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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第二章 砂漠の仲間編

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第23話 砂漠をさまよう少女

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「まさか、砂漠がこんなにキツイなんて思わなかったですの――」


 ゆったりとした外套を巻きつけ、一人の少女が延々と続く砂の道を歩いていた。少女は元は西のマグレフ帝国の皇女であったが、慕い続けた愛しの兄を国が追放したと聞き、城から脱出しそのまま逃げ出してきた。


 路銀は持ってくることは出来なかったが、途中で自らが着ていたドレスと小物を売却し、代わりに平服を購入し、更に砂漠の手前の村で砂漠超えに役立つこの外套と砂が入らないような靴を購入。


 魔法の役に立つ杖も手にした。本来はラクダのような乗り物も欲しかったが、ここに至る前に掛かったお金で大分使ってしまった為ラクダを購入するほどの余裕はなかった。


 仕方ないのでまさに杖を杖代わりにして歩いている。空間魔法が有るため、身につけておく必要のあるもの以外はしまっておけるのが利点だが、やはり少女一人の身では砂漠を超えるには少々心もとない。


 もっとも死の砂漠とさえ称される危険な砂漠だ。日程を決めてのちょっとした探索なら協力してくれる冒険者もいるだろうが、いつ出会えるかわからない兄を探す旅に付き合う酔狂な冒険者はいない。


 この砂漠は死の砂漠と呼ばれているが、砂漠全土が危険視されているわけではない。ただ、中心に行けば行くほど危険は高まるとされている。


 あくまで噂程度だが握力一万を軽く超えるような猿の魔獣や、砂の中に潜み足を踏み入れたものを引き寄せ喰らう巨大な蟻地獄のような魔物。


 それに猛毒を持つサソリや怪鳥、亀の甲羅にモグラがくっついたような化け物など挙げれば切りがない。


 その上、砂漠の中心地には神獣のスフィンクスまで潜んでいるという話だ。ただこれはあくまで伝説だ。話ではスフィンクスは金で人を惑わし金に目がくらんだ相手に問題を与え、答えられなかったら喰らうようだ。


 もっともスフィンクスに出会って逃げ切れたものなどいないとされるためどこまでが本当か怪しいところだが。


 とにかく――少女モルジアはそんな危険な砂漠を目的はあれど宛もなく彷徨い続けていた。


 頼りの兄が、この広大な砂漠のどこに追放されたのかまで、彼女は聞かされていない。追放に加担した兄達は砂漠のどこかとしか口にしなかったからだ。


 ただ絶対に戻ってこれないという点だけは自信があったようなので、この帝国からはかなり離れた場所なのは間違いがないだろう。


 モルジアは魔法で生み出した空間から革製の水筒を取り出し水を飲む。熱い、暑いというより熱い。この熱帯の砂漠を歩くのは間違いなく辛く体力もどんどん消耗されていく。


 水筒の水もあまり無駄には飲めないが、とにかく喉が渇く。


「やっぱり私みたいな女の子が無茶だったのかな……」


 つい弱音を吐いてしまう。その時、ふと思い出し懐から砂色の花を取り出して眺めた。


 それは昔、兄のホルスがモルジアの為に魔法で作成し贈ってくれたものだ。兄は魔法で作成した物に魔力を定着させこうして残すことも出来る。

 

