性もなくはないけど。
ただ、だとしても女の子が連れ去られたなら放ってはおけ、ん?
「妹君でなければ、むしろまだ良いのかも知れませんが」
「いや、どうやら僕の不安はあたったようだよ……」
「え? 何かわかったのホルス?」
「うん……」
僕は砂の中に見つけた花の模型を皆に見せた。
「これは?」
「僕が昔、魔法で作成した花だよ。まだ小さかったモルジアに上げたんだけど……」
そしてこれはモルジアにしか渡してない。まさかこれをまだ持っていたなんて驚きだけどね。
「ホルス……」
「大丈夫。むしろこれで妹がゴブリンに攫われたことが確実になった。妹は空間魔法が使えるし、会うことが出来ればなんとかなる!」
イシスが心配そうな顔で僕に声を掛けてきたけど、今僕が弱音を吐いてちゃダメだ。僕の家族のことでもある。
僕がしっかりしないと!
「ふふ、やはり主はいざという時に頼りになる男よのう。まさに王の器を有し逸材じゃ。ふふ、やはりお主ならファラオにも……」
うん? 何かフィーが言ってるね。最後の方の言葉がよく聞き取れなかったけど、とにかく今はモルジアを助けることに集中しないと。
「主殿! 追尾している兵の跡は追えそうですぞ!」
「うん。なら急ごう!」
僕たちは蟻の跡を追った。ちなみに今回は流石にラクには留守番してもらっている。寂しがっていたけどちゃんと話してあげたら納得してくれたよ。
だから今回は僕とフィーとアイン、そしてメルとイシスだ。イシスも戦闘は難しいけど生命魔法があるから役立てると言ってくれた。
もし、妹に怪我でもあった時には助けを借りることになると思う。でも何より相手はゴブリン……いや、駄目だ余計なことを考えちゃ!
とにかくアイアンアントの案内に沿って移動する。
「カァアアァアアァアア!」
途中、一匹のカラスに襲われた。オオサバクガラスという名称で獰猛で人でも動物でも植物でもなんでも食べるらしい。灰色の毛をしていて飛び回りながら執拗にこっちを狙ってきたけど。
「砂魔法・砂鉄槍!」
「ギェエエェエエェエエェエエ!」
「おお一撃で!」
「ふむ、冷静に見えてもやはり怒りは秘めておるか」
アインが感嘆して、フィーは納得したように顎を引く。彼女の言うように頭では冷静でいるつもりだけど、妹が心配でたまらないのは事実だ。
だからこんなところでカラスと遊んでいる場合じゃない。
そして僕たちは南西の方角へ移動し、そこに密集した岩山地帯を見つけた。ゴツゴツとした高さの違う岩山が立ち並んでいる。
「アギィ――」
「主殿。あの岩山の中まで兵は尾行していったようですぞ」
つまりゴブリンはあの岩山を住処にしているってことだね。
「ゴブリンはジメッとしたところを好む上、ここは砂漠。あの岩山のどこかに塒に最適な洞窟があるのかもしれんのう」
フィーがそう教えてくれた。それから暫く進むと尾行してくれていた蟻と合流することが出来た。
「ありがとう助かったよ」
「アギィ♪」
アイアンアントの頭を撫でると何か凄く嬉しそうにしていた。
「むぅ、主殿に撫でられるとはなんとも羨ましい」
「え? アインも撫でて欲しいの?」
「なんと宜しいのですか!」
えっと、こんな時になんだけど冗談で言ったつもりだったんだけどね……見た目は精悍な騎士といったアインだし、僕が撫でるのも違和感があるような。
でも、凄く期待に満ちた目をされてしまった。
「う、うん。この戦いが終わったらね」
「おお! このアイン! この戦いが終わったら主殿に撫でてもらうため、粉骨砕身頑張りますぞ!」
「わ、私もいいですか主様?」
ギュッと拳を握りしめてメルも撫でて欲しいといいだした。メルの場合あまり違和感はないし、いいよと伝えたら喜んでくれた。
「あ、あの、あの、あの」
「え? どうしたのイシス?」
イシスも何かいいたげだったけど、顔が赤くなってそれ以上何も言ってこなかったよ。
もしかして調子が悪いとか?
「妾は撫でるほうがいいのう。もっと先まででも良いがのう」
「何言ってるのよフィー!」
「ふん、撫でてもらうのもためらう小娘に文句を言う資格などないと思うがのう?」
「う、うぅぅうう!」
何かまたフィーとイシスが言い争いを始めたような。でも、普段は仲よさげだから喧嘩するほど仲がいいということなんだろうね。
さて、それよりも此処から先が大事だ。尾行してくれたアイアンアントに着いていき、先に進むと、細長く伸びた岩の上に弓を持ったゴブリンが立っていた。
周囲を警戒しているみたいだ。柱のようになった岩は三本あってそれぞれにゴブリンが二匹ずつ立っている。
「主よ。砂漠で生まれ育ったゴブリンサンドはあれで結構タフであるぞ。油断しないことじゃ」
どうやら砂漠のゴブリンは帝国で見たようなゴブリンよりも手強い可能性が高いらしい。
「私にお任せを主様」
するとメルが前に出て僕の許可を求めてきた。
「うん、それならお願いしても?」
「お任せを! 光魔法・指閃!」
メルの指先に光が集まりゴブリンに向けて放たれた。ゴブリンが二匹前後に重なった瞬間を狙ったらしく貫通した光で二匹まとめて落ちていく。
やるねメル! それを見ていたゴブリンが慌てだすけど今度は僕の砂の槍で貫き。
「フンッ」
フィーが腕をふると残った岩の柱が切断されてゴブリンが纏めて落ちていって潰された。えっと。
「ふふ、どうじゃ主よ?」
「え? う、うん、凄いと思うけど……」
得意になってフィーが感想を聞いてきた。確かに凄い威力だけど……
「少々派手すぎではあるまいか?」
「そうかのう?」
「ギギィ!」
「ウギギギィ!」
「グギェ!」
アインの指摘にフィーが小首を傾げるけど、何事かと思ったのかゴブリンが集まってきたよ!
や、やっぱりちょっと強力すぎたんだね。他のゴブリンが何事かと来てしまった形だ――
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