第249話 ゴマ盗賊団の戦い方
「しかし、一体どうするつもりだ? 実力者揃いと聞いたが、それでも四十人だろう? 向こうは帝国軍相手に勝利できる程の戦力を保持しているのだぞ?」
アングルが怪訝そうに問いかける。目的そのものは天翼人の回収だが、セサミの様子を見るに実力行使に出る気満々だ。
「ふん。この鞘なしのエンドウも随分と舐められたもんだな」
砂に剣をドスッと突き刺しざんばら髪の男が眉を寄せた。エンドウそれがゴマ盗賊団四本腕の一人である彼の名前だった。
「慎重に軽率に、侮って敬い、攻め込んで守る……」
「こいつは、ずっと妙な喋り方してるが、戦えるんか?」
ブツブツつぶやき続けるアンバランスな男を怪訝そうにアングルが見る。
「お前、あの国にはとんでもない魔獣がいると言っていたな?」
質問に質問を返され眉をひそめるアングルだが、確かに道々わかる範囲でバラムドーラについて教えていた。
「あぁ。あの王国の中でも特にとんでもない力をもっているという話だ。どんな魔獣なのかこの私にすら教えようとしないがな。くそ、腹違いの妹の分際で!」
悔しそうにアングルが語る。アングルが知っている情報はある程度自分で集めた物だ。何せロベリアはアングルに対して殆どの情報を明かしていない。
それがアングルにとっては腹立たしくて仕方ないのだ。
「そうだ。だがまぁいい。とにかくその魔獣相手ならそのシムシムが役立つ」
アングルが奇妙な喋り方と称したその男こそがセサミの言うシムシムだった。
「シムシムも俺たち四本腕の一人だからな。ま、俺もその一人だがな」
そう言って飛ばした腕をお手玉のようにして弄ぶ。
「オイールのメインの仕事は目的の奴隷を取り戻すことだ」
「勿論わかってるさ」
手を元に戻しオイールが答えた。
「そういえば四本腕はもうひとりいるんだったか」
「ストリートのことか。ま、奴は付いてきてるだろう」
エンドウが答えると同時に地面に何かが着弾した。
「いなくている」
「あぁ、これがその証拠だ」
シムシムとオイールが言った。どうやら近くにいるようだがアングルは一度も姿を見たことがない。
「それでこのまま攻め込むのか?」
「ばかいえ。その辺りの三流の盗賊と一緒にすんじゃねぇよ。俺はこうみえてわりと慎重なのさ」
砂丘の上からほくそ笑むセサミだが、ならどうするのかアングルには予想がつかない。正直砂漠にはあまり隠れるような場所がない。
見たところバラムドーラには見張るための塔が建っている。こっそり忍び込むような作戦はなかなか難しい。もっとも一度も姿を見たことがないストリートという人物ならもしかしてという可能性もあるかもだが、だとしても一人でどうにか出来るとは思えない。
「忍び込むのかそれとも何か搦手で行くのか?」
「はは、そんなんじゃねぇさ。やることは単純明快。数で優位に立って勝利を収める」
「数? いや、しかしこの盗賊団は総勢四十人だろう?」
小首を傾げるアングルだが、周囲の盗賊達が口々に呟いていく。
「頭、アレを使うつもりだな」
「いよいよか。これでもう負けはないな」
「ずっと育てていたようだからな」
その中で特に育てたという部分が妙に気になるアングルであり。
「さて、それじゃあ始めるか。よく見ているんだな。これが俺のゴマ魔法だ――開けゴマ!」
セサミが魔法を行使した。するとセサミから大分離れたバラムドーラよりの位置の空間が歪み、扉が現れて開いた。
「グギィ」
「ギェギェッ」
「ギャヒ!」
そして扉の中からぞろぞろと砂の色をした魔物が姿を見せていく。
「な、あれはゴブリン?」
「違う。砂漠の環境に特化したゴブリンサンドだ。過酷な砂漠で育ったゴブリンサンドはただのゴブリンの三倍は強いんだぜ。しかもそのゴブリンサンドが――」
「「「「「「「「「「ギェギェギェギェギェギェェエエエェエエエエエエエェエエ!」」」」」」」」」」
「な! 一体どれだけ出てくるんだ? どれだけいるんだ?」
驚愕に目を見開き疑問の声を上げるアングル。それに答えるようにそして楽しそうにセサミが答える。
「ざっと五万だ。あはは! さぁ暴れてこい! ゴブリンサンド共! そしてゴブリンサンドの王――」
腱鞘炎になってしまってました(´;ω;`)
少し落ちついたのでまた頑張って更新したいです。
音声入力も試してみたのですが滑舌の悪さが仇となり……なんてこった。