 意地悪な兄に虐められ泣いていた時にホルスが作ってくれたものだ。まだ小さなころの思い出だが、モルジアはそれを昨日のことのように覚えていた。


「うん、そうですわ! こんなことでへこたれてなるものですか! 愛しのお兄様とも会えないまま死んでなどいられませんことよ!」


 砂の花を見て、再び彼女のやる気に火がついた。その時、ふと目端にウサギが見えた。


 砂漠にもウサギがいるんだ、と呟きつつ、少し癒されたいなと思い近づいていく。しかしモルジアに気がついたウサギが逃げ出した。


 砂漠の獣は気配に敏感だ。常に敵が多く単純に近づこうとしても警戒心が高く上手く行かない。


「もう、何も採って食おうってわけじゃありませんのに――」


 その時だった砂の中から飛び出た大きな口が逃げるウサギをパクンっとひと呑みにした。


 それは茶色い体をした巨大な生物だった。魔物? とモルジアが警戒心を強める。


 見た目は蛙に近い。肌もヌメッとしている。ただ目がやたらとギョロギョロしていた。


「ゲコッ!」

「キャッ!」


 その蛙が長い舌でモルジアを舐めてきた。舌が触れたのはほぼ外套だが、顔は直接舐められベトベトした涎が絡みつく。ベタベタしていて生臭かった。


「き、気持ち悪い」

「ゲコッ!」


 すると今度は蛙がモルジアに向けて飛びかかってきた。


「な、舐めないで欲しいですの!」

 

 杖を突き出し魔法を行使。蛙がパッと消え、かと思えば十メートル上空にいて落下してきた。


「ゲコッ!」


 頭から落ちた蛙だが、死んではいない。柔らかい砂の上だったからだろう。ただ動きは止められた。その隙にモルジアが空間移動で逃げ出す。


「ふぅ、良かったですの。でも、やっぱりあぁいうのがいるんですわね……」


 ホッとしつつ、今後は気をつけながら進もうと心に決めるモルジアであった。そのまま砂漠を進む。


「はぁ、はぁ、あれ? おか、しいですの。確かに熱いですけど――」


 それから暫くしてモルジアは自分の体調の異変に気がついた。足取りが重い。頭もフラフラしていて呼吸も荒い。


 そして異様な倦怠感。段々と目眩がひどくなり、ついに砂の上に倒れてしまった。


「一体、どうなっていますの?」


 砂漠に倒れたままだんだんと意識が薄れていくのを感じていた。まさか太陽の熱に? とも思ったがふと、あの蛙に舐められたことを思い出した。


「まさか、あの唾液に毒が?」


 迂闊だったと、悔やむ。ここは死の砂漠とも呼ばれる危険地帯だ。そんな危険な砂漠に現れる魔物が、何の意味もない行動をしてくるわけがない。


 あの蛙はきっとモルジアを毒で弱らせた後に食うつもりだったのだろう。


「こんなところで、死ね、ないですの――」


 なんとか立ち上がろうとするも体の自由が効かない。足もふらついていた。


 まずいまずい、頭の中に警笛が鳴り響く。そして、再び砂漠の中に前のめりに倒れてしまった。


 そして、そんな彼女に近づく影。何とか視線だけ気配に向けて這わせると、そこにいたのは。


「う、そ、ゴブリンですの?」


 そう。ゴブリンだった。ただしモルジアが知っているゴブリンとは肌の色が違う。彼女が知っているゴブリンは体色が緑だったがこのゴブリンは砂の色をしていた。環境に順応して肌が変化したのかもしれない。


「い、いや……」


 どちらにせよモルジアがピンチなのは確かであった。毒の影響で魔法を使う気力も残っていない。


 するとゴブリンにしては巨大な手が伸びてきて、モルジアに手枷と足枷を嵌め、そのままどこかへ連れ去ろうとした。





 その現場を見ていた蟻達がいた。


「アギィ」

「アギギッ」

 

 蟻達は何かを相談している様子だった。捕まっているのは人間でありこれまでなら特に何も思うところも無かっただろう。だが、最近ではそうとも言えない事情があった。


 ただ――砂漠のゴブリン達の中には一際大きなゴブリンの姿もあった。枷を嵌めたのもこのゴブリンだった。


 それはホブゴブリンだった。通常のゴブリンよりも体が大きく力も強い。アイアンアントでもそう簡単に勝てる相手ではなく、しかも彼らは周辺を見回る目的を与えられた調査兵。そこまで数は多くない。


 蟻達は一匹だけを追跡にまわしておき、戻ることにした。王に話をして判断を仰ごうと思ったのである――

妹が大変なことに!?

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感想やレビューもどしどしおまちしてます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすくて面白いですね! ラクとアント達のノリが結構好きです笑
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