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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第六章 砂漠を狙う剥製王編

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第252話 砂漠の死闘

「さて、始まったか――」


 比較的高い砂丘の上から戦況を眺めつつセサミがほくそ笑む。ゴブリンサンドの大群に対して奇妙な形の道具で攻撃していたが、それだけではゴブリンサンドの進行は止まらない。その後は砂狼を逆に味方につけたりと中々小賢しい手を見せてくれた。


 その後はどうやら人狼が指揮し中央を壁とし右翼と左翼で挟み込むという手に出たようだ。後方からは弓や魔法による援護射撃が飛び交う。


「おいおい、あの連中ゴブリンサンドの大群に全く怯んでいる様子がないぞ」

「ふむ。確かにそうだな」


 アングルが随分と慌てていた。個々のレベルが高い。特に際立っているのが何人かいる。電撃を迸らせながらゴブリンサンドやホゴブリンサンドなどをなで斬りにしていく剣士。


 右翼のアイアンアントを束ねる槍使いの騎士。人狼も相当な手練だ。ゴブリンサンドジャイアントやシャーマンも物ともしない。


 後方からは触覚の生えたやたらと胸の大きな少女が光線を放ちゴブリンサンドを撃ち抜いていた。


 魔獣に跨った少女もいる。正面では巨人に見紛う程の巨大な男が盾を構えてゴブリンサンドの進行を食い止めていた。まるで壁である。


「なかなか層が厚いな。しかも結構いい武器使ってやがる」

「以前の戦いで奴らは魔剣を大量に入手している。その類を利用している可能性が高い」


 汗を滲ませつつアングルが答える。


「魔剣ねぇ。しかしこのまま手をこまねいていても削られるだけか。そろそろこっちも動くか」


 後方にはキングが控えているが、セサミの言う通り、ゴブリンサンドも数こそ多いが実力が違いすぎた。おまけにまた最初のような攻撃が来れば更に数は減るだろう。


「だったら俺が行かせてもらうぜ。あの雷纏ってる奴――面白そうだ」

「……確かにお前ならあれを封じ込められるかもな」

「はは、そうこなくちゃな。おいストリート急ぎたいから足を強化しといてくれ!」

 

 エンドウが叫ぶと途端に乾いた音が響きかと思えばエンドウの足元に魔法陣が浮かび上がった。


「へっ、さすがの魔弾魔法だな。いくぜ!」


 エンドウが加速して飛び出すのを見送った後、セサミは存在しないが確かにどこかにいるであろうストリートに向けて声を上げた。


「ちょっと調子に乗り過ぎだからな。連中にも目にもの見せてやれ――」






◇◆◇


「やれやれ、ルガールとライライ言ってるフェルの強さは別格だねぇ」


 遊撃隊に加わっていたアンラキが苦笑交じりに呟いた。そんなアンラキに向けてリスリーが叫ぶ。


「呑気に見ている場合じゃないですよ隊長!」


 槍を片手にリスリーは向かってくる重厚なゴブリンサンドの相手をしていた。ゴブリンサンドキングが出現するとゴブリンの格好にも変化が現れこういったゴブリンサンドナイトといった連中も姿を見せるようになる。


「パオオオォオオオォオォォオン!」


 少し離れた場所では獣化魔法で象に変化したケモナルが鼻で捕まえたゴブリンサンドを振り回して蹴散らしていた。単純なパワーなら頼りになる。更にその横には水魔法使いのバタフライがいて水の鎧を纏って果敢にゴブリンサンドに挑みかかっていた。


「全くゴブリンサンドの王が生まれるなんて本当にアンラッキーだねぇ」


 アンラキの投げつけたブーメランが次々とゴブリンサンドの首を刎ね飛ばしていく。飄々とした彼だがその戦闘力は低くはない。同時に彼は勘も鋭い。


「これは嫌な気配が漂ってきたねぇ」


 だから気がついた。何かゴブリンサンドの大群以外にヤバいものが近づいていることに。


 刹那――ジャックを先頭にした騎士団の側面が爆発した。何人かの騎士がふっ飛ばされるのが見える。


「な、なんだべ!」

「くっ、奇襲か? すぐに確認だ!」

「団長! 現状横から何らかの魔法による攻撃を受けていると見られます。ですが、肝心の魔法使いが捕捉出来ません!」

「捕捉できないだと?」


 ジャハルの顔つきが変わった。ここは砂漠だ。周囲に特に遮るものはない。だからもし魔法による攻撃を受けていたら何かしら痕跡は確認できる筈だ。しかしそれが全く見えないとは――


 そして更に続けて爆発音が響き渡る。


「お、おらが横を守るだ!」

「駄目だ今ジャックが離れたら正面からのゴブリンサンドの重圧に耐えきれない!」


 ゴブリンサンドもキングの登場で知恵をつけている。数の優位性を活かし厚めの陣形で盾を構えて突撃してきているのだ。ジャックのおかげで防げているが彼が離れれば耐えきれない。


 その時、再び響く爆発音。しかし、今度は誰一人怪我を負うことはなかった。


「大丈夫ですの!」

「モルジア様!」


 そうモルジアだった。モルジアが空間魔法で移動し駆けつけた上で空間を壁にして爆発から身を守ってくれたのだ。


「大丈夫ですか? 今治療しますから!」


 更にイシスの声も彼らの耳に届く。モルジアと一緒に駆けつけてくれたのだろう。爆発に巻き込まれた騎士や兵士を魔法で治療していた。


「これは愛の限界かしら!」


 そしてイシスの肩から飛び出したアイがモ愛となりゴブリンサンドの群れをなぎ倒していく。


「良かったこれなら――」

 

 ふと、前方に落雷が生じるのが見えた。フェルの攻撃だろう。


「そうだこっちにはフェルやルガールだっているそれに何れ王やフィー様だって――」


 一体爆発を引き起こしたのが誰なのかは不明なままだが、これだけの戦力がいれば負けることはないジャハルはそう確信していた。


 そしてフェルはカラドボルグを振り回しまさに一騎当千の戦いぶりを見せつけていた。


「ふん。所詮この程度か。ライの敵ではないの――」


 ゴブリンサンドの死体を見下ろしながら呟く、が、全てをいい切る前に砂が縦方向に大きく抉れて割れた。


「ありゃ、勢い余って切り裂いちまったか? 少しは楽しめそうだなと思ったんだがなぁ」

「ライは特に楽しくはないがな」


 ざんばら髪の男が顎を擦るとその背後に回り込んでいたフェルが声を上げ、ほう? と男が振り返る。


「お前、なぜライを狙った?」

「はは、やっぱりそうこねぇとな。別に理由はないさ。お前ならこの俺様、鞘なしのエンドウを楽しませてくれるかもなと思っただけさ――」

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