第253話 砂漠の竜
「わざわざライを狙うとはいい度胸であるな」
「はは、何だそのライっての? 意味わかんねぇな。まぁいいか。楽し、もうぜ!」
エンドウが剣を振ると再び砂が割れ斬撃がフェルに迫った。しかし雷の速さを誇るフェルにはあたらない。
「俺の斬撃を避けるかよ」
「この程度で何を調子に乗っている?」
避けながらカラドボルグを振るフェル。電撃がエンドウに伸びるがそれが切り裂かれてしまう。
「……ライの電撃を切るか」
「俺は鞘なしのエンドウだ。何故この剣に鞘がないかわかるか?」
「興味がない」
「そうかい。ま、単純な話だ。この剣には収まる鞘がないんだよ。鋭すぎて、な!」
水平に剣を振ると空間が歪みながらフェルに斬撃が迫った。カラドボルグを使い防ごうと考えるフェルだが――
「――ッ!?」
刃で受け止めるのを中断し砂を蹴り飛んだ。突き進んだ斬撃は背後にあった砂丘を切り飛ばす。
「惜しいな。防いでくれれば剣ごと持っていけたのによぉ」
「――それで鞘なしということか」
フェルは理解する。なんでも切れるこの剣に掛かればカラドボルグでさえ両断されるだろうと。
「だが問題ない」
つぶやき、途端にフェルの持つカラドボルグから激しい電撃が迸った。
「いくら切れようが当たらなければ意味がない」
「そうかい。だったら俺も教えてやるよ。どれだけ素早かろうが掠りでもすればテメェは終わりだ」
◇◆◇
『グォオオォォオォオォォォォォオォオオオオォオオ!』
砂漠竜が咆哮を上げた。黄金色の鱗を全身に生やした巨大な竜――それが砂漠竜だ。死の砂漠と称される広大なこの砂漠において最大級の驚異とされる怪物、それが砂漠竜――
「ブレスが来たぞ!」
「砂魔法・砂壁」
魔法で砂の壁を作り炎を受け止めた。砂は炎への耐性が強い。
「助かったぜ王様! 獅子一刀両断!」
ライゴウが斬撃を飛ばした。砂漠竜に命中するけど――傷一つついてない。
「チッ、頑丈な鱗だな!」
「ここは美しい僕の出番だね~水魔法・軟水硬束!」
クロールのドロッとした水が砂漠竜に巻き付き、直後硬水へ変化した。なるほど、これで完全に動きを封じ込めようということだね。
「グォオオォオォオオ!」
「そ、そんな僕の美しい魔法が!」
あぁ、でも残念だけど足止めにもならなかった。砂漠竜の発する熱で水そのものが完全に気化してしまったんだ。
「水魔法・螺水丸!」
スイムの水魔法で螺旋回転する水球が放たれた。砂漠竜に命中するけどやはり効いていない。
「す、凄すぎて全然ついていけないんですけど!」
「あんなの勝てる気しねぇ」
「で、でもできるだけのことは! 氷魔法・大氷塊!」
ヘンデルの魔法で生まれた巨大な氷塊が飛んでいく。だけど砂漠竜からすれば小石程度の大きさに過ぎないのだろう。避ける素振りすら見せない。
「皆は自分のみを守ることだけ優先して!」
やっぱり新人育成の相手としては強すぎるね。僕たちでなんとかしないと。
「ス~! ス~!」
肩のスーが何かを訴えてくる。スーがこれだけ慌てるって――
「グルォオオォォォオォオオォォオォオオオオォオオオオ!」
砂漠竜が咆哮すると巨大な砂嵐が発生した。しかも砂同士が擦れあうことで電撃さえも迸しっている。
「砂魔法・大砂嵐!」
だけど僕も黙ってられない。魔法で巨大な砂嵐を発生させた。
「お、おお! 流石王だぜ! こっちも負けないぐらいの巨大さだ!」
砂漠竜はその名を示すように砂を使った攻撃も得意なようだね。だったら僕だって負けてられない!
僕の作った砂嵐と砂漠竜の砂嵐がぶつかり合う。凄まじい轟音が鳴り響き、周囲の砂も地面も巻き上がった。
「くっ、すげぇ風だ!」
「皆さんしっかり踏ん張っていてください!」
「そ、そんなこといってもぉ」
「大丈夫さ! 僕の美しい魔法でしっかり掴まえておくからね!」
クロールの軟水が巻き付いて皆が飛ばされないように守ってくれている。これで遠慮はいらないね!
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