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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第五章 砂漠と帝国の刺客編

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第231話 砂漠にやってきた希少な奴隷

「と、取り乱してしまってごめんなさいね……」


 サバクゲジを退散させたことで、ロベリアも正気を取り戻して席に座った。ただ、バツが悪いのか若干気恥ずかしそうでもある。


 何か申し訳ないけど、そんな姿が少し可愛らしいかもとか思ってしまったよ。これまでの妖艶などことなく危険な香りが少し払拭された。


「……コホン。それでは本題に入りましょう。秘書もそこまで奴隷を連れてきてますので」


 ロベリアが表情を引き締め、改めて奴隷の話になった。秘書が一時的にいなかったのはロベリアに言われて馬車から奴隷を連れてくる為だった。


 そういえば、城に来る時にロベリアが護衛たちに誰かを頼むようなことを言っていた。今思えばあれがまさに同行した奴隷のことだったのだろう。


そして――ドアを開けて何人かの護衛と一緒にローブで姿を隠した人物が入ってきた。ローブは膨らみが感じられて随分とゆったりとしている。


 フードも目深に被っているから今はまだ顔もわからない。


「フム、随分ともったいぶるのう」


 しげしげと入ってきた奴隷を見ながらフィーが言った。姿を全く見せないのは、それだけ大切にしているってことでもあるのかもしれない。


 ただ、見たところ枷などをされている様子はない。奴隷だからフードを取れば首輪ぐらいはしているのかもしれないけど、そこまで徹底して束縛しているわけではないのだろうね。


「それではこれよりフードを外し、中身を見てもらいますが、一点だけお願いしたいことがあるの」

「これ以上何をお願いするつもりですの?」


 モルジアが怪訝そうに問う。さっきの騒動で彼女の違う側面が見れたとは言え、まだまだロベリアへの警戒心は解けてなさそうだ。


「お願いというのは奴隷を引き取って頂けるにしても頂けないにしても、このことは他言無用でお願いしたいということ。これは他のお客であってもやはりお願いすること。お約束頂いても宜しいかしら?」


 ロベリアの目は真剣だった。どうやらただ単に貴重だからというわけでもなさそうな気がするんだけど……


「わかりました。絶対に外ではいいません。皆もいいかな?」

「陛下がそう申されるのであればこのスイム絶対に他言致しません。ここに立ち会っているギルドのメンバーにも徹底させます」

「私も騎士として必ず守ると誓いましょう」


 スイムもジャハルも承諾して誓ってくれた。イシスやモルジアにフィーも守ってくれるから問題ない。


「それでは――」


 ロベリアに促され秘書が近づいていき先ずフードを捲った。首にはやはり首輪がある。


 姿を見せたのは金髪碧眼の美しい女の子だった。そして次にローブを脱がすと、純白のドレス姿で、その背中からは――白い翼が生えていた。


「……これは天翼人かのう」


 フィーが思い出すようにしながら口にする。天翼人――そういえば昔おとぎ話の中で見た種族にいた気がする。そんな種族が目の前に――僕も正直驚きだ。


「待ってですの。天翼人ってあくまで物語の中の種族ではなかったですの?」


 モルジアも僕と同じ感想を抱いたようだ。確かに僕たちの中では物語の中の存在だ。


「ふむ、人の中ではそう思われていたのかえ。妾は昔は数度見たがのう」

「フィーの昔って、いつのことなの?」

「ふむ、ほんの二千年程前であるぞ」

「ンゴッ!」

「長生きかしら。それも愛よね愛!」


 フィーは彼女を見てすぐに天翼人とわかっただけあって見たことはあったようだけど、に、二千年前……聞いたイシスも驚いていた。


「しかし、何故そのような希少な種族を貴方が?」


 訝しげにスイムが問う。そこは僕も気になるところだ。確かに貴重な奴隷とは聞いていたけどね。


「……過去に少しお世話になった人の関係よ。その方は人格者でここにいるアマネトを随分と可愛がっていたの。これは言葉通りの意味よ」


 ロベリアが可愛がっていたということを強調する。つまり悪い意味ではなく大切にしていたということなんだろうね。


「それならば、その方の元にいたほうが良かったのでは?」


 話を聞いていたジャハルが問いかける。


「……亡くなってしまったの。だからその代わりとなる買い手を私が探しているのよ」


 亡くなった……彼女は奴隷だからそうなるとまた奴隷商人の元に戻ることになったのか。そしてその相手がロベリアの経営するトヌーラ商会だったんだね。


 それにしても――紹介された彼女、アマネトというらしいね。


 アマネトは随分と不安そうな顔をしている。奴隷という立場だから自分をどんな人が買うのか気が気ではないのかも知れない。


「大丈夫よアマネト。この方は砂漠の王国バラムドーラの優しい王様よ。貴方をきっと大切にしてくれるわ」


 ロベリアがアマネトの不安を払拭させるように優しく微笑んだ。彼女が奴隷と接するのを初めて見たけど、奴隷だからと相手を見下しているような感じには見えない。


 この辺りが以前のヨクゴウとの違いかも知れない。

 

「……あ、貴方は私を剥製にしたりはしませんか?」

「――ッ!」


 だけど、どこか縋るような目でアマネトが口にした一言に思わず息を呑んだ。それはきっと他の皆も一緒だと思うけど、それは一体――

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