第275話 砂漠で新たな力に目覚める魔神
「ぬはははっ! すごいではないか我が主よ。内側からパワーが溢れてくるぞ!」
な、何か好戦的なリタではあったけど、名付けした途端、何かより自信に満ち溢れている気がする。
「ス~!」
「うん。圧が凄いね」
溢れ出る魔力の圧が凄いんだ。
「まさか名前をつけただけでこんなに凄いなんて」
「さっきも言っただろう? 別に誰でもいいわけではない。むしろ並の人間なら余に名前など付けた日には魔力と一緒に生命力も吸いつくされて干からびて死ぬだろう」
「えぇ!」
「ス~!」
驚く僕に合わせるようにスーも飛び跳ねて両手両足を広げて驚いていたよ。
でも、それってもしかしてなにげに僕も下手したら危険だったのでは?
う、う~ん。でも別になんともないかな?
体を捻って自分の安全を確認してるとリタが怪訝そうに眉を顰めた。
「主は何をしておる?」
「いや、調子の確認を……」
「ヌハハッ! 安心するがいいさ。そもそもスフィンクスを使役して平気な顔してるような主だからこそ名付けを許したのだ」
「そうだったんだね……あ、でもフィーは名付けしても普通だったような……最初から人化してくれてたし」
リタは随分とテンション上がっていて魔力の膨らみも感じられたんだけどね。
「フンッ。あいつはそういう奴だからな。すかした奴のことだ。気取られないよう抑え込んで澄まし顔でも見せていたのだろう」
面白くなさそうにリタが言った。でも聞いてると嫌いというのとはまた何か違う気がするね。
「さて、今の余であれば主とここを出ることも可能であろう」
「本当? 良かったぁ~でもどうやって?」
「決まっている」
獰猛な笑みを浮かべるとリタの全身に輝く炎が集束していく。
「今の余であればこの空間を焼き尽くすことも可能。主よ余の側に来い!」
な、何か凄い物騒なことを! でも、たしかに今のリタからはそれぐらい軽くできそうな気配を感じる。
僕はスーにしっかり肩に乗ってるよう念を押してリタの側に寄った。
「では征くぞ!」
「ス、ス~……」
スーがギュッと僕の首元にしがみついた。僕は僕で魔法を行使するリタに汗がにじむのを感じた。
ぐんぐん熱が上昇して炎とは思えない程に輝きが増していく。遂には空間さえも歪み巻き込み燃えていった。
「ゆくぞ! 拡超核炎魔法・輝焔の天照!」
途端にリタが巨大化したかのように輝く焔が膨れ上がり像と変化した後口から輝焔の光線を放出した。
僕たちが閉じ込められていた空間があっという間に焼き尽くされていく――
◇◆◇
セサミと相対するはホルスと共に砂漠にやってきていた冒険者たち。更にルガールも飛ばされてやってきた。そして彼らはセサミから聞いた。
扉の中に吸い込まれたホルスは決して誰も出られない迷宮に閉じ込められたと。
「ならば貴様を倒して解放させるまで!」
ルガールがセサミに飛びかかる。
「フンッ。開けゴマ――」
「――パオォオォォォォォオオォオン!」
セサミが魔法で扉を開くと中から巨大な象が飛び出して迫るルガールを突き飛ばした。
「ぐっ!」
「おいおい雷蛇を倒したと思ったら今度は何だよ」
ルガールが苦悶しライゴウが顔を歪める。スイム達も警戒心を顕にした。するとセサミが象に飛び乗り得意げに笑い出す。
「ハッハッハ。こいつは俺が扉に閉じ込めてる中でも一番のペット。魔獣ガナパティだ」
「ちょ、ちょっとあいつ一体どれだけ扉にしまってるのよ!」
グレテルが叫ぶ。彼女も傷だらけだ。兄のヘンデルも魔力がかなり減っている。
「これちょっとまずくないか……」
ベアードにも疲労が見えた。状況は決して良くない。
「さて、こっちもお前らみたいな雑魚にいつまでもかまってられないからな。やれ! ガナパティ!」
「パォォォォォォオォォォン!」
ガナパティが前脚を振り上げ砂に叩きつけた。衝撃によって砂に波紋が発生し更に波となって広がり全員がふっとばされた。
「あっはっは! 王とやらがいなければこんなものか! 歯ごたえがなさすぎ――」
象の上で大声で笑いだすセサミ。その時だった。突如何もなかった筈の空間が――燃え上がった。輝く焔の柱が立ち上がりそして――




