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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第五章 砂漠と帝国の刺客編

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第182話 クリムゾンの仇討ち

「貴様だけは絶対に許さん!」

「チッ、蠍の分際で生意気な!」


 隷属状態から解放されたクリムゾンは鬼の形相でワズイルに挑みかかっていた。


 それにワズイルも応じるが、クリムゾンの巧みな槍さばきに徐々に押され始めている。


「貴様はキースを殺した。その報いは受けてもらうぞ」

「魔物が仇討ちとは笑えんな!」


 ワズイルが一旦距離を取り叫んだ。そして剣に魔力を込める。


「帝国一の大将軍と言われたこの私を舐めるなよ」


 するとワズイルの周囲に千鋭百鬼団の生き残りの兵士が集まりだした。彼らは既に指揮官たる騎士を失ってしまっていた。


 だからワズイルが利用することにした。ワズイルは陣形魔闘技の使い手だ。麾下にいる兵が多いほどその力が発揮される。


 故に彼は指揮官である隊長を失った兵士に呼びかけ、自らの配下としたのである。


「ふん。有象無象の連中が幾ら群れようと恐るるに足らず!」

「ふん! 蠍如き砂漠を這い回る虫けらが偉そうに!」


 クリムゾンが堂々と言い放つ。それを鼻で笑うワズイルが集まった兵士たちに号令をかける。


「お前たち! 我ら帝国兵の力を今こそ見せつけるときだ! 私の力があればお前たちの力を更に引き上げることが可能! 征くぞ!」

「「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」」


 気合の声を上げ、そしてワズイルの指揮のもと全員が鳥の翼を思わせる陣形を取った。


「受けるがいい! 陣形魔闘技! 荒ぶる鷹の――」


 ワズイルの声に会わせてワズイル本人は勿論、兵士たちが一斉に足を上げ両手を広げるようなポーズを見せる。


「翼撃――」

「蠍火の洗礼!」

「「「「「「「「「「グハァアアァアアアァァアアア!」」」」」」」」」」


 ポーズを決め、いよいよワズイル含む帝国兵達が技を発動しようとしたその瞬間であった。クリムゾンの持つ槍が発火し薙ぎ払うと同時に火の手が前方に大きく広がり兵士たちを吹き飛ばした。


 荒ぶる鷹の翼撃――翼を広げた荒ぶる鷹のように一斉に強襲を仕掛ける陣形魔闘技であったが、最初に必ず行う片足を上げるポーズが完全に仇となった。


 何せ片足を上げるのでバランスが悪く、何よりそのポーズを取るまでに隙が出来てしまう。


「一体何がしたかったんだ貴様らは?」


 燃え盛る槍を構えながら、クリムゾンが白い目を向ける。


「くそ! 蠍の分際で魔法を使うとは!」

「ふん。俺は魔法など使っておらんわ!」


 クリムゾンが自信満々に言い放つ。クリムゾンは通常よりも油分の多く含んだ汗を流すことが出来る。これはパピルサグ族の中で時折見られる特徴だ。


 そしてクリムゾンは槍を高速で振ることで汗を発火させ火を放つのである。


「これで勝負は見えたな」

「――それはどうかな?」


 ニヤリとワズイルが口角を吊り上げ、そして近くにいた兵士を次々と剣で切っていった。


 この行為にクリムゾンが怪訝そうに眉を顰める。


「ワズイル将軍、一体何を……」

「案ずるな。大して痛みはないだろう? これはシュデル様より預かりし魔剣。貴様らの力を一時的に増強させた。それがこの剣の効果よ。どうだ? 元気が出てきただろう?」

「い、言われてみれば――」


 ワズイルに切られた兵士たちが立ち上がる。それにクリムゾンも身構えてみせた。


「まだまだ戦えるってことか」

「はは、そういうことだ。さぁお前ら! その効果はそう長くは持たん。パワーアップした今がチャンスだ! やってしまえ!」

「「「「「「「「「「うぉぉおおおぉおぉぉお!」」」」」」」」」」


 そして立ち上がった兵士たちがクリムゾンに襲いかかる。クリムゾンの槍と兵士の剣が交わった。

 

 だがクリムゾンには疑問が残った。ワズイルは兵士がパワーアップしたと言っていたが、そこまで強くなったようには思えない。


 その時だった――兵士の一人が突如爆発した。


「な!?」


 咄嗟に後ろに飛び退くクリムゾン。だが立ち向かって来る兵士が次々と爆発していく。


「くそ! あの蠍なんて奴だ! 兵士を次々と爆破させていくとは!」


 その光景にワズイルが大げさに驚き悔しがって見せた。


「だがここで怯んではいかんぞ! シュデル様の為にもお前たちが奴の首を取るのだ!」


 ワズイルが煽ることで更に兵士たちの戦意が増し突撃する。そしてその度に爆発して散っていった。


 そう。ワズイルが与えられた剣は切った相手を強化するための剣などではない。彼らが多少でも活力を取り戻せたのはワズイルの言葉に暗示のような物を受けたからだ。ワズイルは味方の士気を上げるために言葉に魔力を乗せる暗示をよく行っていたのである。


 そして自爆剣ワインダクバ――それがワズイルの持たされた剣の名称。文字通り切った相手に自爆の効果を与え、人間爆弾に変えてしまうそんな恐るべき魔剣なのだった。


 次々と襲いかかりそして起きる爆発にクリムゾンが巻き込まれていく。


 爆発が収まったその場には血みどろになったクリムゾンが立っていた。


「ふん。蠍だけあって頑丈な奴だ。だが、これで私の勝ちだな。貴様はまさにもう虫の息だ! 蟲らしくこの私に踏み潰されて惨めに死ね! あの愚かで馬鹿なゴミクズのキースのようにな!」

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[一言] しれっと答える 解:自爆剣バクダンイワ
[気になる点] タイトルが「192話」になってます
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