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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第六章 砂漠を狙う剥製王編

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第255話 強くて弱い、弱くて強い

今月25日発売予定の書籍版に合わせてタイトルを変更しました。

「お、おいおい! ゴブリンサンドが大量に焼かれているぞ! どうするんだ!」

 

 ほぼ無理やり連れてこられたようなものでもあるアングルが目を見開き叫んだ。こんなところまで連れてきておいて敗北しましたではシャレにならないと思っているのかもしれない。


「確かにそうだな。相手は、女か? おいアレの素性は知っているのか?」


 セサミは逆にアングルに問う。険しい表情で圧を掛けていた。冗談じゃないとアングルは眼鏡を直しつつ考え、ハッとした顔を見せた。


「そういえば噂の魔獣は人の女の姿にもなれるという話を聞いた気がする。あれが帝国との戦いで恐れられた魔獣が人化した物なら納得の強さだ」

「なるほどな……」

「お、おい。やっぱり攻め落とすのは無理がないか? 目的の奴隷だけなんとか見つけて連れ去るのが手っ取り早いと思うぞ?」

「馬鹿いえ。勿論そっちも手に入れるが、あの国、いいじゃねぇか。お前らから城をもらおうと思ったがあの国をそのまま奪っちまうのも手かもしれないぜ」

 

 欲深そうな表情を見せるセサミにアングルは頭を抱えた。


「これだから盗賊は……」

「何か言ったか?」

「いえ何も!」


 思わず溢れたアングルの愚痴に反応するセサミ。慌てて否定するアングルを見下ろしながらフンッと鼻を鳴らす。


「まぁいい。先ずはあの魔獣か。シムシム行けるか?」

「行けなくて行ける準備は出来てなくて出来てる」

「よし。なら行って来い」

「……魔獣まで遠くて――近い」

「な!? 消えた!」


 そして突如視界から消えたシムシムに驚くアングル。


「一体どこに?」

「あの女を狩りにだよ」

「は? いや流石に無理だろう! 帝国軍ですら軽く捻り潰すような魔獣だぞ!」


 アングルが狼狽し訴える。だが、セサミの表情には余裕があった。


「安心しろ。あいつは相手が強ければ強いほど役立つ大物食い(ジャイアントキリング)だからな――」






◇◆◇


「ふん。全く数ばかり多くて大したことがないのう」


 フィーが手を掲げる度に随所に火柱が発生しゴブリンサンドが消し炭になっていった。その様子をつまらなそうに眺めるフィーでもある。


「やれやれ流石スフィンクスだな……レベルが違いすぎる」

「彼女一人が加わっただけであっという間に戦況が変わったねぇ」


 ルガールとアンラキの声が届く。ゴブリンサンドの軍団も戦々恐々としていた。


「ゴォ……」

「ふん。ゴブリンサンドの王であるか。全く有象無象の集団を引き連れて王気取りとは笑わせるではないか。この砂漠において王に相応しいのは我が主ただ一人よ。身の程を知るが良い」


 恐れおののくゴブリンサンドキングに向けてフィーが灼熱色に染まった手を横に振った。


 これで決まる、とその光景を見ていた誰もが思ったことだろう。


「――熱くて冷たい」


 ゴブリンサンドキングに迫る業火――しかしそれが突如冷たい水に変化した。ゴブリンサンドキングの全身がびしょ濡れになるがダメージはない。


「……なんぞ?」

「――お前、強くて弱い」


 ギロリと鋭い視線がローブを纏った灰色髪の男に向けられた。半身は筋肉質で半身はガリガリに痩せ細っているという奇妙な姿の男だった。


「――妾に何をしたのかのう?」

「……答えはあってもない。無駄に活用――」

「何を言うておるかわからんが――妾に逆らうなら容赦はせぬ」


 フィーが右手を掲げると、男の足元から轟々と風が発生しあっというまに男を飲み込んでいく。


「――風は激しくて穏やか」


 しかし、それも束の間。勢いが弱まり風があっという間に霧散した。


「……ほう? 随分と変わった魔法を使うではないか」

「――僕の魔法は弱くて、強い。僕は遅くて」


 スローモーションのようなゆったりとした動きを男が見せる。


「速い――」

「むっ――」


 瞬時に男がフィーの目前まで迫る。そして筋肉質な右の腕を振り上げた。


「愚か者が。いくら鍛えていようが妾に人の攻撃など効かぬ。まして素手ではのう」

「――お前は固くて、脆い……」


 その豪腕がフィーの脇腹に突き刺さった。彼女の目が見開かれ、かと思えば弾かれたように吹き飛ばされ地面に叩きつけられた後、砂埃を上げながらゴロゴロと転がっていく。


「な、あのフィーが一撃貰ったとだと!?」


 ルガールの意識がフィーに向いた。ゴブリンサンドと交戦中ではあるが、にも関わらず思わずそちらを気にしてしまうぐらいに衝撃的なことであった。


「シムシムの魔法。弱いけど――強い」

「カカカッ――」


 砂漠の砂が爆散した。その衝撃で、倒れたフィーに襲いかかろうとしたゴブリンサンド達は灰燼となり消え失せた。ゴブリンサンドジャイアントやホブゴブリンジャイアントですらだ。それほどまでに強いフィーだが、立ち上がった彼女は、わずかに赤く染まった口元を拭いシムシムを睨みつける。


「妾に一撃喰らわせるとはのう。人間の中にも多少は楽しませてくれるのがいたというわけか。面白いではないか――」

3月25日に書籍版が発売されます。どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m

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