第278話 砂漠で扉の外に出た王とイフリータ
セサミの魔法で閉じ込められていた僕たちだったけど、リタの炎でそれもなんとかなった。
本当に凄まじい魔法だった――そしてリタは宣言通り空間を焼き尽くしてしまったんだ。
表に出ると黄金色の砂が目に飛び込んできた。元の場所に戻ってきた証拠だ。
時間はどれぐらい経ったんだろう? ただ陽はまだ昇ってるから思ったほどではないのかも。
「――どうなってんだよこれは」
「くくっ、これは僥倖。主のおかげで余をあんなところに閉じ込めた人間を早速見つけることが出来たぞ」
セサミの声が耳に届いた。リタがしめしめといった顔を見せる。
「き、貴様! ランプの中の!」
「久しぶりだな。さてどう料理してやろうか?」
リタが手のランプを撫でながら言った。鋭い笑みを浮かべている。それにしてもあのランプ――そういえば僕と最初にあった時もランプごと閉じ込められたって言っていたっけ。
「王よ。良かった戻られて」
「僕は信じてたよ。そしてそこにいる美女は一体誰なのかな~?」
「確かに美人だね」
「でも、ちょっと怖そう……」
「しかしそこがたまらないぜ!」
僕が戻ったことで皆喜んでくれた。そしてリタにも注目が集まる。
「この凄まじい気配――王よ。これは一体?」
ルガールもリタについて問いかけてきた。
僕はともかく皆リタは初めて見るんだもんね。スイムや皆も不思議そうに見てるよ。
「えっとこの人、魔神なんだけどイフリータのリタといってあの扉の中に迷宮と一緒に閉じ込められていたんだ」
僕はかいつまんで皆にリタとのことを説明した。皆に随分と驚かれたよ。
「全く王には驚かされる。まさか伝説の炎の魔神と称されるイフリータを仲間にしてしまうとは」
「ス~♪」
ルガールに褒められた。肩のスーが自分のことのように喜んでくれていた。
「主よ。今の話だとそこの連中は主の仲間か?」
「う。うん! みんな僕の大事な仲間だよ!」
「そうか。早めに知っておかなければな。間違って全員焼き尽くしてしまっても事だからな」
今のリタの発言を聞いて全員が凍りついた。リタならうっかりでこの辺り一帯を燃やし尽くすぐらいの力はあるからね――
「さて。貴様覚悟は出来たか?」
そしてリタがセサミに問う。色々恨みが募ってそうだよ。
「覚悟だと――なめるなよ。やれガナパティ!」
「ブォオォオォォォオォォオオオ!」
ん? 何かセサミに命じられて巨大な象が突進してきたよ。
「ま、不味いあれは魔獣だ! 凄まじい力を持っている。そう簡単には――」
「フンッ」
スイムが緊迫した声を上げる。だけどリタが鼻を鳴らしながら指に光輝く炎を灯し、フッと息を吹きかけると輝く炎がガナパティを飲み込んでしまった。
真っ黒になってズシィイィインと倒れる魔獣。瞬殺だった――
「腹が減ってきたところだったからな。ちょうどいい食料だ」
「――王よ。これはまたとんでもない相手を仲間に引き入れたものだな」
「あ、はは――」
あまりにあっさり魔獣を倒したものだから他の皆も言葉を失ってるよ。さっきまで倒すのに苦労していたのが窺えるね。
だけど、その時僕を引き込んだときと同じ腕が大量に伸びてきて僕とリタに掴みかかった。
「馬鹿が! 魔獣じゃお前に勝てないのは判ってた! 一瞬でも意識が魔獣に向けばよかったのさ。このまま纏めて扉の中に――」
「馬鹿はお前だ」
輝く炎がリタの全身から膨れ上がり、扉から伸びてきた腕が巻き込まれ燃え尽きていく。
「ス~!」
「うん。こっちも大丈夫」
そして僕に向かってきた腕は砂で雁字搦めにして動きを止めた。前の僕じゃこんなこと出来なかったと思うけど、リタのおかげで拡大解釈出来るようになったからか感覚的にイケると思ったけど問題なかったね。
「な、なんだと? 何故俺の魔法が――」
「はっはっは。当然だな。貴様の敗因は余のもとに主たる王を送ったことだ。おかげでこれまでと比べ物にならぬほど余はパワーアップしたのだからな」
獰猛な笑みを浮かべてリタがセサミに言い放った。そして僕にとってもいい経験になった。おかげで僕の魔法もかなり強化されたからね。
さて、後はこのセサミを倒すだけだね!




