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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第五章 砂漠と帝国の刺客編

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第194話 砂漠を征く者、砂漠で魔法を試す者

 幸運を引き込む魔法、それを聞いても最初はリスリーもケモナルもピンと来なかったようだ。


「えと、その魔法は一体どんな魔法なのですか?」


 はて? といった顔を見せながらリスリーがアンラキに尋ねる。その隣ではケモナルが興味深そうにアンラキの答えを待っていた。


「別にそこまで難しい魔法ではないさ。文字通り幸運度を上げるのがこの魔法だ。魔法を使うと運がよくなって何かしら良いことが起きる」


 リスリーは目をパチクリさせ、そしてすぐに興奮した顔になって声を上げる。


「凄いではないですか! 運が操れるなんてものすごい魔法ですよ!」


 前のめりになるリスリーにアンラキは苦笑する。そして同時に釘を差して置く必要があると感じた。


「さっきも言ったが過度の期待は禁物だ。それと運を操れるのではない。運を上げる魔法だ」

「……同じではないのか?」


 ケモナルが熊のように太い腕を組み不思議そうな顔を見せる。


「俺の魔法は運を上げるが、上げた後のことにまで干渉できない。それにどんな幸運がやってくるかもわからない。そういう意味で過度な期待は禁物なのさ。それに、運を良くすることが必ずしもいい結果に結びつくわけでもない」

「? なぜですか? 運がよくなれば色々役立ちそうですが?」


 頭に疑問符を浮かべるようにしてリスリーが問いかける。


「確かにその場では運が良くなることで思わぬトラブルから回避出来ることもある。問題は運を良くさせた後は大体不幸が訪れるってことだ」


 え? とリスリーが怯んだような顔を見せる。


「……つまり代償がある魔法ということなのか?」

「う~ん。どうだろうな?」


 ケモナルの問いかけ。意外と喋るときは喋るんだな、などと思いつつも代償に関してははっきりしない答え方だ。


「個人的な考えだが、運と不運というのは世界のバランスの中で成り立っていると思っている。だが魔法で幸運を呼び込む行為は世界のバランスに影響を及ぼす行為だ。だけどそれを許してくれるほど世界は甘くはない。だから幸運を引き寄せ後は損ねたバランスを保つためにその分不幸が訪れる――それが俺の考えだ」


 同時にだからこそ抗うことが出来ないともアンラキは考える。世界の強制力に比べたら魔法の効果など些末な物だ。


「どの程度運が上がるかは込めた魔力で変化するが、あまり運を上げすぎると後が怖いのがこの魔法の恐ろしいところでもある。だからこそ頼りすぎるわけにはいかないのさ」


 そこまででアンラキが話を締める。なるほど、とリスリーも頷いた。


「ならばできるだけそれに頼らないよう、私達も頑張らなければですね」

「そういうことだ。ま、頼りにしてるよ」


 眉を引き締め答えを示すリスリーに表情を緩ませるアンラキである。こういう時にそれでも幸運魔法が頼りになると軽々しく考えているようでは困る。


 リスリーのように、運に頼らない前提で進めてくれる相手の方がアンラキとしてもやりやすい。


 もっともいざとなればアンラキとて魔法を使うことを躊躇わないが。


「――こっちが比較的安全と思える」


 明朝、鼻を長くさせたケモナルが安全なルートを示してくれた。その姿にアンラキが感心して見せる。


「獣化魔法か。やはり頼りになるな」

「…………」


 ケモナルが無言で前を歩く。どことなく褒められて照れている感じもした。獣化魔法は文字通り獣の姿になることが出来る魔法だ。今ケモナルが獣化したのは象であり故に鼻が長い。


 象は嗅覚が鋭いので危険を察するのに向いていた。ケモナルは手で触れた獣の姿になることが出来るらしい。


 何種類かの獣に変化出来るようだから状況に応じて使い分けることが可能。獣化も完全獣化か半獣化が選べるようだ。


 そして再び三人は魔剣の回収とシュデル救出のために動きだすのだった――






◇◆◇

 

「ほ、本当にこれを私が? い、いいのかな?」


 イシスはちょっと戸惑っている様子だった。彼女の目の前にはシュデルが持参したカラドボルグが置かれている。


「うん。他の皆は流石にこれだけの剣だと逆に恐れ多いということで選ばなかったからね。それで思ったんだ。むしろイシスの生命魔法を掛けた方が役立つんじゃないかなってね」

「ス~♪」


 シュデルが剣魔法の為に持ってきた魔剣の殆どは、剣が使える誰かの手に渡っていった。その内の何本かはイシスの生命魔法によって意思を持たせる事が出来たわけだけど、それならカラドボルグにも同じことが期待できるというのが僕の考えでもある。


「お兄様もこう言ってますし、私も生命魔法でどうなるか気になりますですの」


 妹のモルジアもカラドボルグをイシスが扱うことには賛成のようだね。


「ふふ、これも愛! かしら」


 イシスの肩の上でアイが言う。アイはいつもどおりだね。すっかりイシスの肩の上にいるのが当たり前になってるよ。凄く馴染んでる。


「我は剣は扱えぬが、その剣から感じるパワーはものすごいのである。イシス殿の魔法でどうなるか楽しみであるな」


 アインもカラドボルグの変化には期待を寄せてるようだ。


「う、うん! わかった。皆がそこまで言ってくれるのなら、私も魔法を使ってみるね!」


 皆に後押しされてイシスもカラドボルグを使用すると決めてくれたようだ。


 そして手を翳し、カラドボルグに向けて魔法を行使する。


「生命魔法・生命付与!」


 するとカラドボルグから稲光が発生し、更に稲妻が形を変えていき――


「……まさか、再びこの世に姿を見せる日が来ようとはな。これもそなた、姫のおかげであるぞ! このフェルグス・マグ・ロイヒ! 姫に一生の忠誠を誓わせて頂くとしようぞ」

「「「「「え? えぇええぇえええぇええええぇえええ!?」


 イシスも含めた皆の声が揃ったよ! で、でも驚いた。まさか剣が人化して自ら名乗るようになるなんてね――

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― 新着の感想 ―
[気になる点] しゃべる枷よりは驚かないだろう
[気になる点] ……剣自体が本体のスタンドktkr?
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