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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第五章 砂漠と帝国の刺客編

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第218話 リスリーの作戦

「……ここは?」

 

 リスリーが目を覚ました。見ると自分がベッドに寝かされていることに気がついた。毒から回復したときと一緒だが部屋は違うようだ。


 そして部屋にはあのクリムゾンの姿がある。


「よぉ。目覚めたようだな」

「貴様!」

「おっと、動くなよ? 今お前の監視は俺に任されている」


 そう言ってクリムゾンが槍を構えた。一方でリスリーは自分が持っていた武器が全て取り上げられていることに気がついた。


「貴様が、汚らわしい亜人が私の体を調べたのか!」

「おっと勘違いするな。お前の体をチェックしたのは王の妹のモルジアや仲間の女達だ。俺を含めた男は指一本触れてないさ」

「ふん。どうだかな。お前たちのような卑怯者は信用ならん!」

 

 眉を怒らせるリスリーの姿にクリムゾンは肩を竦めた。


「隊長やケモナルはどこにいる!」

「安心しろよ。王は心優しい。二人共捕虜として丁重に扱っている。多少の不便は覚悟して貰う必要があるが」

「ふざけるな! 殿下に続いて二人まで――どこまで罪を重ねれば気が済むのだ!」

「いや、罪ってお前なぁ……」


 呆れてものが言えないクリムゾンだ。何せホルスの国に勝手にやってきたのは彼らだ。しかも身分を隠してだ。ホルス側からすれば当然彼らの方が罪人である。


「……どうやらまだ疑っているようだが、俺は嘘は言ってないぞ。キースの命を奪ったのは……ワズイルだ」

「そんなこと、しんじられるわけ……」


 リスリーがうつむき、シーツをギュッと握りしめる。


「とにかく、信じようが信じまいが、お前はここの捕虜だ。とは言え、病み上がりってこともあるからな。王がそれを考慮してワズイルやシュデルって奴を閉じ込めている地下牢には入れてないんだ」

「そんなことで恩を着せたつもりか!」


 雷鳴のごとく声を発するリスリー。やはりまだ信用してはいないようだ。


「……お前の言っている殿下とやらもキースをワズイルが殺したのを知っていたようだぞ。しかし気にする素振りどころかそれを良しとしてる様子さえ感じられた」

「だ、黙れ!」


 視線を逸らし、リスリーが唇を噛んだ。動揺が感じられる。


「とにかく、今は大人しくしていることだな」


 そしてしばし経ち、夕食も運ばれたがリスリーは手を付けようとしなかった。


「お前なぁ。病み上がりなんだし少しは食べないと体力が持たないぞ?」

「貴様らの持ってきた物など食えるか! このスープなど特に怪しい毒でも入ってるかも知れないしな」

「やれやれ」


 頭を擦り、そしてクリムゾンがスプーンでスープを掬って口にした。


「うん旨い。ほら見ろ、何も入ってないだろう?」

「…………ふん」


 クリムゾンが食事を食べたのを見ても口をつけようとしなかったが、そこでグ~という可愛らしい腹の音が鳴った。


「そら見たことか、体は正直なもんだ」

「み、妙な言い方をするな! く、くそ!」


 そして結局リスリーは食事に手を付けた。


「そうやって最初から素直になればいいんだよ。どうだ? 体が喜んでるだろう?」

「貴様はわざと言ってるのか!」


 リスリーが顔を赤く染めて叫んだがクリムゾンは小首をかしげる。


 それから更に夜が更けて――リスリーの視界に壁にもたれ掛かって寝息を立てるクリムゾンの姿があった。


「上手くいったみたいだな」


 リスリーは手に持った瓶を眺めながらそう呟く。確かに武器と言える物はほぼ奪われたが、隠し持っていた睡眠薬入りの瓶は見つからずにすんでいた。


 そしてそれをさっきの食事に密かに入れておいた。クリムゾンは睡眠薬入りのスープを口にしたのだ。勿論リスリー自身も飲んだがその効果は解除した。リスリーは自分に関することであれば物体でなくても解除できる。


 部屋から出て、リスリーが地下牢に向かう。足音を解除し、気配も解除した。これで誰にも見つかることなく進めた。地下に繋がる扉には鍵が掛かっていたが、リスリーの解除魔法に掛かれば鍵など意味をなさない。


 そして地下に下りていく。暗かったがこの程度なら問題ない。すぐに目を慣らして進み、その先で牢屋を見つけた。


「誰だ? またあの女か! 今度は腕に何をつけるつもりだ!」


 気配の解除を解いた途端、地下牢に閉じ込められているシュデルが叫んだ。


 リスリーはシュデルの右腕がないことに気がつくが、シュデルの叫んでいることの意味はよくわからなかった。とにかく、声を忍ばせ語りかける。


「落ち着いてください殿下。私は帝国から派遣された騎士のリスリーです」

「何?」


 シュデルの顔色が変わった。そして格子に手を付けて目を見開く。


「やはり、祖国は俺を見捨てなかったか! 当然だ! 優れた力を持つ俺を父が見捨てるわけない!」

「はい。そのとおりでございます」

「よし! よくやったぞリスリーと言ったな? ほう、よく見ると中々いい女ではないか。よし、ここから出ることが出来た暁には側室として迎え入れてやろう!」


 その反応にリスリーは一瞬顔を顰めた。別に頼んでもいないのに勝手にそんなことを決められても困る。


「さぁ早くここから出すのだ」

「……はい。ところでシュデル殿下。ぶしつけではございますが……キースという騎士を知っておりますか?」


 そう言ってリスリーは真剣な眼差しでシュデルを見た――

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― 新着の感想 ―
[一言] リスリー、もしお前が帝国側に肩入れしてホルスたちと敵対するのなら、お前は俺の敵だ。 ……キースが死んじまった時点でもう救えなくなっちまったのか?リスリーは。
[気になる点] いくらなんでもチェックがザルすぎませんかね
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