第264話 砂漠の扉の先のダンジョンで待ち受けし者
「ふぅ……本当にどこまで続くんだろうねここは」
「ス~――」
このダンジョンのような場所に来てから随分と経った。ここは構造も複雑で妙に立体的だから砂感知でも把握するのが大変なんだよね。
「また階段か……」
「ス~……」
ここはやたらと階段が多い。さっきから上ったり下りたりの繰り返しだ。しかも一つの階に幾つも階段が存在する。
「また罠か……」
「ス~ナ~!」
スーもちょっとイライラしてそうだ。それにしてもここの罠は見た目にはわかりやすい。この罠は何か回転する棒状の炎だ。
「とにかくいこう」
「ス~」
回転する炎の棒を飛び越えながら進む。回転速度がそれぞれ異なっていてとんでもない速度で回ってるのもあった。
「砂魔法・砂壁!」
炎の棒を砂で防ぐ。これもいずれ壊れるから時間稼ぎにしかならないけど普通に飛び越えるよりは楽になる。
そして棒がぐるぐるしている罠を抜けると今度は床が殆ど無い場所についた。奥から動く床がやってくる。僕が一人やっと乗れるぐらいの大きさだ。
「飛び移れってことかな?」
「ス~」
仕方ないから飛び乗った。そして床はある程度進んだところでまた戻っていった。何で? そしてまた進むと奥から違う床がこっちに向かってくる。
「これも飛び移るのか……」
落ちたら下に真っ逆さまだ。慎重に飛び乗った。
「上手くいった!」
「ス~♪」
スーもごきげんだ。この調子で次の床にも飛び移る。そのうち今度はたくさんの床が入り交じるように動き回る場所についた。
「先ずはあれに飛び移ろう」
「ス~!」
近づいてきた床に飛び移る。そのまま進むと前と左右から床が近づいてきた。どっちかに飛び移らないと。でもどれに――
――クルン!
「あ……」
「ス~!?」
床が回転した。迷っている間に床がね、回転したんだ。そしたらどうなるか? 当然!
「落ちる~~~~!」
「ス~!」
スーがしがみついて来たから手でしっかり押さえて上げる。それにしてもまずい。かなり深い。
「砂魔法・砂纏い!」
これだけ深いと落下しているだけで体への負担が大きくなる。それを軽減するために砂を纏った。
ただこれだけでも落下時に無事とは限らない。だから――ぐんぐんっと落下しやっと地面が見えたぞ!
「砂魔法・砂布団」
魔法で地面に砂のクッションをつくった。そこに落下。ぼふんっと柔らかい砂に包まれる感覚。
「良かった……スーも大丈夫?」
「ス~! ス~♪」
スーが飛びついてきたすりすりしてきた。良かった無事だね。スーを撫でながら立ち上がる。
砂のクッションはもとに戻して、て、なんだろう? 頭に火の灯った黒くて丸い体の連中が近づいてくる。手と足がついていてこっちにすごい勢いで向かってきた。
――ドカドカドカドカドカドカドッカァアァアアアァアン!
「び、びっくりしたぁ……」
近づいてきた魔物はそのまま爆発炎上してしまった。とんでもないね。
「ありがとうスー」
「ス~」
ここでも役立ったのはスーの自動防御だった。そのおかげでダメージが最小限で済んだ。
ふぅ、さて一難去ってまた一難が来てそれもなんとかなったからまた僕たちは下から進むことになった。途中で魔物にも襲われたし、あの動く床にもリトライとなったけど、今度は何とか乗り越えた。
「はぁ、何とかトラップを抜けたけど――」
魔法の袋の中を確認したけどそれぞれの砂の量が心もとなくなってきた。こういう場所でよくわかる。砂も無尽蔵に使えるわけじゃない。砂漠という砂の宝庫にいたから気づきにくかったけどこうやって制限された状況だとよくわかる。
砂は魔法を使うと少しずつ目減りしていく。一発二発ならともかく、ダンジョンのような場所で使い続けると馬鹿にできない。実際持ってきた砂は既に三分の一程なくなっていた。
モアイのダンジョンの時はみんなの力もあったしダンジョンそのものが砂の宝庫だったしなぁ……
だけどここは違う。持ってきた砂が切れたらもう確保は難しいだろう。
そう考えたら魔法の袋があってよかったとも言える。
「とにかくそろそろ出口が見えるといいんだけどね……」
「ス~……」
スーも心配そうだ。そして僕たちは先を行く。気になったのは、ここはやたらと長い廊下が続いていたことだった。
「ウゴォォオォオォオオオ!」
そして暫く進んだ先で巨大な魔物に襲われた。炎に包まれた巨人だった。
「ス~!」
巨人は手から火球を飛ばして攻撃してきた。それを目の前にして、対抗するため壁を幾つか作成しバリケードにする。
スーの防御だけに頼ってはいられないし可能なら攻撃はできるだけ離れた位置で防いだ方がいい。
「砂魔法・砂巨烈穿孔拳!」
「グォオォォォオオオオオオ!」
バリケードで火球を防ぎ、その間に近づいて多数の砂を組み合わせた砂のドリルで巨人を倒した。ふぅ、倒せてよかった。
そして先に進む。すると今度はやたらと広い場所に出た。正面には玉座のような物が見えてそこに誰かがすわっていたのだけど。
「フフッ、まさかここまで来るのがいたとはな。面白いではないか。ようやく暇つぶしが出来る」
それは赤い髪をした美しい女性だった。驚いたこんなところに女の人がいたなんて。
「えっと、貴方は?」
「フフッ、余はこの迷宮を生み出した魔神イフリータだ。さぁ余を楽しませておくれ――」
書籍版一巻が好評発売中です!どうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m




