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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第五章 砂漠と帝国の刺客編

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第208話 砂漠で薬の素材を見つけよう!

 フィー達が城でケモナルの様子を探っている頃――ホルス一行は素材を集める為に採取班として四つに別れ獲物であるサンドプロネウラを探していた。


「というわけで砂漠に来てみたけどにゃん。辺り一面相変わらず砂ばかりにゃん」

「まぁ、砂漠ですからね」


 ペルシアとルガールもまた、ホルスに協力する形で素材採取の為に獲物を求めてやってきていた。大きな影が差し込む中で、どうしようかと相談する二人でもある。


「それにしても、ジャックは暑くないかにゃん?」

「お、おだ、へいぎ。暑いの得意だ」


 ジャックが答える。大きな影はジャックによるものだった。二人を暑さから守るような位置取りをしているからでもある。


 当然その分ジャックに熱が集中するが、強がりでもなくジャックは暑さには強かった。


 素材集めに協力したいとジャックから申し出た。そして王国にとっては大切なお客様でもあるペルシアとルガールの守護者として同行している。


「ジャックは頼りになる仲間なんだよ~だから大丈夫。あ、蜜食べる~?」

「あ、ありがたいだ」


 このメンバーに加わっていたメルが玉にした蜜をジャックに食べさせて上げた。


 メルは魔法を得意としており、中距離から遠距離での戦闘を得意としている。ルガールは近接戦、ジャックは主にタンクとして機能し、ペルシアは支援的な立ち位置だ。


 故にこのメンバーに遠距離からの攻撃が可能なメルが加わる事となった。


 こうして獲物を求めて砂漠を歩き回る四人であったが、ふと何かを思い立ったのかペルシアが口を開く。


「にゃん。こういう時こそ魔導具の出番にゃん」


 するとペルシアが魔法のリュックサックを開け、そして魔導具を取り出そうとするが。


「にゃん、これでもないにゃん。あれでもないにゃん。これも違うにゃん」

「ペルシア様。いつも言ってますが、整理整頓は日頃から心がけた方がいいですよ?」


 人狼状態のルガールが注意を促す。すでに中身が女性であることはわかっているため、何となくだらしない娘を叱咤する母親のようにも思えた。


 いや、年の差で言えば妹を叱咤する姉ぐらいが適当か。


「これもちが――」

「ストップですそれは!」

「にゃん?」


 ペルシアがラッパのマークが刻まれた玉をぽいっと投げた。砂に落ちた途端、けたたましい音が砂漠に広がる。


「し、しまったにゃん! クラクションボールを投げてしまったにゃん!」

「な、なんずらそれ?」

「凄い音だったよ~」


 ジャックが頭を捻り、メルは耳を塞ぎながら今の気持ちを口にした。


 ペルシアは頬を肉球で擦りながら申し訳無さそうに言う。


「にゃはは……今のは大きな音を鳴らす魔導具にゃん。咄嗟の時に相手を驚かせたりするのに使うにゃん」


 つまり基本的には護身用の魔導具となる。音で相手が怯んだ隙に逃げたり、周囲に助けを呼ぶ目的でも使われる。


 ただし、大きな音は時と場合によっては逆の意味で作用することもあり――突如離れた位置の砂がボコッと盛り上がり砂煙を上げながら猛スピードで近づいてきた。


「いけない! 今ので魔物を呼び寄せてしまったようだ!」


 ルガールが叫ぶのとほぼ同時に、楕円形の巨大な胴体を有する多脚の魔物が姿を見せた。


「あ! サンドプロネウラだ!」

「これがにゃん!?」


 出現したサンドプロネウラが体を擡げ、そこから一気にペルシア向けて強靭な顎で襲いかかってきた。


「ふんぬぅぅぅぅうぅうう!」

 

 しかし、そこへ割り込んだのはジャックだ。大盾を構えサンドプロネウラの突撃を防ぐ。


「た、助かったにゃん!」

「光魔法・光裂線!」


 魔物の側面に移動したメルが魔法を唱える。両手を突き出すと空間を裂くように光の帯がサンドプロネウラの胴体を捉えた。


 サンドプロネウラの胴体が仰け反る。どうやら魔法が効いているようだ。しかし、サンドプロネウラはそのまま砂の中に逃げ込んでしまった。


「にゃん!? 逃げたかにゃん?」

「いえ。砂の中から我々を狙うつもりでしょう。砂漠にはこの手の動きを見せるタイプが多いようです」


 ルガールが私見を述べる。砂漠に生息する生き物はその環境を活かした戦い方をすることが多い。


 サンドプロネウラにしても体色は砂の色に近く、獲物に悟られにくい動きを見せる。


「にゃん! こういうときこそうちの魔導具の出番にゃん。あれでもないこれでもない――」

「ペルシア様は余計なことはせず見てて下さい」


 リュックからポイポイ道具を投げ捨てるペルシアにルガールが頭を抱えた。

 

 すると、再び砂からサンドプロネウラが姿を見せる。


「あ、ルガール、危ないだ!」

「寧ろ僥倖。よりによって私を狙うとは舐められたものだな!」

 

 ルガールの真横からサンドプロネウラが出現し、ジャックが緊迫した声を上げる。だが、ルガールは怯むことなく両手の爪を伸ばしてみせた。


「人狼流闘爪術・狼爪天舞!」


 頭を振り下ろすサンドプロネウラだったが、ルガールは臆することなく飛び上がり、高速回転しながらサンドプロネウラを切り刻んだ。


――ギィギュギィギュギィイィイイ!


 軋むような悲鳴を上げ、サンドプロネウラが砂漠に倒れる。だが、くるりと回転し、そして慌てて逃走しだした。


「逃しはせぬ! 人狼流闘爪術・狼我風瘋爪!」


 その場でルガールが爪を振ると、風に乗った斬撃が逃げようとしたサンドプロネウラを見事切り刻んだ。


 顎を突き上げ、ピクピクと痙攣するサンドプロネウラ。そして、そのまま砂漠に傾倒し動かなくなった。


「す、凄いだ。あんな大物をあっさり……」

「いや、ここまで上手くいったのもメル殿の最初の攻撃があったからです。あれでかなりのダメージを与えていたはずですから」

「本当? それなら良かった~ところでこの魔物って美味しいかなぁ?」


 メルがマジマジと倒れたサンドプロネウラを見ているが、その様子にペルシアは引きつった笑いを浮かべていた。


「さ、流石にこれを食べる気はおきないにゃん……とにかく、素材を持ち帰るにゃん――」


 こうしてペルシア達は目的の素材を無事手に入れたのだった――

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