第203話 砂漠で魔法治療
フィーが彼らに詰問する。この危険な砂漠になぜ三人でやって来たのか、それは気になるところだ。
「確かに我々もそこは聞いてませんでしたが、何もなくあんな危険な場所にいたとは思えませんね」
スイムも怪訝そうにアンラキを見ていた。すると困った様子でアンラキは頬を掻いて答えた。
「私達は実はトレジャーハンターでね。砂漠には財宝が眠っているというのは有名な話だ。それに挑戦したくて来たのさ」
「……トレジャーハンターとな?」
「つまり宝探しに来たってことなんだね」
そういう宝を探すことを生業とした人たちがいるというのは聞いたことがあるね。
「それをたった三人でか?」
バラフライが念を押すように問いかけた。水の竜団では魔法使いと言うより戦士といった見た目のメンバーだね。
「寧ろ私達のような仕事は人数がいればいいってものではなくてね。これでも少数精鋭でやってるつもりなのですよ」
「その割に病にかかるとは迂闊よのう」
「いや、それを言われると立つ瀬もないのですが」
鼻眼鏡に指を添えアンラキが苦笑した。う~ん、真意は掴めないけど、ただリスリーが病魔に侵されているのは確かだ。
「お兄様! イシスを連れてまいりましたですの!」
「遅くなってごめんね。ケアも後から来ますから!」
僕たちが話していると、モルジアがイシスを連れて部屋にやってきた。そこで一旦彼らへの問いかけは中止して、イシスにリスリーを見てもらう。
「ス~……」
「うん。心配だね」
「ンゴンゴッ!」
ラクもイシスと一緒にやってきて、彼女の隣でリスリーを見守っていた。スーも心配そうにしている。
「病は愛からよね! 愛よね愛!」
イシスの肩の上ではアイも応援するように声を上げていた。アンラキが興味深そうな目を向けてい
「話には聞いていましたが、治療魔法が使えるとは凄いねぇ」
イシスがリスリーへ生命魔法を掛けているのを見てそう思ったようだ。治療系の魔法に適正を持った人は少ないからね。
「……その小さな子も精霊なのか?」
「あら? それは違うかしら。私は愛の伝道師アイ! 愛よね愛!」
ケモナルはアイに注目していたけど、アイは精霊ではない。元モアイのモ愛だからね。
「……可愛いな」
「「「「「え?」」」」」
「ンゴッ!」
ケモナルのつぶやきに、皆の視線が一斉に彼へ向いたよ。いや、普通の意味だと思うんだけど……
「ケモナル。お前がそれ言うと、ちょっと別な意味にとられかねないぞ」
「……別な意味?」
アンラキが苦笑して告げるけど、ケモナルは怪訝そうに顔を顰めた。そ、そうだよね。今の可愛いは普通に可愛いって意味だものね!
「……ごめんなさい。多少は呼吸も落ち着くのですが、私の魔法だけでは治療できなさそうです」
改めて皆が見ている前で魔法による治療を続けていたイシスだったけど、申し訳無さそうに眉を落として、リスリーを治すのが難しいことを伝えてくれた。
「ふむ。小娘壱号の魔法でも難しいのか」
「姫、気を落とさず。宜しければライの胸を貸しますぞ」
「ありがとうフェル。でも大丈夫だから」
イシスの反応にフェルグスは残念そうに肩を竦めた。ちなみにフェルはフェルグスの愛称だね。
「魔法でも治療が難しいとは……」
「はい。ですがご安心を。魔法では治せない毒や病にも対応出来る優秀な錬金術師がここにはいますので」
「ほう? 錬金術師までですか。それはまた、随分と層が厚いようで――」
鼻に掛けた眼鏡を直し、アンラキが目を細める。さっきから随分と僕たちに興味を持ってそうでもある。ただ、それがトレジャーハンターというものなのかもしれないけど――
「お待たせ~♪ それで新しい被験体は誰~?」
「被検体ではなくて患者と言った方がいいと思うにゃん」
「そういう目で見るようなことがなければ、腕は確かなようなんですがね」
噂をすれば何とやらといったところで、ケアがやってきた。一緒にペルシアとルガールも来た――
「うほぉおぉおお! その娘も中々いいおっぱ、ぎぇえぇええぇえええぇええ!?」
そして、ロキも来ていたね。あぁ、また輪っかに締め付けられているよ……
「――……」
「王よ、あの男、小娘猫号や小娘狼号、そしてダメーフにも一瞬射るような視線を送っておったぞ」
フィーが僕に耳打ちしてくれた。油断するなってことなんだろうね。
うん、それはそれとして、なにかまた新しい呼び方が増えてるね! ダメーフって!?




