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砂魔法で砂の王国を作ろう~砂漠に追放されたから頑張って祖国以上の国家を建ててみた~  作者: 空地 大乃
第五章 砂漠と帝国の刺客編

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第168話 砂漠で石化!?

 アイアンアントが何かとんでもないものを持ってきたとアインが教えてくれた。

 

 何事かと思い、アインの後についてペルシアと一緒に町の広場に向かう。なんとなく皆が集まるところを広場としているだけなんだけどね。


「ホルス!」

「お兄様!」

「我が王よ。来たであるな」

「王様だ~」


 広場に向かうとイシス、モルジア、フィー、メルの四人が声を掛けてくれた。他のもスイムやライゴウの姿もある。


「一体何があったの?」

「うむ、それが蟻達が石像を持ち込んできたのだが、どうみてもその石像がパピルサグ族の姿にしか見えないのだ」


 スイムが広場に立つ石像を見ながら怪訝そうに口にした。この石像を蟻達が運んでくれたのか……


「これは見事な石像にゃん。まるで生きてるみたいにゃん」


 ペルシアも驚いているよ。石像は一見すると僕たちと変わらない人の像っぽくもあるけど、一点腰から生えた蠍の尾がパピルサグであることを証明していた。


「小娘壱号が言うには生命反応を感じるようでのう」

「にゃん! い、生きているのかにゃん?」

「はい! この石像からは確かに命の鼓動を感じるんです!」

「ンゴンゴォ~」

「それは間違いなく命ある愛よね愛! 早く助けないといけないかしら!」


 ラクが鼻息を荒くし、イシスの肩で座っているアイも心配そうにしていた。


「これは、イシスの魔法では治らない?」


 もし出来るならとっくにやってそうかなとは思ったけど、一応聞いてみる。でも、イシスは首を左右に振って答えた。


「試してはみたんだけど、石化そのものに生命魔法で干渉することは出来ないの……」


 イシスが悔しそうに顔を伏せた。イシスの魔法は物に生命を与えたり、傷を回復したりと万能に思えるけど、世の中そう上手くはいかない。


 どんな魔法にも得手不得手がある。全てにおいて万能なんて物は存在しないんだ。


「ペルシア殿の道具には何かないかな?」

「にゃん。石化に対応する道具は残念ながらないにゃん……」


 スイムに聞かれるもペルシアは耳と尻尾をたれて申し訳無さそうに答えた。そうそう、都合良くはいかないよね……


「お兄様、私嫌な予感がします。パピルサグの集落も心配ですの――」


 モルジアも眉を落とし不安そうにしていた。パピルサグ族の集落には仲良くなったマインもいる。モルジアは勿論、皆あの子を実の妹のように可愛がっていた。


 それにクリムゾンを含めパピルサグとの取り引きも盛んになり交流も多くなっていたからね。当然ここにいる皆が心配に思っているだろう。


「……石化が解ければ事情が聞けるんだけど……」

「それであるが、アインに王を呼んでもらったのは、もしかしたら王であればなんとかなるかも知れないと妾が判断したからでのう」

「え? 僕が?」


 フィーが深く頷く。でも、僕はそういう状態異常系は門外漢なのだけど……


「僕の魔法は治療には向いてない気も……」

「確かに傷を癒やすなどであれば小娘壱号の方が得意であろう。だが今回は石化。それであれば王の砂魔法で干渉できる可能性があると判断したのだ。王は洞窟の岩も砂魔法で操ってみせたからのう」

「う~ん、でもあれは岩が元は砂だからだし……」

「王よ。よく考えてみるのだ。パピルサグ族は砂漠で生まれた種族。つまり砂と深く結びついておる。そう考えたなら石化程度王の力があれば干渉することなど容易いはずであろう?」

 

 な、何か凄い理屈にも思えるけど、でも発想の転換という意味ではそれもありなのかな?


 それにイシスはこの石像から生命の鼓動を感じると言った。それはつまり内側まで石化していないということでもあるんじゃないかな?


 つまり彼は外側が石で覆われているに過ぎなくて、彼自信今も意識が残っている可能性もある。


 それなら、フィーの言うとおりなら外側の石にだけ干渉して砂に戻せば――


「うん。迷っていても仕方ないし試してみるよ」

「お兄様ならきっと出来ますの!」

「ごめんね、ホルスにばかり任せることになって」

「大丈夫。じゃあ、いくよ!」


 石化したパピルサグ族に直接触れ、石の部分を感じ取る。そしてイメージするんだ。砂漠で生まれた石の部分は、元を正せば砂漠の砂と同じ。


 石が分解し、ボロボロと崩れ、そして砂に戻るイメージで――


「あ、王様! 凄い! 石が砂になっていくよ!」

 

 メルの声が聞こえた。


「おお……王にまさかここまでの力があるとは」

「流石は我が王でございます! このアインまたも王の伝説に立ち会う事ができ幸せですぞ!」


 伝説はちょっと大げさな気もしないでもないけど、確かに石が砂に変化していく感覚はあった。そして――


「お、おお! 動ける! 動けるぞ!」

「やった! 無事戻れたんだね!」

「ンゴォ~」

「ス~♪」

『やれやれ、大したもんだな』

「愛よね愛!」

「やっぱりお兄様は最高のお兄様ですの!」

「本当凄いよホルス!」

「ふふ、流石は妾が認めた王であるぞ」

「にゃん、凄く無茶苦茶な理屈に思えたけどどうにかなるもんなんだにゃん」


 パピルサグ族の彼が無事だったことで、見ていた皆から歓声が起きた。


 ふぅ、でも本当無事で良かった。


「ホルス王。本当にありがとうございました!」

「いや、貴方も無事で良かった」

「はい。石化した時はどうなるかと思いましたが、意識だけは残っていたのです。なので意識を保ち続けようと石になってる間はずっと数を数えてました!」


 なるほど数を……


「ちなみに16655秒までは数えました!」

「意外と余裕があるにゃん」


 ペルシアが若干呆れたように言った。結構数えたね~。


「しかし、何故にそなたは石などに?」


 スイムがパピルサグの彼に聞いてくれた。それはとても大事なことだ。なにもないのに石化したとは考えられない。


「あ! そうでした! 実はホルス王の兄を名乗る男が現れ、マイン様や仲間を……奴ら下手したら我々の地下集落も襲うかも知れません!」


 え? 僕の、兄?

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