第221話 砂漠に久しぶりにやってきたアリババ商会
アンラキもバラムドーラの住人となることを決めてくれてから、更に数日が過ぎて――いよいよアリババ商会の馬車がやってきた。
帝国とのごたごたもあったりして、色々と慌ただしかったしそれに物資も必要な物が色々出てきていたからね。
このタイミングでアリババ商会が来てくれたのは嬉しい。そしてこれにはロキも大喜びだ。
「やっと魔導火薬が手に入るんだな。それに他にも頼んだものが入ってくれば、戦車の完成度もより上がるってもんよ!」
シュデル戦でも役だった戦車だね。確かに強力だったよ。
そしてアリババ商会の商団が国に入り、馬車からアリババが降りてきた。
「随分と遅くなってしまってもうしわけなかったにゃ~」
そして皆で荷物を運び出した後、お城の一室でアリババ商会長と対面する。
勿論アリババ側にペルシアとルガールが並んで座っている。他にもフィーとモルジア、アイン、イシス、スイムが同席してくれているね。ロキは今はチャガマと仕入れた品の品質をチェックしてくれている。
「旦那様お久しぶりです」
「にゃん。お兄たまやっと来てくれたにゃん」
ルガールやペルシアとも久しぶりの再会を分かち合い、そして話に入る。
「にゃ~手紙にも書いたけどにゃ~少々面倒な話があったにゃ~だけどそれも解決したにゃ~」
そうなんだね。帝国とのこともあったからエルドラド共和国でも色々とあったみたいだ。
「何か逆に申し訳ないです」
「別に陛下が謝る話ではないにゃ~それに結果的にマグレフ帝国にバラムドーラ王国側が勝利したのが追い風になったにゃ~後でトヌーラ商会が書状を持ってくると思うけどにゃ~エルドラド共和国は正式にバラムドーラ王国を国と認めることにしたにゃ~」
「本当ですの!」
「ふむ。むしろ当然であろうのう」
「しかしこれは大きな話ですな」
「良かったねホルス!」
「愛よね愛!」
アリババからの情報に皆も喜んでくれた。でも、これで今後は国として恥ずかしくないようにしていく必要があるね。周りからも見られるようになるわけだし。
「ですが、何故トヌーラ商会ですの?」
モルジアが聞いた。確かに今の話だと後からトヌーラ商会も来るということだ。
「にゃ~トヌーラ商会の方が後に出てきてる筈にゃ~こちらの方が依頼されていた品があった関係で書状はトヌーラ商会のロベリア商会長に任せて急ぐようにしたにゃ~」
確かに今、メインで取引しているのはアリババ商会だから、アリババが急いだというのはわかる気がするけど。
「ふむ。しかしトヌーラ商会はわざわざ書状だけを届けにくるのですかな?」
今度はスイムが問いかけた。それだけでわざわざ来るというのも妙な話だと思っていそうだ。僕も気になる。
「それだけどにゃ~前に話した建築の職人は、やはりうちでは難しいにゃ~」
「そうなんですね……」
「にゃん! お兄たま程のお兄たまがそんな弱気なことをいうなんてにゃん!」
「ペルシア。商売にも得手不得手があるにゃ~前も話したとおり、やはり今建築系は……いや寧ろ前よりさらに建築系はトヌーラ商会が強くなっているにゃ~残念ながらにゃ~うちが話を持ちかけても断られてしまうんだにゃ~」
「それはトヌーラ商会に邪魔をされているのでは? ですの!」
前のめりになりモルジアが眉を尖らせる。だけどアリババは首を横に振った。
「そんなやり方で来ていたなら無抵抗で案件を譲るような真似はしないにゃ~だけど今回はトヌーラ商会が待遇を改めたことが理由にゃ~規模の大小関係なく、仕事をこなす優れた職人や建築系の商会へはしっかりと報酬を支払うようになったにゃ~仕事をしっかりこなせば追加報酬も応じてくれるからとすっかり評判が良くなったにゃ~」
アリババがトヌーラ商会の現状について教えてくれる。以前の商会長が経営していた頃とは方針が大きく変わったようだね。
あのロベリアという新会長は聞いているとかなりのやり手みたいだ。ただトヌーラのような卑怯な真似をするわけではなく、正攻法で信頼を勝ち取っているらしい。
「旦那さまがそこまで評価されるとは、以前のトヌーラとは確かに異なるようですね」
「そうかもしれないにゃ~議会でも手を貸してもらったこともあるにゃ~正直言えばバラムドーラ王国をエルドラド共和国が国として認めるまでになったのもとトヌーラの商会長であるロベリア議員の擁護が大きかったにゃ~」
「え? そうなの?」
「……確かに以前、トヌーラ商会の思わぬ助けが入ったことがありましたね」
「初めて知ったにゃん」
ペルシアも意外そうな顔していたよ。それにしても以前はうちと敵対していたトヌーラ商会に助けてもらっていたなんて、本当に意外だよ。
「にゃ~そういう経緯もあるからにゃ~トヌーラ商会が来たら改めて話だけでも聞いて見るといいにゃ~」
「……何とも解せんのう。お主、もしや弱みでも握られたわけではあるまいな?」
どうやらフィーはこの話に納得していないようだ。以前のトヌーラのことがあるからだろうけど……
「……見くびってもらっては困るにゃ~僕は商売人として相手に敬意を払っただけにゃ~確かにトヌーラ商会はライバルにゃ~しかしにゃ~敵対心だけで相手を毛嫌いし理解しなければそこから先、何の発展もないにゃ~そこは陛下にも覚えておいて欲しいにゃ~」
「むぅ……」
アリババはフィーの指摘を受けても決して怯むことなく堂々と言い放った。そこに商人としての矜持を感じたよ。
……以前は僕も奴隷と聞いただけで拒否反応を示してしまった。だけど、今度はしっかり話を聞いた方がいいのかもしれないね……
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