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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第六章 砂漠を狙う剥製王編

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第277話 砂漠のもう一つの戦い

「クソッ! こいつらただの脳筋ではないか!」

「若様がそう言われるなら相当なものだな」

「どういう意味だ!」


 一緒につれてきた仲間の一言にクリムゾンは目を吊り上げた。


 とは言えクリムゾンはたしかになかなかの脳筋ではある。


 セサミが残したブラックコングはたしかに結構な強さだった。砂漠の魔物や魔獣に負けてはいないだろう。


 しかも三匹が連携の取れた動きをとっておりなかなかに賢い。


 しかも途中で糞を投げてきたりもする。それが鼻がひん曲がりそうな程臭いのだ。


 当然食らった場合精神的ダメージも大きい。


「むぅ、こいつ私の槍を!」


 黒いゴリラがクリムゾンの槍を掴みニィっと笑みを深める。クリムゾンが槍を引き抜こうと力を入れるがゴリラは放そうとしない。


 ゴリラの握力は強い。一般的なゴリラでも五百キロはあるが、これがブラックコングともなれば軽く五トンは超えていく。


「ゴッ!」

「うぉっ!?」

 

 そしてブラックコングが槍を振り上げクリムゾンごとブンブンっと振り回し始めた。


「あいつなんてパワーだ!」

「若様手を放してください!」

「チッ!」


 仕方なくクリムゾンは手を放し回転力によって勢いよく飛ばされた。


「若様大丈夫ですか!」

「お前らは自分たちのことだけ心配していろ!」


 残り二体のブラックコングはクリムゾンと一緒に来た三人の仲間が相手していた。数は仲間の方が多いが相手は手強い。


 ただ、見るに今クリムゾンが相手しているブラックコングの方が他の二体より格は上なようだ。


「ゴホッ――」

「きっ、貴様!」


 ブラックコングがクリムゾンから奪った槍を構えだした。どうやら逆にこのゴリラが槍を使いこなしてやろうというつもりらしい。


「ゴッ!」


 そしてブラックコングが見様見真似でクリムゾンに槍を放ってきた。


「ムッ、こいつ! く、くそひと目見ただけでここまで使いこなすとは」

「ゴホッ!」


 クリムゾンが大げさに驚きブラックコングが調子に乗り始めた。器用に槍を回転させたりもしている。


「うわぁあああ!」


 ブラックコングの槍を避けている途中でクリムゾンが派手に転んだ。


「し、しまった! このまま槍で突き刺されでもしたら!」

「ゴホッゴホッ!」


 ピンチに陥るクリムゾン。それを見逃すこと無くブラックコングが槍を構え止めを刺すべく飛び込んできた。


「掛かったな馬鹿め!」

「ゴッ!?」


 だが、クリムゾンの腰から伸びた尾の一撃がブラックコングの首に突き刺さる。


 パピルサグ族は蠍の尾を有する。尾の先端には針が備わっており針には毒が含まれる。それを受ければブラックコングとは言え一溜まりもない。


 これまではブラックコングも尾の一撃を警戒していたが、クリムゾンの槍を奪いそれを自ら使ったことがかえって仇となった。


 慣れない槍を使うことに意識が集中してしまった上クリムゾンの演技で自分は槍を使いこなせていると思い込みクリムゾンの罠に気づけなかったのである。


「ゴッ、ガ――」


 ブラックコングは倒れ、動かなくなった。毒が回ったのだろう。


「やれやれ。結局所詮ゴリラか」

 

 クリムゾンが槍を取り戻しそして仲間たちを見る。どうやらブラックコングの一体は倒したようだが残った一体は倒しきれていない。


「お前たち左右に散れ!」

「え? や、やば!」

「若様アレを!」

 

 クリムゾンの槍に焔がまとわりついていく。自らの汗を発火させて放つ、クリムゾンの奥の手が今放たれようとしていた。


「蠍火の洗礼ーーーー!」


 前方に扇状に広がった火の手が残りのブラックコングを飲み込んだ。


 当然これをまともに受けては一溜まりもない。


 後には消し炭となったブラックコングだけが残されていた。


「若様やりましたね」

「あぁ。だがお前たち臭いぞ」


 仲間たちがクリムゾンに近づくと、彼は顔をしかめて鼻を摘んだ。


「不覚にも糞を食らってしまった……」

「これ、キッツ!」


 クリムゾンは少し距離を置いた。仲間たちもそれぞれ距離を取っている。


「しかし戦ってるうちに随分と移動してしまったな……」

「若様。早く移動しないと」

「あぁ。王に急いで伝えなければ」

「く、臭い。何この匂い……」

「うん?」


 その時、クリムゾンの耳に高音の声が飛び込んできた。決して大きな声ではなかったがクリムゾンの耳はいい方だ。


「若様どうかされましたか?」

「シッ、少し静かにしたままお前たちでその辺りウロウロしてみろ」


 クリムゾンに命じられ仲間たちがウロウロしだす。


「うぅ、本当臭いよ~」

「そこか!」


 声のした方に向けて槍を振るうクリムゾン。その勢いで大量の砂が舞い上がり、そして中から砂漠の色に似た色のマントを羽織った女が現れる。


 女は手に奇妙な筒を持っていた。それはクリムゾンにとっては初めて見た武器であり、そして女が強張った顔で振り返る。


「――で、お前誰?」

「ひ、ヒィイイイィィィイイイイッ!?」

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