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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第六章 砂漠を狙う剥製王編

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第265話 砂漠の魔神

 ここが迷宮だったのは間違いないようだ。目の前の女性の言葉を信じるならね。


 それにしても美麗な女性だね。背が高くて足もすらっと長い。眉もキリッとしている。どことなく騎士っぽい雰囲気も漂っていてかっこいい。


 ただ美人だけど目つきからはキツそうな印象も受ける。実際今も何か好戦的な笑みを浮かべてこっちを見ているし。


 それにしても、今魔神といったよね? 確か魔物や魔獣よりも更に上の種だ。フィーの神獣に近い伝説上の存在だった気がしたけど……


「えっとこの迷宮は盗賊の魔法で生まれた扉と通じていたのですが、迷宮は貴方が作成したのですか?」

「……チッ、嫌なことを言いおって。あのセサミといううつけは余のランプを事もあろうにこんな場所に放り込みおったのだ。思い出すだけで腹立たしい」


 不機嫌そうに口端を曲げて文句を言ってきた。どうやらこの中にいるのは不本意なようだ。


「まぁいい。話はここまでだ。折角ここまで来たのだ。精々余を楽しませよ」

「楽しませるというと、その何かあるんですか?」

「何を寝ぼけたことを。戦うに決まっておろうが」

「えぇ!」

「ス~!?」


 これにはスーも驚いていた。まさか魔神に戦いを挑まれるなんて……でもここは迷宮(ダンジョン)だと言っているし、それはつまりこの魔神がダンジョンマスターということになるのかな?


 それなら確かに前回ダンジョンを攻略した時もダンジョンマスターのキングモアイと戦ったけど……


「すぐに死んでくれるなよ。核炎魔法・輝焔の光断!」


 い、いきなり!? 光り輝く炎が迷宮を裂くように迫ってくる。問答無用すぎるよ!


「砂魔法・大砂壁!」

「ス~!  スス~ッ!?」


 魔法を行使して大きな砂の壁を作成。だけどスーの慌てぶりが尋常でない。嫌な予感がして砂をバネにして大きく横に飛んだ。


 見ると砂の壁はほんの一瞬だけ相手の炎を止めたけどすぐに飲み込んで僕がいた場所を突き抜けた。


 火に強いはずの砂がこうもあっさり……もしスーの訴えに気づけずにいたらと思うとゾッとする。


「ほう? よもや砂を扱うとは驚いた。かなり珍しい魔法ではないか」

「お、驚いたのは僕も一緒だよ。それにしても炎……フィーの魔法も凄いけどやっぱり魔神はとんでもないね」

「フィー? ふん。誰だか知らぬが余の魔法に勝てる物などそうはおらぬわ」


 イフリータが鼻で笑って返した。何かちょっとフィーが馬鹿にされているみたいで嫌だな。


「そ、そんなことはないと思うよ。フィーは神獣だし。僕なんかよりずっと強いし少なくともフィーに勝てそうな相手を僕は見たこと無い」

「神獣だと?」


 イフリータのキリッとした眉がピクリと反応した。何か思うところがありそうだけど――


「神獣、それに、フィー?」


 顎に指を添え考えを巡らせている。攻撃が止んだのは嬉しいけど……


「小僧。答えよ。そのフィーとは何者だ?」

「え? えっと神獣でスフィンクスだけど」

「スフィンクスだと!?」


 イフリータが目を剥いて驚いていた。この反応ってフィーを知ってる?


「えっと、フィーのことを知っているの?」

「ふん。当然だ。しかしよもや彼奴がお前のような小僧にそのような名で呼ばれているとは……一体どんな関係なのだ?」

「えっと友だちで仲間かな?」

「ス~!」

「は?」


 僕が答えるとイフリータが瞳をパチクリさせた。目を丸くさせて呆気にとられている。


「ふ、ふは、と、友だち、仲間? あいつが? 貴様のような矮小な人間の小僧のか? はは、あ~ハッハッハ! これは驚きだ。全くおかしくて笑えてくる。アハハハハハハハハハッ!」


 イフリータが唐突に大声あげて笑い出したよ。一体何なのだろう?


「今の話でそんなにおかしなことあったかな?」

「ス~?」


 肩のスーに聞いてみたけど小首を傾げるばかりだ。そうだよね。そんなにおかしなことは話していない。


「フンッ。おかしいに決まっておろう。よりにもよって人間ととは。全く少し見ぬ間にあの犬ころも随分と腑抜けたものだな。ま、所詮は神獣と言ってもその程度でしかないということか」


 この語りを見るにどうやらフィーが僕と仲良くなったことが気に入らないようだね。いや僕と言うより人間がということかな?


「貴方は人間が嫌いなの?」

「フンッ。あんなもの好きか嫌いかで語るものでもない。愚かしい塵芥よ。そのくせにやたら強欲であるからな。汚らわしい連中だ」


 う~ん、質問に答えてくれたけど反応的には嫌悪しているイメージだね。


「しかしあの程度の犬ころとは言え、ただで貴様のような小童に従うとは思えぬがな。一体何をしたのだ?」

「……試練というのを受けたら気に入ってくれたみたいだけど――」

 

 そういいつつも僕は嫌な気持ちにもなっていた。フィーは僕にとって大切な仲間なわけだし。


「試練をだと? それで気に入ったとは――つまり貴様は彼奴に勝ったということか……」

「え?」

「ス~?」


 えっと、あれ? もしかして何か勘違いしているような?


「フハハ、なるほどなるほど。あの軟弱な犬ころ相手とは言え神獣相手にか。それは面白い。俄然やる気になったぞ。カカッ」

「あの、何か勘違いしてない?」

「黙れ。それならばもう少し手応えのあるところを見せて見るが良い!」

「わわっ!」

「ス~!?」


 イフリータが手で軽く撫でただけで輝く炎が弧を描くように広がった。咄嗟に砂の足場を作って上に逃げたから良かったけど。


「ふん。ちょこまかと足だけは速い奴だ」

「どうしても戦わないと駄目なの?」

「当然だ。これが余との試練と思え。カカッ、その代わり余に勝てたら何でも願いを叶えてやるぞ?」

「えっと、願いと言うかここから出たいんだけど……」

「ふん。そうか。だったらどちらにしろ余を倒すことだな」


 うぅ、どっちにしろ結局戦わないといけないってことなんだね。参ったなぁ……

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