第186話 砂漠でシュデルに勝利
シュデルとの戦いに決着がついた。シュデル軍との戦いは終わってみれば僕たちの圧勝だったと言える。
密かに地下に向かってくれていたアインとメルも大活躍で、捕らえられていたパピルサグ族の皆も無事解放されていた。
「アイン、メルありがとう。二人のおかげでパピルサグ族の皆も無事だったし大活躍だったね!」
「王にそこまで言って頂けるとは、実に勿体ないお言葉です!」
「砂糖がね。とっても甘かったの~♪」
アインが片膝をつき頭を下げてきて、メルはなにか別のことを思い出しているようだった。対象的な二人だな~と思っているとクリムゾンから声を掛けられた。
「我が盟友ホルスよ。お主にはまた助けられてしまったな。全く我らは借りを作ってばかりだ」
「そんな! 普段から砂糖を購入させて貰ってるし持ちつ持たれつ。困った時はお互い様だよ」
クリムゾンが僕の手を固く握りしめ感謝の意を示してくれた。だけど、僕は貸しを作ったとは思っていないんだけどね。
「この恩は必ず返す! 今後ホルスになにかあった時は私が命をかけてでもそなたを助ける!」
「え? いやいや駄目だよ! 命なんてかけて貰っても嬉しくないし、命は大事にだよ!」
クリムゾンが僕のことを思って言ってくれたのはわかるし、それはとても光栄なことだけど、折角出来た仲間が死ぬのは嫌だ。
そう思って話したのだけどクリムゾンはキョトンっとした目を向けて、その後すぐに大声を上げて笑った。
「あっはっは! なるほど。これは器が違いすぎたようだな」
「当然よのう。ホルスは妾が後のファラオと見込んだ主ぞよ」
人化したフィーが横に並んでフフッと妖艶な笑みを浮かべた。でも、何か僕の言ったことにおかしなところあったかな?
「お兄様はやはり私の愛しのお兄様ですの」
「ホルスの考えには凄く好感が持てます。ホルスと出会えて本当に良かった」
「うむ。我も王と出会えたことを誇りに思う!」
み、みんなからそう言われるとなんだか照れくさくなる。
「ところで王様。こいつらどうする?」
ライゴウが指でシュデルやワズイル、そして生き残った帝国兵を示した。千鋭百鬼団にも少しは生き残りがいる。
「王が望めば直ぐにでも燃やし尽くしてくれようぞ」
「待って待って! もう彼らも戦えないだろうし! そこまではしなくていいよ!」
慌ててフィーを止めた。全員イシスの魔法で拘束されているから身動きが取れない。
「全くとんでもない連中でしたの。ですが、おかげで魔剣が沢山手に入りましたですの」
『確かにとんでもない本数だな』
モルジアは一瞬眉を顰めたけど、思いがけず舞い込んできたお宝に喜んでいる様子も見られた。
カセが言うように、シュデルの持ってきた魔剣は一部破壊されたのを除けば全て回収されている。
「愛が呼び込んだ奇跡かしら。おかげで私のマスターも安心かしら!」
既に元の姿、いやもとはモ愛の姿だったね。とにかく可愛らしくなったアイがイシスの上で声を弾ませた。
「で、でもいいのかな? 何本か私が魔法を掛けちゃったけど……」
「勿論だよ。イシスの魔法は僕も凄いと思う」
魔剣に意思を持たせたんだからね。帝国兵達を動けないように出来たのもイシスが魔剣の力を利用できるようになったからこそだし。
ただ流石に全ての魔剣に生命魔法をかけるのは魔力が追いつかないらしいね。
だから魔剣は戦える皆にも使ってもらうことにしようと思う。
「ライゴウ。あんたはいいのかい?」
「俺はこの剣が気に入ってるからな」
ライゴウが手持ちの大剣を掲げて笑みを深めた。
あれはアイが最初会った時に使ってた剣だね。ライゴウはそれを気に入っているようだ。
「お、おらも剣はいらないだ。この盾があればいいだ」
「剣も盾も、元々私が使っていた物かしら。光栄かしら愛よね愛!」
アイが喜んだ。確かにジャックが掲げた盾も元はアイが使っていた物だね。
それはそれとして、とにかくパピルサグ族の皆とは一旦分かれて、シュデルとワズイル、それに生き残った兵達を一旦町に連行して行くことになった。
そして城に作った地下牢に入れることにする。
「だ、だせぇ、だして、くれぇ……」
牢屋には前にワズイルに連れてこられた犯罪奴隷がいた。死んたような目をしていたり、鉄格子に手をかけて呻いている。
「うふふ、王様。また新しい実験体を連れてきてくれたのかしら?」
地下牢にはケアの姿があった。アリババ商会に頼んで購入した白衣を纏って嬉しそうに目を細めた。この子は元奴隷だった少女だけど錬金術の才能があったんだよね。今は色々と薬の作成をしてて、地下牢に捕らえられている彼らで色々試してくれていた。
それにしても、凄く喜んでいるけど、い、一体ここで何をしてるんだろう? あまり聞かないほうがいいかもね……
さて、全員牢屋に入れるとシュデルが目を覚ましてキョロキョロと牢屋を見た。
「なんだここは……」
「僕の国の地下牢だよ。暫くはここにいてもらう」
「うふふ、腕がないわね。何をつけようかなぁ?」
「は?」
ケアがシュデルの腕を見て何故か袖で涎を拭った。シュデルの目が驚愕に染まっている。
ほ、ほどほどにね――




